第四話
今朝は貧血で倒れているので部活は休むことにした。
もっとも風邪っぽい症状が今朝より辛くなっているのもあるので大人しく帰宅した。
家に帰ると母親が今朝より心配そうに声をかけてきた。
「ちょっと、蒼。今朝貧血で倒れただって?身体大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。でも今朝よりちょっとだるいから部屋で寝ているよ。」
「ひどくなるようだったら、病院行きなさいよ。」
「わかっているよ。」
そう言って母さんは心配しすぎだよ。たかが風邪なのに寝てれば治るって、と思いながら俺は部屋に入りベッドに入り込んだ。そしていつの間にか眠っていたようで
ふと目を覚ますと真っ暗だった。携帯で時間をみるとすでに21時だった。
だいぶ寝ていたようだった。喉も乾いたのでベッドから起きようとすると身体が重い・・・
頭も痛い・・・節々もきしむように痛い・・・どうやら風邪が本格的になったみたいだった。
辛い体を引きずり部屋を出て一階に降りリビングを抜けキッチンに入ったら、
母親が片付けをしていた。俺の姿を見た途端母親は驚いていた。
「ちょっと、大丈夫?顔真っ赤だよ。熱でたんじゃないの?」
「どうもそう見たい・・・喉渇いたし身体が怠いし、頭痛いし、節々が痛いんだ。」
「とりあえず、熱測るわよ。」
そう言うと母親は救急箱から体温計をだして渡してくれた。それを脇に
挟み椅子にもたれかかった。その間に水をコップに入れてくれ、渡してくれた。
それで喉を潤して少し落ち着いた時に体温計のアラームがなった。
それを見てちょっと驚いた・・・39.6度と表示されていた。
「何度だった?見せて。」
母親は俺から体温計を受け取りそれを見た途端・・・
「ちょっと!!すごい熱じゃない。大変!!蒼、直ぐ病院に行くわよ。」
「だ、大丈夫だよ。風邪引いたぐらいで大袈裟だよ・・・」
慌てふためく母親を見て落ち着かせようと言ったが効果はなかった・・・
「なにいっているのよ。蒼の身体は普通と違うでしょ。」
「わかっているよ。だけど病院は明日でも大丈夫だよ。たった一晩の事だよ。」
母親と話をしているとそれに気がついたか父親がやってきて母親の方に味方した。
「蒼、母さんの言う通りだ。今すぐ、大学病院に行くぞ。」
父親にも言われもうしたがうしかなかった。
「・・・わかったよ。病院行くよ。」
そう俺が言うと父親と母親は安心したようだった。そうなると動きは早い。
父親が指示を出した。
「母さんは蒼の支度してくれ。わたしは大学病院の方に連絡を入れて車を出しておく。」
そう言うと母親は俺の部屋に行き着替えを用意してくれた。それに着替えてふらつく身体を引きずりながら、車の後部座席に乗り込んだ。
そして隣に母親が座り車が動き出した。
こんな時は両親の優しさが心にしみる。心配して車を出してくれる父親、隣で俺の
身体を支えてくれる母親。いつもは口うるさいと思っていてもやっぱり家族の優しさが嬉しい。
そんな中意識が朦朧としてきた時に自分では喋ったつもりはないのに一言、言葉がでた
「・・・ママ」
「あら?そんな呼ばれ方したのいつ以来かしら?懐かしいわね。どうしたの?」
母さんは優しくこちらをみて微笑んでいた。何故そんな言葉がでたのかわからないまま、親の優しさに包まれながら俺は意識を失った・・・




