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お狐様が異世界を征服するそうです@わひっ!?  作者: 大南
1章 「幼少期は幼馴染フラグを作る重要な時期」
13/20

13 「キツネ、スパルタ」

 僕たち天狐(てんこ)族は人と狐、どちらにも成れる種族である。


 ただ狐から人へ、人から狐へ変身するにはコツがいるらしい。今、僕と妹はお母さんからそのコツを教えてもらっている。


「そう、リラックスしながら魔力を全身に行き渡らせる感じ。上手いわね、ミラン」

「うん! アハハ、お母さん、これ楽しいねぇ」


 ポンポンポンポン煙を立てながらおおはしゃぎで変身しまくる妹。素っ裸になることに対する羞恥心はまったくないようだ。


 まぁ、幼女だからね。

 

 なるほどね、リラックスして魔力をね。仕組みさえわかりゃあこっちのもんですよ。


 見てよ。妹なんて三秒でマスターしちゃったからね。簡単すぎワロタ。


 よし。じゃあいっちょやりますかね。

 

 ……………………。

 

 できないね。うん、知ってた。だってさ、魔力って何?


 え? お兄ちゃんはやらないのかって? 


 違うよ。お兄ちゃんは人間形態が気に入ったから元に戻らないんだよ。ほ、ホントだよ。


 ふぬぬ、と力んでみる。危なくおしっこが漏れるとこだった。


 うん、リ~ム~!


 変身しすぎて疲れたのか、狐形態でスヤスヤ眠る妹。呆然と立ち尽くす僕。


 お母さんが苦笑しながら、一緒に練習しましょう、と言ってくれる。


 ありがとう、お母さん! こんな、ダメ息子だけど、僕頑張るよ!


 そう思った次の瞬間、お母さんに腹を思いっきりグーパンされた。


 ごはぁっ!! と空気と胃液を吐き出しながら、僕はベッドに吹っ飛ぶ。


 そしてベッドの上でバウンドしながら煙を立てて狐形態へ戻る。


「まずは、狐に戻る感覚を繰り返し身体に覚えこませましょうね」


 薄れゆく意思の中、お母さんの平坦な声が頭に響く。


 これが練習? 


 もしかして、何度も殴られる感じ? 


 え? まじ? 


 スパルタすぎじゃね? という僕の声が出ることはなかった。


 僕はお母さんの一撃で気絶した。


「きゅうぅ」


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