84 ミィナ:記憶にない友達
「明日の朝には届けるよ。それじゃ」
「えぇ、頼みます」
部屋の手前でアストラリアとは別れ、宿泊先の部屋へと戻ってきた。僕らギフテッドを収監するにはあまりに広く、上質な空間だ。飲用として使える水道、シャワールーム、遊び方は分からないが数種類のボードゲームも常備されている。食事も言いつければここまで持ってきてくれるので、本来ならずっとここに軟禁されていたことだっただろう。
部屋に残っていたはずの二人の「ミィナ」は見当たらない――――いや、恐らくはシャワールームの中だ。微かだが水音がする。他人の生活リズムだから口出しはしないが……既に深夜と言える時間帯だ。浴びるには遅すぎると思うのだが。
「……悪い、どいてくれ」
僕も眠る前に軽く汗を流したかった。チェアの背もたれに居た小鳥に声を掛け、深い溜息と共に沈み込んだ。思考も限界だ――――半日の密度が濃すぎたのだ。
僕の周囲を飛び回っていた小鳥は、半ば墜落するように僕の下腹部に突っ込み、その上で柔餅のように緊張を解いた。僕が触れても逃げる素振りを見せず、手の平に乗せ替えたり、包み込むように握ったりしても、むしろ嬉しそうなさえずりを聴かせてくれた。
熱いほどの手の内にある体温に、幾ばくか気持ちが和らぐ――――言葉を発せない動物は気楽だ。不満があっても逃げ去るだけで、何ら面倒を起こさない。
「カズくん? 戻ったなら声ぐらい掛けてよぉ」
暫く小鳥を撫で回して遊んでいると、シャワールームのドアが開いた。濡れ髪を垂らした二人が、揃って僕の方をじとりと見つめてくる――――また顔が変わっているような。
「今戻ってきたばかりだ。空いたなら使いたいんだけども」
「うん、分かった……ねぇカズくん、どっちの方が好み?」
「……?」
唐突に何を訊いているのかと呆けていると、ミィナは自身の顔を互い違いに指さし、「こっち、それともこっちの方?」と再び尋ねてきた。どちらも可愛い女の子と一括りには出来るが、方向性としては別のものだ。おっとりとしているか、悪戯が好きそうか……印象としてはそんなところだろうか。
「……質問の意図が分からないんだけど」
「そのまんまだよ。カズくんが好きな方の顔……何なら好きな体型とか胸の大きさとか」
「何で言わなきゃいけないんだ」
「いいじゃん、好きなタイプとか訊いたって。カズくんだってくっつかれるなら可愛い子の方が良いでしょ?」
「くっつ…………クソ。上だ、上のミィナ」
「ほんと? やった」
ミィナは嬉しそうに顔を見合わせて、ひょいと戻っていった。
さっきのは我慢比べだ。付き合う必要は無い――――こちらが折れなければ向こうは余計に何かをしでかすかも分からない。そうなる前に対処してしまう方が結果としては予測できる範囲で収まるはずだ。
「オッケ、じゃあ来てよ。背中洗ってあげるから」
「必要ない。早く着替えて出てきてくれ」
「もー、言いじゃん別にさー。減るもんじゃあないし。嬉しくない?」
「そう言う問題じゃない」
「……分かったよ、むぅ。ほんと欲が無いよね、カズくんってさ」
コイツの貞操感はどうなっているんだ。恥じらいやら抵抗が全く感じられない。
ただでさえしつこい相手は大の苦手で、ガルシアで事足りているというのに……これは何の嫌がらせなんだ。
「ほら、空いたよ。思ってみればさ……次第に脱げていく方がやらしいよね」
着慣れていないことが一目で分かるバスローブの羽織り方で二人分の彼女が出てきた。反応らしい反応をしたら負けだろうと、どうでもいい思案に暮れながら通り過ぎ、シャワールームの扉を固く閉めた。
ベッドは人数分ある。広さも十二分に。
