第三話 転生(前編)
「それでは転生についてご説明しますね。」
あれから大慌てでミウのひざ枕から飛び起きた俺に、ミウがそう言った。
「ああ、よろしく頼むよ。」
「はい。まず転生自体についてはアルカさんがする事はなにもありません。私が責任をもって転生させていただきます。」
ふむふむ。まあ転生自体は世界の摂理って言ってたからそうだろうな。
「アルカさんにしていただくのは、前世でも使われていたボーナスポイントを使ったステータスの調整です。」
ああ、あれか。前世では完全に勇者特化振りだったな。
「厳密にはボーナスポイントは転生後でも持ち越して使用可能ですので、必ずしも今使う必要はないのですが問題が一つありまして。」
「転生後は特定のスキルがないと操作自体が出来ない事があります。転生前の今ならスキルフリーですのでここでそれらを取得する事をオススメします。」
「人物鑑定か神眼がないと、そもそも自分のステータスも見れないとかだったっけ?」
「それもですね。」
他にも何かあったっけ?あっ、采配スキルか。
「そこまでは判った。じゃあ、そろそろステータス調整始めたいんだけど一つ質問しても良いかな?」
現状のステータスを確認するとそこには
名前 アルカ・シエロ
種族 人族
性別 男
所持クラス 村人Lv1 勇者Lv1
称号 初代勇者 魔神討伐者
とあった。数字的なステータス等いくつかの項目が、未だ転生前だからか表示がされなかったり違ってたりした。問題なのは、
「なあ、所持クラスと称号のこれはなんだ?」
「勇者関連ですね。」
ミウはしれっと答えやがった。
「勇者関連ですね。じゃないだろ!」
報酬の件わすれたのじゃないだろうな?
「魔神討伐の報酬の一つに、転生後は俺自身が望まない限り世界の危機にも国家の争いにも巻き込まない。ってあった筈だよな。」
転生したらもう二度と「勇者」をする気はないんだがな。
「はい、覚えています。」
覚えていたか、それは良かった。
「ですが、これには理由があるのです。」
まずは理由とやらを聞かせてもらおうか。
「アートマでの癒しは魂が大きいほど時間がかかる、と言うのは覚えておいででしょうか?」
「覚えてるよ、お蔭様で三千年かかったしね。」
「実はそれと同じ理由なのです。魂があまりに大きくなると特定の存在にしか転生出来ないのです。」
ん?どういう事だ?
「例えば神族が死んで転生する場合、神族にしか転生出来ないのです。獣身になる場合もありますがそれとて神獣であり神族である事には違いがないのです。」
ああ、なるほどな。
「アルカさんの場合、功績等があまりに大きすぎて「勇者」を削除する事が出来なかったのです。」
あ~、前世でやりすぎたって事か。
「ん?でも「勇者」Lv1だし勇者のクラススキルもなくなってるよね?」
「報酬のお約束もありましたので、少しでも影響が少なくなるように出来る限り削除させていただきました。」
おお、実はミウ頑張ってくれてたんだな。
「それなら仕方ないか。でもさ「勇者」って世界に一人だけじゃなかったっけ?俺が持ってると「勇者」が必要になった時に困るんじゃないか?」
俺は「勇者」をする気は一切ないからな。
「その点は大丈夫です。世界に一人限定なのは実際に「勇者」をクラスに選択する場合です。所持クラスとして所持しておくだけなら、複数人いても問題ありません。」
それなら大丈夫そうか。
「ちなみに二人以上が選択しようとした場合、より相応しい人物だけが選択出来、他の人は強制的に「勇者」が外れて「村人」のような種族初期クラス等が選択されます。」
要するに、仮に俺がメインクラスに勇者をつけてても、より相応しい誰かが勇者をつけたら俺のつけてた勇者の場所には村人が強制的につくって事か。まあ勇者をつける気はないけどな。
「そっちはそれで良いとして称号の方は?」
「すみません。クラスに「勇者」が残ってしまったせいで削除出来ませんでした。」
まあ、そうだろうな。
「じゃあ、仕方ないな。あとでどうにかするさ。」
「ありがとうございます。それではステータス調整に必要なボーナスポイントを付与させていただきます。」
いよいよか。
「まず魔神討伐の報酬として500P。次いで「勇者」のレベルやクラススキルを削除変換分として200P。最後に転生までの時間経過三千年分として300P。以上あわせて1000Pを付与させていただきます。」
えらく多いな。
「前世の最初に比べてやけに多くないか?」
「あの時は事情が事情でしたし、今回は報酬としてでもありますので。」
そう言えばそうか。じゃあまずはボーナスポイント(BP)の大まかな使用方針を考えるか。
最初に所持クラスが村人だけなのでクラス固有のクラススキルの取得は今回考えない。ちなみに「勇者」は無視だ無視。それに転生前でステータスの数値が確認出来ないから、BPのステータスへの変換もナシでいいな。
となると、特殊スキルにって事になるがその中でも育成系にガッツリ振るべきだろうな。直接的なスキルについては三千年って時間経過があるから避けるのが無難だな。
例えば前世で俺は剣術を使ってたが、大昔には矛ってのが結構メジャーな武器だったらしい。けど前世の時点で既に廃れた武器で作ってる職人すら一人もいない有り様だった。もし矛術ってスキルにBP使ってたら武器そのものすら入手出来ずにBPが完全に無駄になってただろう。
他にも特定のスキルが忌み嫌われてるって可能性もある。たとえば仮に死霊術は不浄で異端で滅ぼされたスキルになってたとしたら、そんなスキル使ってたら色々と問題も出てくるだろう。
第三話です。巨大な説明回となっており前編後編に分ける事にしました。




