第六話 初戦闘
「転生したか。」
転生直後木々の隙間から空を見上げると、うっすらと幾筋かの雲があるもののよく晴れ渡った空だった。その後周囲に目を向けると、自分が森の中にいるとわかった。とは言っても森に入ったばかりの場所のようだ。
一旦森から出て周囲を確認してみると正面に街道が通っている。太陽の位置からすると大体東西に伸びているようだ。街道を挟んで反対側の南側には少しの平地の向こうに湖が見える。街道の東の先には山々が、西の先には立派な城壁に囲まれた都市が遠望できる。
そうして周囲を確認した後は自分の姿を確認しようと、湖のほとりに向かった。湖面に映る自分の姿はかなり若く確かに前世での15歳頃の容姿だ。黒髪黒目で背格好は170㎝ほどの中肉中背の男がそこには映っていた。
服装はと言うと紺の上下の上から革装備を着けて90㎝程の片手剣と丸盾を手にしている。背中には背嚢を背負っており、中には水袋と鉈と火口箱、手拭いと幾種類かの硬貨の入った革袋が入っていた。
身の回りの現状については大体把握出来た。ここらで一度ステータスも確認しておくべきだろう。神眼を使って見てみると、
名前 アルカ・シエロ
種族 人族
性別 男
年齢 15歳
身分 自由民
クラス 1:村人Lv1 2:ナシ 3:ナシ 4:ナシ
MP 4050/4050
STR 50
VIT 50
DEX 50
INT 50
AGI 50
所持クラス 村人Lv1 勇者Lv1
称号 初代勇者 魔神討伐者 創造神の加護を受けし者
特殊スキル:神眼Lv3 采配Lv3 水平化 異世界言語Lv4 獲得経験値増加Lv6 必要経験値減少Lv6 獲得ボーナスポイント増加Lv6 サポートクラスLv3 魔力制御Lv3 多次元収納Lv6 偽装
特殊呪文:グランヒール
BP:106
こんな感じだった。前世の記憶だと成人したばかりで村人Lv1の人の標準的な数値が各50くらいの筈だ。MPだけが異常な数値だが、それ以外はごく平凡と言っていい数値だろう。
HPという項目もあるのだが、これは数値ではなく横バーで表示されている。バーの長さと色(緑→黄色→赤)で表示されているが、数値は無いがBPからの変換も一応可能ではある。
そう言えばせっかく片手剣と盾を持っているのだから、両方ともスキルを取ることにしよう。クラススキルになるが村人なら問題はない。
ちなみに「村人」のように各種族の種族初期クラスは、本人に素質さえあれば通常のクラススキルならなんでもLv1まで限定で習得可能だ。但し使用については特定のクラススキル(主に魔法関連)については、習得していても使用出来ないし、使用出来るクラススキルもLv1までしか使えない。あと習得についても、例えば「剣士」での剣術スキル習得には+補正がつくが、そういう補正は一切つかないのでBP使用以外でのスキル習得は本来かなり厳しい。
そして剣術スキルと盾スキルにBPを割り振ろうとしてふと思いついた。前世で剣術スキルを高レベルで持っていたし記憶もある。Lv1程度ならBP使わなくても訓練で普通に取れるんじゃないだろうか?水平化スキルもあるので素質0って事はないしな。
そうして何時間か湖のほとりで前世の記憶を頼りに素振りや型稽古を行った結果剣術スキルがLv1になり、盾スキルもBP使用でLv1になった。
その後とりあえず街を目指そうと考え街道に出ると、東の方から騒ぎが聞こえてきた。用心しつつ近付いてみると街道脇の平地で荷馬車が狼の群れに襲われているようだった。どうやら荷馬車を止めて休息していたところを襲われたらしい。
護衛が3匹目の狼をどうにか仕留めていたが、その隙に別の狼に首筋を食いちぎられてしまっていた。残るは狼が2匹に対して商人らしき一人だけのようだが、どうやら腰が抜けたか怪我をしたらしく荷馬車を背にして地面に座り込みながら剣をぶんぶんと振り回している。
「さてどうするか」
今のところ狼が剣を警戒して遠巻きにしているが、このままでは時間の問題だろう。見ず知らずだし見捨てても良いがここは思案のしどころだろう。転生したばかりでこの世界の常識にも疎いし、家族や身内どころか知り合いの一人もいない状態なのは早々にどうにかしたい。とりあえずは助けてみることにしよう。
「おい、助けがいるか?」
荷馬車の裏側から近寄って覗き込みながら小声で声をかけてみた。
「た、助けてくれ。」
商人は周りを見回しながら叫ぶように返答してきた。
「謝礼は普通にしてもらうぞ?」
そう確認するとぶんぶんと首を縦に振りつつ、
「それで良いから助けてくれ。」
と応じたので、俺は荷馬車の裏から飛び出して、商人の横に回り込もうとしていた狼一匹の右目を目指して剣を突き入れた。突然の俺の参戦に狼はろくな反応も出来ず右目に剣を突き刺され、そのまま剣が反対側まで貫通して倒れた。
これで残るは1匹だけだがどうやらこの群れのリーダーらしく、周りに転がっている他の狼よりも一回りは確実に大きい。だが先ほど仕留めた狼もそうだったがこの狼も護衛から多少の傷を負わされているようだ。神眼を使って状態を確認してみると
種族 グレーウルフ
性別 ♂
年齢 5歳
クラス ウルフリーダーLv5
MP 6/20
STR 53
VIT 72
DEX 12
INT 7
AGI 76
クラススキル 咆哮Lv2
野生だけあってVITとAGIは高めだがそれだけだ。多少HPは減っているがまだ緑色だな。次いで咆哮も見てみると、
咆哮:MPを込めた咆哮により各種効果を発生させる
Lv1 仲間の戦意を高め各ステータスを僅かばかり向上させる。
Lv2 対象を恐慌状態にする。
Lv3 自分の仲間に限定せず近くの同族を呼び寄せ一定時間仲間に出来る。
Lv3がなくて本当に良かった。ここから追加の狼とか来られたらたまらない。と確認したところでウルフリーダーが唸り声をあげた。どうやら商人が荷馬車の裏に隠れようとしたのを牽制したようだ。
俺は改めて丸盾を前面に出してじりじりと間合いを詰める。そして一足一刀の間まで詰めると腰を低くしての右薙ぎを繰り出すも、ウルフリーダーは一旦バックステップで躱した後に一気に飛びかかって位置の低くなっていた首筋を狙ってきた。
どうにか丸盾に噛みつかせる事で受け止めると、そのまま一気に腰を跳ね上げ無様にさらされることになったウルフリーダーの腹部に剣を突き入れ、そしてそのまま切り裂いて止めを刺した。
一週間ぶりの投稿です。
いやぁ、戦闘シーン難しいですね。
次話は少しでも早く投稿出来るよう頑張ります。
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