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これから  作者: 紫陽花
2/2

醒めた

私は一体誰を大事にしてきたのだろう



話は堂々巡りで

私は何を喋ったか覚えていない

気づいたらベッドに寝かされていた




夜が明けようとしていたが…

雨が降っていて寒かった

春の冷たい雨だった


本当に私が愛した人だったのだろうか…

ただ優しい人だった

強く言う事はなく柔らかい

今考えれば優しいのではない

ただの優柔不断で強く言えないだけと

分かるが

当時の私には彼だけだったから

明日からどう生きて行けば良いのだろうか…

そんな思考がぐるぐる回っていた




雨が激しく屋根を叩いていた

春に降るのだから春雨なのに

柔らかさは感じなかった

冷たい感じがした



結局なんだったんだろうか

一緒に居た歳月は…

意味を為さないとでも言うのだろうか

知り合って14年の時間を

あっさりと壊されるなんて…


私が悪かったのだろうか…



もうやり直せないのだろうか…



離婚しないと駄目なのだろうか…



もう私は必要ないのだろうか…



私には何もなくなってしまった


そう何もなかったのかもしれない

始めから…


彼の中に私はいないのだから

私が愛した彼は虚像だったのかもしれない


どう気持ちを整理したら

良いのだろうか






冷たい春雨が一層激しく叩きつけていた






翌朝彼は出て行き

離婚が成立した

本当にあっけなく事片付いた

紙切れ一枚で8年の結婚生活は終わった

だか気持ちはひとつも

晴れなかった

何を見ても涙が出てきた

簡単に割り切れるはずもなく

空を見ても

海を見ても

花を見ても


涙が頬を伝って流れた


物が喉を通らず

痩せ衰えた

体重が30キロ代に

なって

病院で点滴をしながら

やっと私は目が醒めた

一体は何をしているのか

このまま死ぬのか

向こうだけ幸せになって

悔しくないのか


彼は別れた後も連絡をしてきていた


気持ちを引きずっていた

私は会いたい気持ちに負け

彼を探した

彼の行動範囲など想定内だから

すぐに見つけた

案の定

向こうといた



2人で居るのを

目の当たりにすると

血がたぎるように沸騰して

抑え切れなかった


引っ叩いた


彼のメガネが飛んで

頬が赤くなった


この人はもうだめだと思った

初めて手を上げてしまった


すると

彼も切れたのだろう

私を蹴り飛ばし

だからお前はいやなんだと

常に前を行き

何でもこなすお前が嫌でたまらなかったと

大体俺より

出来が良くて可愛いげがないと

吐き捨てながら殴られた



女は立ち尽くして見ていた


暑くなろうとしていた5月だった……



そこからどう家に帰ったか

覚えていないが

病院で目が覚めた

正確に言えば

目醒めた気がした

ここまでされないと

嫌えないぐらいだったから

身も心もズタズタだったけれど……


病院の白い天井を眺めながら

今までの想い出が

走馬灯のように

駆け巡った


いい時もあったのに



彼の母に言われた言葉が

頭を過った

旦那やなくて大きい息子みたいやね

甘やかさなくていいから


よく言われたものだ


子どもがいなかったから

彼は旦那兼息子みたいなものだった




まあ可愛い気はないわなぁ…

おかんになってたんだから

世話するのが

当たり前になっていたし

ほどほどが出来なかったから








夫婦って難しい

1人が引っ張っても駄目なんだ

一緒に歩けないと

見失うんだ





今から1人で歩かないと

行けないんだ









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