今日は久々に一人でゆったりと眠りたい。イリアならともかく、ミィナのような相手が隣に居ると思うと、おちおち熟睡できないだろう。好意が嫌という訳ではないのだが……気疲れするのだ。何を考えているか、何を狙っているのかが分からない。イリアのように、その人の好意をそのまま受け止められないのは、これまでの彼女の行動のせいだ。
これだから人付き合いは好きじゃない。せめて今晩だけでも距離を取りたい。
「…………暑ッ苦しい」
「毛布なんて被ってるからだよ」
現実はそう上手くいかない。彼女は僕を安眠させる気が無いようだ。
「前からそうだったよね。どんな熱帯夜でも毛布掛けてさ」
それは生来の癖だ。毛布に包まれている安心感なくして安眠できるものか。
しかし、畜生。最悪だ。
「……なんで僕のベッドに入り込むんだ」
「カズくんの傍に居たいからね」
「ね」
どうして二人揃って僕に抱きつこうとするんだ。
ガルシアならまだ聞き分けがある。こちらが嫌だと言えば止めるし、根本的に僕が嫌がることをしてくることもない。困らせはしても、怒らせることはしない男だ。
だがこの人物は……余計に悪質だ。こちらが耐えられる限界を見知っているように、閾値を超えない程度に困らせ続けてくるのだ。
一人なら諦められただろう。だが……同じ顔をした二人に挟まれる羽目になるとどうして予測できようか。いや、出来なくはなかったが、流石にそこまでしないだろうと高を括っていたのだ。
「えへへ、あったかい」
「あったかい、しあわせ」
小鳥だった彼女を慈しんでいた時と、立場が完全に逆転していた。一人の人格が二人の肉体を持ってして、僕を挟んで抱きついたり擦り寄ったりして、自身の欲求を満たそうとしているのだ。
表面上は本当に純粋に、兄や親に甘える子のように嬉しそうにするのが余計に腹立たしい――――そうしていれば、僕が嫌がるに嫌がれないことを分かっているようだからだ。
僕を捕らえて暫くは、ミィナの思うがままにさせるしかなかった。ある程度満たされてからは、僕の両腕を枕代わりにして、幸せそうに目を閉じ、微笑を浮かべた表情をして静かになった。どちらにしろ厄介な状況ではあるが、好き勝手に弄ばれることはなくなった。
静かになると、考えをこねくり回す余裕が生まれてくる。
彼女はどうしてこんなことをするのだろうか。僕のことを知っていると言っていたが、それは――――どこまで知っているかによって重要性が変わる発言だ。
どうしてここまであっけらかんと好意をぶつけられるのだろうか。嫌われるかもしれないという懸念が全く感じられないほどに、純粋な「好きだ」という感情を僕へと押し付けられるのだろうか。
「……一つ、訊きたいことがあるんだけど」
「なぁに」
「僕のこと、知ってはいるんだよね」
「うん。知ってるよ」
色んな事を、と右側のミィナが片足を僕へ乗せてきた。何故そんな顔が出来るのか不思議なくらいだが、目を瞑ったまま、本当に幸せだと言わんばかりのにやけ顔になっていた。
「あまり人と話さないことも、独りぼっちで寂しいって事も。二人きりの時は……こうやって甘えさせてくれることも」
「嫌がっても、黙って受け入れてくれることも。カズくんのことは、カズくんの次によく知ってるよ」
左側のミィナは、腕を僕の首へと回してきた。自身へと引き寄せるような力は無く、むしろ自分自身を僕へ委ねようとするような感覚を受けた。恥ずかしげに小声で笑い、小さく歯を見せる。
「どうして、こんなことを」
「させてくれたのはカズくんぐらいだし」
「したいのもカズくんだけだからかな」
「何で順番に喋るんだ」
「どっちもボクだから」
マイペースな人物なのは分かった。気にしないことにしよう。
「……こうするのは、君の意思なのか」
