人事異動?アフリカ、中東、南米、東ヨーロッパどこでも行くぞ!え!異世界?なんじゃそりゃ!?
今書いている連載作品にブクマがついたことを記念して短編小説を書きました。
ホントは連載作品にしたかったがそれは時間的に無理なので今回上がったテンションに任せて短編として投稿します。そのうち連載でも書く予定です。
オレの名前は黒沢孔明。
孔明の由来はお察しの通り三国志の諸葛亮孔明だ。
当時父親がハマっていたアクションゲームで気に入っていたキャラでなんとなく賢そうだからつけたと言われた。
もうちょっと考えてから名付けてほしもんだ。
しかもオレ戦国武将派で好きな軍師は黒田官兵衛だしな。
仕事は外交関係をしている。
アフリカ・中東・南米いろんなところへ行った経験がある。
そんなオレだが今一人で三角の耳と『の』の字のしっぽを付けたピンクの人たちに囲まれている。
え、アキハバラのコスプレ会場にでもいるのかって?
違う違う。この人たちはコスプレイヤーさんではないんだよね。
じゃ、コスプレイヤーじゃないのに耳としっぽのアクセサリーをつけてピンクの服をつけた変態に囲まれているのかだって。
彼らはおそらく変態じゃないよ、まぁ、一般的な人でもないかな?
三角の耳としっぽはアクセサリーじゃなくて本物がついているしピンクは肌の色がピンク色なんだよね。
いや、ドラッグはやってないよ。
ハーブもやってないって、言いたいことは分かるよ。
ラリッて幻覚を見てるわけじゃない、決して。
彼らはあれだ、みんながよく知ってるオークさんよ。
なんだやっぱり頭が変なヤツだって、失礼な!
仕方ない。
少し時間があるからことの始まりを説明しよう。
「はぁ、異動ですか。別に構いませんが今度はどこですか?アフリカ・中東・南米は言ったので東ヨーロッパあたりですか部長?」
「ふむ、今回の異動先は政府への出向だ。今回政府との合同プロジェクトの一員として言ってもらう。詳しい内容は手渡した書類に書いてある。君に限って大丈夫だと思うが内容を熟読して判断してほしい。話は以上だ。」
「はぁ、分かりました。それでは失礼します。」
なんだか部長の物言いがどこかいつもと違う気がするがこれ以上は何かを話す雰囲気はなかったので仕方なくそのまま部長室をあとにした。
結局、異動は受けることにした。
まぁ、身の危険が伴うだとか、地域住民との交渉は独自で行う、いつでも連絡が取れるわけではないとか、機密事項なので誰かに話したら自分も相手も罰せられるとか、普通の会社員なら絶対納得しない内容ではあるが、今まで行った未開拓地の事業では銃弾は飛び交っていたし、交渉先の開拓は0から自分で行ってきた、衛星電話なんて支給されないから何日もできないこともあった、また、未開拓地の外交交渉は情報をもらすとあっという間に他にかすめ取られるから交渉終了まで上司にすら話さないのが当たりまえなので得に疑問には思わなかった。
ただ、今回異動受けたのはできうる限り必要なものは政府が用意するとのこと。
これはいままで以上に楽に大きな仕事ができるのではとワクワクしている。
異動初日、書類にあった地図場所に来たがホントにここであっているのか不安になってくる。
だって、場所が大通りからいくつも通りを入ったところにある年期の入った古いビルだから。
まぁ、ここにいても仕方ないので中に入ることにする。
このビルの5階が目的地だ。
「エレベーター故障中かよ。階段で上るしかないのか。」
仕方なく階段で上るが、なおさらここが政府との合同プロジェクトの本拠地とはとても思えなくなった。
5階にはエレベーター以外は扉が一つしかないがその扉にはなにも書かれていない。
そう言えばビルの案内もなかったな。
一つしかないならこの扉の中が目的地なのは間違いないだろう。
「失礼します。本日付で異動になりました。くろさ『ガチャ』。」
ヤバ、中の気配の把握をおろそかにしていた。
海外にいるときはこんなミスはしないのに今更遅い。
被害を最小に抑えるためにゆっくり手あげた。
なぜなら今オレの左のコメカミに銃が向けられているのだから。
「小野田君、カレは大丈夫。新しい仲間だよ。」
「そうですか。」
