第一森人発見。多分良い奴
「マジかよ」
俺はたくさんの木と土と木々の隙間から見える青空と空しか見えない場所にいた
何と言うかザ・森!って感じの場所だ
木の葉は緑と赤が混じっており、時期的には夏と秋の間といったところか。
日が暮れ始めている時間でもあり、少し肌寒い
「せめて小さな村でもいいから人がいるところがよかったなぁ。まぁ、死ぬ危険もないし適当に歩くか」
その前にスキルについて、ちょっといくつか確認しとこう
(死人を復活させる薬を創造する)
『死者を蘇生させるものは創造出来ません』
死者蘇生系は不可能か
(犬を創造する)
『動物は創造出来ません』
動物はダメか。昆虫も試したが不可能だった。生物全般は無理そうだ
(りんごを創造する)
お、できた。まぁ、これくらいできてもらわないと困る
創造したりんご食べてから適当に30分くらい歩いてたら、猫耳コスプレイヤーの背中が見えた
いや、コスプレの割には猫耳が自然すぎる気がする。流石ファンタジー、コスプレじゃなくていわゆる獣人か。
その獣人は何かを落としたのか探し物をしているようだ。
何はともあれ第一森人を発見したので、声をかけてみることにした
「あのー、すみません」
「ッ!」
必死に探しものをしているのか10メートルくらいの距離まで近づいても気が付く様子が無かったので声をかけた瞬間、
こちらに振り替えることなく慌てたように獣人は俺から逃げていった。
「あのっ!ちょっと!」
いきなり逃げ出すとは。追いつきたいところだが、明らかに俺よりも速い。
木々が生い茂る森の中ということもあり、このまま見失ってしまいそうだ。
日本語で声をかけてしまったが、そもそも日本語通じるのか?
いや、日本語しか分からない俺には、頑張って追いかけるしかない
いざ走りだそうとしたとき、追いかけっこは終わった。
その森人は立ち止まって少し驚いた顔でこちらを見てたからだ。よかった、話は聞いてくれそうだ
「こ、こんにちは」
「こんにちは」
警戒されないように歩きながら近づいていったら日本語で挨拶された。
うん、この世界は日本語通じるようで助かる。さて、何から話そう
「すみません、いきなり逃げてしまって。
薬草と食料を探していたんですが、魔物かと思って逃げてしまいました。」
「いえいえ、止まってくれてありがとう。助かったよ」
話を聞くと俺が声をかけたとき魔物だと思って反射的に逃げたけど、人だと気づいたから止まってくれたらしい。いい奴だ
そういえばこの男の名前はなんだろう、っていうか俺も名乗ってなかったな
「そういえば名前を言っていなかったな。俺の名前はかt・・・ウィンだ!」
俺は今日からウィンだ。体質だけでなくきっと名前も悪かったのだ。
だから今日から俺の名前はカテナイではなく勝てる男、winに改名することにした。
「僕の名前はアインと言います。
ウィンさんは人族の方ですよね?こんな奥までどうやって来たのですか?」
ウィンとアイン、なんか名前似ているような気がする。まぁどうでもいいか。
そんなことよりここにいる理由をでっち上げなければ
「森で植物の研究をしてたら魔物と遭遇してな。魔物から逃げ回ってたらここに来てしまったんだ」
「魔物から良く逃げ切れましたね・・・。今日はもう遅いですし、夜の森はとても危険になります。僕の家に来ませんか?
森の向こう側に戻るにしても朝にしたほうがいいでしょう」
クソ適当な言い分を信じた上に、初対面の男を家まで案内するとか不用心すぎじゃないか?
まぁ、助けてもらう側がダメだって言うのもおかしいし、素直に甘えておこう
「いいのか?ありがとう。助かるよ」
アインは人も良さそうだし、きっと獣人はみんな獣耳と尻尾のついた良い人たちに違いない
異世界生活の始まりは幸先良さそうで安心した