気づいた過ち
続きです。
「聖様、危のうございますから。これは私が」
良と聖は何やら作っているようだ。
キリキリだったり、ガリガリだったり、色々な効果音が聞こえてくる。
「できた!! お兄様、見てみて! 竹とんぼって言うんだって」
聖に見せられたそれは木からできているT字の玩具らしい。
「こうやって手の中で摩擦して飛ばすんだって!!」
聖が勢いよく手を前後に摩擦する。
ぱっと離すと竹とんぼとやらは高く上がった。
「びっくりしましたよ。我々庶民の間では竹とんぼや竹馬、凧揚げは周知のものでしたから。やっている人が多いかと聞かれるとそうではないのですけど」
「どうして? こんなに楽しいのに!」
良は少し寂しげに笑って
「我々の中ではもうこういった遊びは古いものとして記憶の底に沈んでいるからです。私がいた孤児院ではお金がなかったのでこういう自然のものを使って作る遊びしかできなかったのですけど、ほかの子供たちはゲームや漫画などの室内で遊べるものを持っていましたから」
良が竹とんぼを持って立ち上がった。
「これは私が保管しておきます。見つかると庶民の遊びをって怒られてしまいますからね。香月様や聖様はこの屋敷の主、親方様の息子様なのですから。このような遊びはしてはいけないと言われるでしょうから」
僕はこのときようやく昨日良をひどく傷つけた事を知った。
僕と良はすべてが違う。
育った環境も
恵まれた地位も
そばにいる家族も
せっかく心を通わせて、永遠の誓いまで結んだ僕に下僕なんて言われたらそれはショックな事だろう。
僕はまた自分の事ばかり考えて良を傷つけてしまっていた。
「良、あの・・・」
「さあ、聖様も香月様ももうお稽古に戻ってください。家庭教師の先生方にまたしかられてしまいますよ」
良の目には今まで見た事のなかった拒絶の色が浮かんでいた。
誤字脱字等は・・・以下略




