第二話
それからは身体が弱いわけでも無いことがわかったので中学校では水泳部に所属して勉強はほどほどの成績…基、下から数えた方が早い成績でクラスメイトや部活の仲間と楽しい時間を過ごした。
あれから普通の生活が二年と数ヶ月続き・・・
何も起きないじゃないかとこんなにも悩ませたのは何だったのか両親に問い詰めたい!!
いっときなんか万が一女になった時の事を思って、こそこそ一人で女の子の仕草を
真似てみたりしていたのに・・・バカみたいだ・・・
まぁ両親もどうなるか分からないだからしょうがないのはわかっているんだけどね。
それに今はそれどころじゃない。中学生活最後の大会が3週間前に迫っているのだ。今回の大会で必ずやつに勝つのだ。やつには一年の時から一度たりとも勝てなかった…
いかにせん身長の差が大きい、やつはすでに身長170センチ越えにして綺麗な逆三角形の引き締まった身体、それに対して俺は158センチそして女みたいに細い手足…必死にご飯を食べたけど、身長どころか体重も増えなかった。
これもXX染色体のせいじゃないかと疑いたくなる…
そんな体格差を埋めるべく今日まで必死に練習を頑張ってきたのだ。そのおかげか
徐々にではあるがタイムが伸びてやつまであと少しというタイムまできていたのだ。
そんなある日、朝起きると少々身体が怠かった。大事な時期に風邪を引いてしまったかもしれないと思い、朝から風邪薬を母さんにもらい、
母さんには「無理しないで休んだら?」と言われたけど休むほどではないと朝食を
食べもらった薬を飲んでいつもの朝練に行く時間に学校に向かった。
学校に着き流石に朝練は休ませてもらい、練習を見学していた。
俺のライバルであるやつは今日も元気に泳いでいた。
練習を終えやつはバスタオルで体を拭きながら俺の隣に座った。
「珍しいな、蒼が練習見学だなんて」
「ちょっと風邪を引いたみたいで大会近いし、大事をとっただけだよ」
「風邪か、移されたらたまらんな。はっ!それが狙いか、
俺に風邪を移して大会棄権を狙っているのな!!」
「はぁ!?なんでそんなセコイ事俺がやらなきゃいけないんだよ。だいたいそれだったら俺が風邪引いていたら意味ないだろ。二人で棄権してもなんの意味もない。実力で勝ってやるからな!」
「はははっ!返り討ちにしてやるよ」
俺のずっとライバルである速水翔太は同じ水泳部の部長であり、
3年生になるまでお互い切磋琢磨して水泳では争っているがそれ以外では、
親友と呼べるほど仲である。
「まぁ、そんなセコイことされて、俺が風邪を引くわけないし負けないけどな。」
「あははは、何とかは風邪引かないっていうしな」
翔太の成績を思い出して思わず笑ってしまった。俺もどちらかといえば悪い方だけど、翔太はそれ以上に悪いのだ。
「ば、バカ言うな、頭悪いから風邪引かないじゃなくて
日頃の体調管理がバッチリだから引かないんだよ!!」
「あぁ・・・頭悪いの認めちゃったよ。そうですかぁ~そういう事にしておこう」
「むぅ・・・なんか納得が行かないが、まあいっかぁ。ところで蒼さぁ声変わりまだ…だよな?」
「何だよ突然。自慢じゃ無いがまだしてない。
今日は風邪っぽいせいか少々ハスキーな声になっているかな。」
「それっておかしくないか?俺らの中でも声変わりしてないのって蒼ぐらいだぜ。」
「たまたまだろ?背だってこんなに小さいしこれから
ガンガン背が伸びると共に声変わりもするさ」
とはいったものの、声変わりしないのは・・・
周りは声変わりするのに自分は変わらないことが気になって
以前大学病院での定期検査に行った時に聞いた時に
『多分声変わりは無いと思った方がいい、そういうところは構造が女性なんだ。喉仏も出てはこないと思っていい。まあ普通の男性でもたまに声変わりしない男性もいるからそれほど珍しい事でもないから安心していいよ。』
そう言われて改めて俺の身体はどっちつかずの中途半端なんだと感じてしまう。
「まあ、そのなりでドスの効いた声になられても
似合わないからな。蒼は今の声がいいよ。」
黙って考えこんでいた俺が悩んでいるように見えたのか、
さりげなくフォローしてくれたようだが、ちょっと気になる・・・
「そのなりとはなんだ?そのなりとは?!」
「そのまんまだろ、俺はお前が男だと知っているから気にならないが、お前のその顔は間違いなく美少女の顔だ。長い髪のカツラと女性物の洋服きせたら間違いなく学校一の美少女だ。」
「はぁ・・・まあ確かに女顔である事は前々から言われているが・・・
学校一の美少女とは言い過ぎじゃないか?」
「何をいっている。現にお前は女子生徒からラブレターだけでなく男子生徒からも
もらっているじゃないか。それも結構な数」
「確かにもらっているけど・・・俺はいたってノーマルだよ。恋愛対象は女!
男となんて気持ち悪くて付き合えるか!!大体ラブレターなんか翔太の方が
俺の倍はもらっているじゃないか。」
自慢になってしまうが、学校で俺と翔太で人気を二分しているだ。
俺は守ってあげたいと好かれ、翔太は守って欲しいと好かれ、
お互い正反対の理由からもてているのだ。
「俺は男からもらった事なんか無いけどな。まあ蒼と親友やっているけどお前がもし女だったら、親友じゃなくて恋人だな。その顔は見事にストライクゾーンだ!!はははっ」
「何バカなこと言っているんだよ!!」
と思わず風邪を引いているのを忘れて勢いよく立ち上がった時だった。
頭からスーッと血の気が引いて俺は意識を失った。