「うん……まさか、誰にでも同じ事をするって思ってる?」
「ボクはそんなに軽い『女の子』じゃないよ。こんなことが出来るのはカズくんだけ」
「どうして」
「どうしてって、前にも言ったじゃ……あっ」
「覚えてないんだっけ、カズくん。記憶がなくなっちゃったって」
それも果たして正しいのかどうか。忘れた側は確かめようがない。
ミィナは一瞬だけ、僕へ欠けていた力を緩ませ、その次には片方のミィナが僕の顔に両手を添えて自身の目と合わせようとしてきた。自分で選んだとはいえ――――異性にこうして見つめられるのは、酷くもどかしい気分になる。
「カズくんはね、命の恩人なの」
「ボクを助けて、受け入れてくれた、たった一人だったの」
背後のミィナが、僕の耳元で囁く。僕の身体は半ば彼女らに覆われかけていた。
「命の……恩人?」
「命を賭けて、ボクのことを救ってくれたの」
「みんなボクのことを変わり者扱いしてたけど、君だけはそうじゃなかった」
僕がそんなことをするだろうか。他人をそこまで助けることを。ここまでさせるほどに。
困っている人を手助けするのは当然だが、これほどに好意を寄せられるほどの行為をした覚えは――――あったとしても忘れているので当然だが――――全くない。
そもそも僕は危険のある中で賭けのようなことはしない人間だ。最初の殺人から、孤独になってからの人生設計まで……不安定な要素は可能な限り排除したし、気紛れを起こしたとしても、自身に被害が及ぶようなことには決して手を出さない。それで自分が破滅したら元も子もないのだ。
「…………僕が、そんなことを? まさか」
「したよ。してくれたんだよ」
「だから、ボクはカズくんのことが大好きになったんだよ。カズくんが望むことは何だって叶えてあげたいんだよ」
「今なら、カズくんの望む人にもなれるの。女の子にだって」
二人の言葉は、僕にその通りだと信じさせたいような口ぶりだった。あまりに都合が良すぎる文章の羅列――――命を救ってくれたのだから、その命は貴方のために――――そんな言葉を容易く信じられるほど、僕は単純じゃない。
「……待ってくれ。『女の子にだって』?」
言葉の一つに引っ掛かった。その言い方は……。
「うん。だってカズくんが言ったんだもん」
「『ボクが女だったら』って。君に告白したときに」
「…………え?」
話題が完全に逸れたが、しかし復帰するにはあまりにも衝撃的かつ突拍子もない事実だった。
「ミィナ、お前、男?」
「むー、性自認は生まれつき女の子ですよーだ」
「外見だって、女の子らしく可愛かったんだから。今さっきカズくんが選んでくれたのも……」
元々のボクの顔なんだよ、と二人が声を揃えていった。
おっとりとした、優しく物静かそうな顔。僕へ擦り寄ってきたときに見せた、柔らかくて嬉しそうな笑顔。複雑な感情の渦が――――ただみっともないことだけは分かる――――僕を思考停止に陥らせていた。
正直に告白しておこう。僕はイリアの面影をそこに見ていたのだ。
何処かとは分からない。顔立ちも違えば、性格も異なっているはずなのだが、確かにミィナとイリアには共通点があると、どことなく思っていたのだ。
僕の置かれている状況、判明している情報からすれば、因果はきっと逆だ。
ミィナがイリアに似ているのではなく、きっとイリアがミィナに似ていたのだ。彼女が言っていたことが事実だとしたら……さしずめ、イリアはトランスジェンダーしたミィナと言ったところか。いや、確定したわけではないが、だとしても……。
なんとなくだが、感情の中に「恥ずかしさ」があると感じた。何に対して恥ずかしいと思っているのか僕にも分からないまま、ミィナに抱き包まれた情動は逃れる場を得られずにいた。
