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15 「キツネ、魔法少女」
無意識のうちに変身する僕。
気が付いたら裸の人間になっていたり、そうかと思えば、人間形態で食事をしている最中に狐に戻ったりと、僕は自分の身体を制御できずにいる。
妹はそんなことないので、お兄ちゃんとしてはちょっぴり焦っていたりするんだ。
何より突然素っ裸だからね。おちおち外で遊べないよ。
まぁ、仕方ない。訓練あるのみだ。
ちなみに妹は今、狐形態から人間形態へ変身する瞬間の早着替えを練習している。
煙が出ている一瞬に服を着る妙技。この技は僕ら天狐族にとっては必須技である。
できないとHENTAI扱いされちゃうからね。
煙が晴れる。
ワンピースを頭に被った状態の幼女さんが現れる。
「うぅ~、なんでぇ~」
「もっと早く集中して」
難しいらしい。さすがの妹もなかなか習得できないでいる。
まぁ、これはね。僕らは魔法少女じゃないからね。
頑張れ妹!
はぁ、変身すらまともにできない僕に早着替えなんて習得できるとは思えないよ。
僕は全裸マンとして生きていくことになるのだろうか。
天狐族マジ厳しい。