銃は下してくれたようだ。
「返事を待たずに入室してすみませんでした。本日異動になった黒沢孔明です。」
日本だからと気を抜きすぎていた。
それにここは政府との極秘プロジェクト場所なのだ。
「君の実績は聞いています。黒沢君。私は室長の神野陣だ。よろしく。」
「よろしくお願いします。神野さん。」
「オレは元自衛官の小野田軍司だ。よろしく黒沢さん。」
神野さん、小野田さんそれぞれと握手をした。
「それで早速ですが契約書を出してください。」
異動届と一緒に受け取って署名しておいたものを手渡す。
「確かに受け取りました。これで正式に黒沢さんも我々の一員です。」
「それでオレの担当する地域はどこですか?」
「黒沢君はさまざまな危険地域や国境が開かれていない地域での外交交渉が得意だと、複数の外交関係者から聞いています。」
「ええ、まあ、そうだと思います。」
「そんな黒沢君にはいままでこの世界の人が行ったことない地域を担当してもらいます。」
なんか言い方が変だよな。
この世界の人がいったことがない。
この世界の人がとは変な言い回しだな。
「つまりこの世界ではないのですか?」
「さすがです。気づき安い言葉を使ったとはいえ常識にとらわれずその答えを出すとは、うわさ通りですね。黒沢君。君には異世界での交渉をしてもらいます。」
いや、神野さんの言葉から推測したけど異世界かぁ。
「どんな世界か分かっているのですか?」
「分かってるよ。黒沢君はライトノベルを読んだりゲームをしたりするかい?」
「ええ、少しは。」
「それに出てくるファンタジー世界によく似ています。」
はぁ、一番ダメなやつだ。
「あれ、嬉しくないですか?」
「ええ、一番厄介な世界だと思うので。」
「ただその分地球にはないものたくさんあります。それを手に入れるのが我々の仕事です。」
「ワクワクしないことはないですが、交渉には調査が非常に重要になりますね。あ、もしかしてモンスターもいるんですか?」
「それがどういったものとしてその世界で認識されているのか分かりませんが我々がそう呼ぶものに非常に似た生物は確認しています。」
「私はそこまで戦闘能力は高くないですよ。」
「黒沢君ご謙遜を。まぁ、戦闘に関しては小野田君、他数名が同行しますから安心してください。ほかの生物学者や材料学者などのスタッフは後日紹介しますね。」
こうしてオレは異世界での外交交渉準備が始まった。
地球とは違いすぎる異世界の文化や風習などを学んで商人として活動開始した。
で今オレの前にいるオーク族の方が初めての交渉相手です。
交渉はドングリと筋力草の物々交換の交渉中。
え、どんぐりと筋力草の交換なんてムリ?オークを怒らせて殺されるのがオチ?
確かにふつうに考えたらムリですよね。
でもこの世界では地球の常識は通じません。
ドングリの効果は確認済み!
なんとオークがドングリを食べると脂肪を燃焼させ魔力に変換するのです。
魔力はこの世界では非常に重要なファクターです。
そして今オーク族にその効果を確認してもらっているところですね。
効果があると分かっていてもたくさんのオークに一人で囲まれるのは怖いです。
しばらくするとずいぶんと痩せたオークが部屋に入ってきた。
「お頭この謎の実、本当に脂肪を魔力に変換するぞ。」
お頭と呼ばれたオークは目を見開きオレを見てきた。
「どうです。効果は納得していただけたかと思います。今回は初めての取引なのでドングリ50個と筋力草50束の交換でどうですか?」
「それだとお前が滅茶苦茶な損をするだろ?」
え、そうなのドングリなんて大量にあるからな。
思った以上にオーク族にとって有用みたいだな。
「ええ、今回は特別です。ゆくゆくは私個人ではなく我が国とオーク族の間で様々な交渉をしたいとも思っています。」
「ふむ、分かった。今後の交渉も楽しみにしている。」
最高のできの感触だな。
こうして交渉は終わりオーク族特有のあいさつ両手で牙をさする挨拶をしてオーク族の集落を後にした。
このときの筋力草を元に筋ジストロフィーの特効薬が開発されるのはこのときはまだ分かっていない。
黒沢孔明も今日も異世界のどこかで交渉を行っている。