「…………カズくん?」
「大丈夫? 何か……嫌なこと言っちゃったかな」
ミィナが途端に心配そうな、後悔の滲む声に変わる。この不安がすぐもたげてくる感じも、イリアの性格にどことなく通じるような気がしてならなかった。
僕はどう答えれば良いものか分からなかった。彼女の言ったことが全て真実なのか、恐らくは僕がどう受け取るかで変わることだからだ。好意的に受け止めるとするならば、それはすなわち彼女の言う事実を信じると言うこと。結果的ではあるが、僕もミィナに対して好意を持っている、と言わざるを得なくなる。
問題を簡潔にするなら、思春期に抱く邪念をどう処理すべきか、という所に落ち着く。結局の所、全ての問題に存在する簡単な答えを出さずにはいられなかった。
「いや、何でもないさ。もう寝たい」
「うん……ねぇ、離れた方が良い?」
「カズくんのこと、考えてなかったよね……ごめんね」
諦めること、投げ出すこと。「答えを出さない」という一つの答え。
今この時に解かなければならない問題でもない。腰を据えて、自身とも向き合って考えなければならないことだ。
「いや、別に嫌だって訳じゃないから……好きにしたら」
「……ほんと?」
「カズくん、嫌なら嫌って言って良いんだからね?」
「勝手にしてくれ、もう寝たいんだ」
ただ、少しだけミィナのことは知れた気がした。
彼女が語ったことのどれだけが真実なのかは分からないが、語ったという事実は揺らがない――――どんな意図だったとしても、ミィナはどうやら僕を好いているようで、もっと好かれたいと、甘えたいと思っているらしいことは確実だと言って良いかもしれない。
その先に別の意図があったとして、もう僕が考えられる範囲を超えている。
僕は他人を制御することなど出来ない。ガルシアの時と同じだ。
その時はその時で、また考えれば良いことなんだ。
「なぁ、ミィナ。最後に一つだけ」
「――――なに?」
「僕は君のことを忘れてるんだ。それでも良いのか?」
「……どう言う意味? カズくんはカズくんでしょ?」
「僕が一体何をしたのか、何一つ覚えてない。さっきの話も本当かどうか信じ切れてない」
そんな状態でも、ミィナは構わないのか。僕は答えを待った。
三人分の吐息が聞こえていた。それぞれの顔の間にある空間が、周囲よりもっと熱を帯びてきていた。
「……カズくんは、カズくんだもん」
「忘れてたって、向こうのボクをぎゅっと抱き締めてくれたでしょ? ボクにとっては、今も昔も、変わらない優しいカズくんだよ。忘れられちゃったのは寂しいし、怖いけど……」
「……今度は女の子だし、前よりずっと簡単に、ボクのことを好きになるよ。ボクは信じてるから」
よく分からない理論を最後の言葉にして、続く意思は締め上げるような抱擁に取って代わられた。
暑苦しかったが、その元凶が赤の他人でなく、一応は知人であることに、僕はそれなりの安堵と安らぎを見出せていた――――よく眠れそうだった。
夜の闇が最も深いのは、日の光が空へ零れる直前だ。
石畳の熱も大方抜ききって、息苦しいが涼やかな街中になった――――人気はなく、こんな時間帯に動き回るのは、決まってやましいことをしている連中か、彼女の召使い達に絞れるだろう。
俺は本体に戻るところだった。今の奴には悪いが、このままセラの奴隷になって貰うほかない――――幾らギャングの下っ端とはいえ、あのレディに良いように使わされることを思い浮かべれば、それなりに同情の念が湧き出てくるものだ。
「ラースティ、戻ったぞ」
新しい奴のアジトに顔を出したが、顔を出したのはラスティの部下だった。
「暗殺された大統領は」
「J・F・K。ガルシア・ギナサーだ」
「お帰りなさい、ミスター・G」
