殺意
有名なコーヒーチェーン店に入り、紅茶とサンドイッチを注文した。苦いのが飲めないという理由なのだが、店員が少しだけ変な顔をした。
店内の椅子に座り、スマートフォンの予定表を確認した。明日は何も予定はないし、買い物にでも出掛けようか…。
ストローで紅茶を飲み、サンドイッチを戴いていると洸輝からメールがあった。
『今日は話だけ聞いて帰るって。でも、結構気に入ってる様子だから多分大丈夫かも』
時間が掛かろうが金になるのなら何だっていい。ただ、紅茶にガムシロップを入れるのを忘れていた。
洸輝が私のいる喫茶店にやって来たのはそれから三十分後だった。
そして
「あっ!春花ちゃん……バック、忘れてきちゃった…」
死ね。
◇◇◇◇◇
なんとか。なんとか、バックを取り戻すことが出来た。
中の薬が見付かったらまずい。絶対に捕まる。
そこで、裏の人が自分のことを売るとは一切考えていなかった。何故なら私のしている商を行う人が限りなく0に近いからだ。副作用が不明確だとしても、使う人は多くいる。つまり、私を警察に売るような奴がいたとしたら他の危ない連中に消されるということに繋がるのだ。
まぁ、それも罪を問われた時の話。何を逃れた今では関係の無い……。
バックの中にある薬とは異なる物が入っている。何かは分からないが、決して良いものではないと瞬時に悟った。