第二十四話
「ちょっと、黙って聞いていれば言いたい事言ってくれたわね。私が男子と一緒?ふざけないでよ。私は女よ。何で男子と一緒なのよ。先生が差別する気?ただの女の子なのに・・・やっと出てこれたのに・・・」
そこまで言うと目から涙が流れてきた。身体の自由はきかないがちゃんと感覚があるらしい。
今、俺の身体を動かしているのは確か葵だっけな。急に体の自由を奪われたせいか妙に冷静になっていた。俺の身体を動かしている葵は涙を流しながら、嗚咽で言葉にならない言葉を発しながら自分が女性であること訴えた。それを先生方は突然の事に驚き戸惑いながら聞いていた。
そんな姿をじっと見つめていた片桐校長が「双葉さん。大丈夫、あなたは女性よ。」そういいながら優しく抱きしめられた。葵は抱きしめられると静かになった。それを確認したかのように離れ先生達の方を見ながら強い口調で話始めた。
「先生方は、双葉さんが女性である事を認めないという事ですか?一個人を差別し、否定するのですか?いい加減にして下さい。先生方がいまやっている事は、いじめと一緒ですよ。女子生徒がなぜ男子生徒と一緒?別にする?普通に考えて下さい。一人の女子生徒がクラスの女子生徒に仲間外れにされた挙句、男子生徒の中に無理やりいれられたらどう思いますか?女子生徒だけで無く、男子生徒からも相手にされずにクラス全体から仲間はずれにされたらどう思いますか?こうなったらいじめですよね。先生方がやっている事はそれと同じですよ。」
片桐校長の話を聞いた先生方は一同に下を向き、黙ってしまった。
そんな中、住吉先生が立ち上がり俺に向かって話しかけてきた。
「双葉、先生達が悪かった。すまん。お前の事はご両親からも話を聞いていたし病院で頑張っていた事も聞いていたのに本当にすまん。安心しろお前は女だ。普通の女子生徒と同じだ。なんら変わる事はない。双葉を差別なんかしないし、させない。」
あ、熱い漢が出てきちゃったよ・・・どうやら住吉先生のスイッチを押してしまったみたいだ。ああなるとむさ苦しいだけなのに・・・ちょっと呆れているとさらに右手で拳を作って胸を叩きながら「双葉、どーんと先生に任せろ!!」と言ったところで葵が話し出した。
「住吉先生ありがとうございます。嬉しいです。私も学校生活に早く慣れれるように頑張ります。」
おいおいなに勝手な事を言っているのだ。まあ、言っている事は正しいのだけど、熱い先生とそれに感化された生徒の図って感じだ・・・俺は置いて行かれている感じがして、「俺の体だ。返せ」と気持ちを強くすると再び身体の自由が戻ってきた。
そのやり取りを見ていた片桐校長はこちらを見ながら笑顔になり話しかけてきた。
「双葉さんも頑張るって言ってくれたし、きっと住吉先生のクラスなら大丈夫ね。」
そう言うと、背筋を伸ばし先生方の方を向き、
「いいですか。双葉さんは女子生徒です。普通の女子生徒と同じです。差別する事は許しません。」
先生方は、その迫力に負け素直に頷いていた。
こうして俺の先生への顔見せは終わりになった。
別人格の葵が出てきたのは驚いたけどなんとか終わった。職員室を後にして帰り道も他の生徒たちの好奇の目線にさらされてなんだかいたたまれなくなり、早足に帰路についた。