病弱そうな見た目だが、瞳には確かな闘志が垣間見える青年に連れられ、薄暗いボロアパートの一室へと向かう。セラが統治する数少ない区画で、アイツは「鳥かご」に例えていた。
「……ラスティさん、ミスター・Gが戻りました」
「ご苦労、もう見張りは終えて良い。眠っておけ」
扉の向こうでベッドから這い上がる音と共に声が聞こえてくる。青年は足早に去って行った。
「収穫は」
「おい、顔を合わせた第一声がそれかよ」
「コーヒー紛いでも飲むか」
「入れてくれるんならな」
ラスティの暮らす部屋は貧相なものだったが「らしさ」があった。
光源はランタンのみ、脚が一つ壊れたテーブルの上には地図と書類が散乱し、直線や記号、図形を形作るインクの染みが、現状のプランを静かに物語っている。
「色々分かった。ブツはトバゴ商会が一手に担ってる。精製工場はここ以外にもあるが、薬品そのものの製造は本社があるここでだけだ」
「場所は」
「工場地区の六番、そこの地下。他の区画にまで広がってる。別の地区にある搬出口以外からは侵入できない作りだ……が、そこに眠ってるお宝は予想以上だぞ」
水と焦げた粉末を混ぜ合わせ、ラスティは陳腐だが色々とくっついてるポットの中に注ぎ込んだ。部屋の隅に存在しているパイプラインとポットのチューブを接続すると、気体の吸入する音と蒸気が湧き出てきた。
「製造設備以外にあるのか」
「張本人がいらっしゃる可能性がある」
戻ってきたラスティに言ってやると、「トウジンの制作者か」とつまらない答えが返ってきた。
「精製に当たっては、生産する以上知られていることはある。が、肝心の製造部分はその野郎が全部管理しているようだな。材料の混成量、比率、トウジンをゼロから作れるのは」
「そいつだけか。都合が良い」
「それと、これは台本の方に影響するんだがな……速いな」
「地下の発電設備から直接引いているからな。オーバーワークと言えばそれまでだ」
湧いたコーヒーを古ぼけたカップに注ぎ、話は続けられる。
「それで、計画を変更しろと」
「まぁ、良い手段が見つかったってところかな」
「決めるのは俺だが、考えるのはあんただ。聞かせろ」
「あいあい。見つけたのはな、都合の良い被害者だ」
いまいち理解に及ばなかったようで、俺の方を見たままコーヒーモドキを啜った。
「必要なのは、俺達が正しいことをしたって言う『客観的観測』だ。元々はカズが担当するところだが、もっと信頼を得やすい『使える』人物が見つかった」
「誰だ」
「トバゴの重役の一人、って所かな。俺が立てるような算段でも、完全な方法で拉致れるような奴だ」
「商会の人間を? 連れてきてどうするつもりだ」
「俺達に会わせて、街の真実を知って貰う……何人も回って調べた上で、いけると踏んだ奴だ。本人も見てきたが、確実な事が言える。アイツは自分が全てを分かり切ってるって思い上がってるから、自分が舞台の上で躍らされてることに気付かない奴さ」
だが幾分力を持ってる。だから煙たがられて、火種として燻ってるのさ。
「……方法は」
「マッチとポンプだよ。やることは襲撃先を一つ変えるだけ、筋書きには不幸な被害者を加えるだけ。結果として、ソイツには俺達の保証人となって貰って、晴れて日の当たる場所へと出てこられるわけさ」
「実行するのは」
「分かってて訊いてるだろう」
俺は笑い、ラスティは懸念を見逃すまいと言うように目を細めた。
「大丈夫だ、仕事に手は抜かない奴だよ」
「ずぶの素人だろう」
「演技は俺よりも上手いぞ」
「…………保険を考えておく必要があるな、クソッタレ」
「分かってもらえれば結構」
コーヒーカップを掲げると、ラスティは溜息を吐いてカップを机へ置いた。




