#05 試練
戦闘シーンって大変ですね…(泣)
ー転生から半年ー
「うひゃ-…流石国立」
俺と楓は今、都内某所の『2096年度 国立SV操縦者育成教育機関 入学試験会場』である黒井ドームを訪れていた。SV学園はその狭き門の故、一学年100人までの代わりに、専用機を与えられるのだが、今回の入学試験は訓練機『練』を使用する。らしい。俺は専用機『煌焔』を、楓は『楓魔』と言う日本の大手SV開発会社『ムラカミカンパニー』からの専用機があるので必要ないが。
すると、会場の入り口から黒服の男が一人、出てきた。
「君が鬼神族評議会議長の久鬼、憐鬼さんのご子息、蕪城 龍君だね?私は君の試験官の自衛隊中央即連SV連隊一等陸尉、湯上 総一郎だ。宜しく」
堅苦しい挨拶をしたやけにゴツい手の自衛隊員を名乗る男と俺は握手した後、何故俺だけ試験官が自衛官か尋ねた。
「やはり、一番の理由は鬼神だからかな。後は…鬼神族評議会議長_つまり君のご両親からのお願いだよ」
湯上はそう言うと、さぁと促すと、俺と楓を試験会場のアリーナに移動させた。
ー第五アリーナ・控室ー
(湯上 総一郎…確か原作で主人公のバックアップキャラだったよな。専用SVは自衛隊配属SV"烙陽"。であってるはず)
湯上 総一郎について再度原作知識を確認しながら俺は、スポーツドリンクを口に含んだ。
そして、アリーナ出場のアナウンスの後、何か計り知れない不安を感じながらアリーナに俺は出ていった…
◇ ◇ ◇
「龍君、負ける準備は整ったかい?」
嫌味たっぷりに湯上は俺に聞く。俺はその言葉そのままお返ししますよ、と言いつつ煌焔を展開する。
暖かい温もりの様な物が全身を包み込み、コンマ0,1秒の間に煌焔の展開が完了する。
赤い焔の装飾に、金色て縁とられたのコックピット部分。煌やく焔の如しその機体を見た湯上は驚きつつも、
烙陽の基本武装『P90-X』の銃口を俺に向け、開始の合図を待つ。
合図までの時間は2分程だったが、殺気のはりつめる空気での2分は恒久の時間に感じられた。そして、
『試験、開始!』
合図と共にP90-Xの12mm経口の凶弾が煌焔を捉える。人間なら、妖怪なら、これ程の速さで撃ち込まれる銃弾を目視する事は叶わない。しかし、鬼神の驚異的身体能力は"常識"を打ち壊してゆく。
「白焔煌焔ノ太刀!!」
粒子で形象されてゆく白き焔の剣は、銃弾を全て弾き、切り裂いてゆく。まさしく、『鬼神』の如く。
しかし、湯上は最初から知っていた様な構えでグレネードを投げ付けてくる。
「ハァッ!」
ゲームとは異なる現実の感覚。しかし、龍のゲーム感覚は、現実と仮想の境すら危うくさせる程の才能だった。剣を我が腕の様に軽々と振るい、徐々にだが、確実に湯上との距離を詰めていく。グレネードが被弾し、シールドの残量が減るが、龍はお構い無しに、必殺の間合いに入る。
「煌」
煌。刹那、光速の煌めきが烙陽を捉え、シールド残量を0にする。そして_
『勝者、蕪城 龍』
無慈悲の勝者音声がアリーナに響き、試験の終了を知らせた。