第二十五話
翌日、俺は学校に向かった。
学校までの道のり、学校が近づくにつれて同じ学校の生徒が増えてきた。
そんな事に気がつかず俺は多少浮かれていた。久しぶりに翔太に、みんなに会える。驚かれるだろうけど、早くいままでのようになれるように頑張ろう。そう思いながら歩いていた。
浮かれていたせいで最初は気がつかなかったが周りにいる生徒達が自分の方を見ながらひそひそと何かを話していた。歩きながら聞き耳を立ててみると、「あれ誰だ?」「見たことないね」「転校生?」「そういえば昨日職員室に行くの見たぞ」「じゃ、きっと転校生だよ。何年生かな?」そう喋っていた。
どうやら昨日からジロジロ見られていたのは転校生と間違えられていた為みたいだった。
そう考えると昨日住吉先生が「初日は、突然教室に向かうと他の生徒が混乱するもしれないから一度職員室に来てそれからホームルームの時に先生と一緒に行こう。」と言っていた通りで登校でこんな状態だとこのまま教室に行ったら混乱してたかもしれない。
ホームルームから教室に行く事にして正解だったかもしれないと思いながら他の生徒の視線が突き刺さる中、来賓用の入り口に向かった。
入り口まであと少しというところで、ある人物が歩いていた。それはいつも見慣れた短く切りそろえられた日に焼けた為にちょっと茶色なった髪、170センチを超える身長にして綺麗に筋肉の付いたがっちりとした身体、見慣れた顔の翔太だった。どうやら朝練の終わって教室に向かう途中のようだった。
突然会えた事に嬉しくなって思わず今の自分の状態を忘れて話しかけてしまった。
「翔太、久しぶり!!」
手を大きく振りながら駆け寄って行った。すると翔太が呆気にとられてこちらを凝視していた。凝視というよりこの声をかけて来た人物は誰だ?というような疑念表情を浮かべていたのに久しぶりに会えた嬉しさでまったく翔太の表情を読み取れてなかった。
「朝練の終わりか?お疲れ!!」
笑顔で翔太に話し掛けるとなんて答えていいのか悩んだようにして返事が帰ってきた。
「・・・あ、あぁ。ありがとな」
その後、しばし沈黙の時間が流れた後にちょっと顔を赤らめつつ気まずそうに、
「今、朝練で疲れてるから話があるなら放課後にしてるれるかな。ごめんな。じゃ!そういうとで!!」
そう言うと踵を返して校舎の方へ走って行ってしまった。
「え、えぇ・・・」
訳も解らず、さらに声をかける事も出来ずに足早に立ち去って行く翔太の後ろ姿を見てる事しかできないままその姿は校舎に消えて行った。
「翔太どうしたんだ?何で慌てて行っちゃうなんて・・・」
そこまで独り言を言ったところではたと気がついた。今の自分の姿は女性・・・もしかして俺だってわかってなかったのか・・・
ショックだ。翔太がわからないなんて・・・これから大丈夫かな。心配になって来た。
翔太に気がつかれなかった事が心に思いのほかダメージを受けつつ職員室に向かった。後ろから予鈴がなっていた。
ドアをノックし職員室に入る。
「お!双葉来たな。職員朝礼がこれからあるからそこに座って待っててくれ。」
入るなり住吉先生に気が付かれ声をかけられて、ちょっとびっくりしながら言われた椅子に座り終わるのを待った。
その間にも何人もの生徒が出入りをしてこちらを物珍しい目で見て行く。すっかり見世物のようで恥ずかしくなりうつむいてこの時間をやり過ごした。
「お待たせ。さあ行こうか」
住吉先生に促されて立ち上がり、少々緊張の面持ちで教室に向かった。
職員室を住吉先生と出て教室に向かう途中いい事を思いついたと話してきた。
「どうせクラスの連中はびっくりするんだから、さらにびっくりさせてやるか!最初は転校生として入ってそれから正体をバラそう。なんか面白くなってきたぞ。」
「大丈夫ですか?そんな事して・・・」
「大丈夫だよ。最初にたっぷり驚かせておけば、少々の事では驚かなくなるから、クラスの仲間にたっぷり驚かせてやろう。」
住吉先生はそんな事言っているけど不安だ。騙したなとか恨みを買いそうな気がするんだけど・・・
俺の不安な気持ちとは住吉先生はノリノリで手順を説明してくれた。住吉先生が考えた通りに事が進めばいいけど不安になりながらもその案に従う事にした。




