第十七話
「いままでお世話になり、ありがとうございました。」
そう言って、病室でお世話になった先生や看護師さんたちに向かって頭を下げた。
「これから大変かもしれないが、前にも言ったが過去を振り返るのもいいがちゃんと未来をみて行くんだぞ。」
前をみて行こうと心に思いながらもなかなか自信が持てないそんな部分もあるけど
「まだ、自信はもてませんけどみなさんに良くしてもらったおかげで前をみていけそうです。ありがとうございました。」
兎に角、自信がなくても前に進む事を忘れずに行こうと思った。
「辛くなったり、わからない事あったらいつでもきていいからね。何でも教えてあげるから」
看護師さんには女性の知らない部分を色々教わった。おかげ様で日常において困る事はないと思いたい。
「いろいろ教えて頂いてありがとうございました。わからないことあったら相談させてもらいます。」
そう言って看護師さんに頭を下げた時に看護師さんが恐ろしいことを言ってきた。
「男の子との付き合い方もいつでも教えてあげるわよ。」
「え?!」
突然の事で動きが止まってしまった。そんな自分を気にする様子もなく看護師さんは話を続けた。
「蒼くんはもう女の子なんだから、男の子と付き合うこともあるでしょ?恋愛相談なら大歓迎よ。」
笑顔でウインクしながら、締めくくった。
「ちょ、ちょっと待って下さい。まだ恋愛とか無理ですよ。俺はついこないだまで男だったんですよ。男と恋愛なんて無理ですよ。」
「もったいないなぁ。それだけ可愛いかったら、男の子がほっとかないよ。学校行ったらモテモテだと思うよ。」
「そんな事ないですよ・・・自分はモテるどころか、変態扱いされるんじゃないかと心配で仕方ないですよ。」
「大丈夫よ。自信持って。今の蒼くんに容姿で勝てる女性はそうそういないから、ちょっと嫉妬しちゃうぐらいにね。だからこそ男がダメだとか拒否するんじゃなくて少しずつでいいから受け入れるようにしてみて。」
受け入れるか・・・難しいけど、頑張ってみるかと思い答えた。
「はい。頑張ってみます。」
看護師さんと俺で話していると先生が話に割り込んできた。
「なんだったら練習で俺と付き合ってみるか?いろいろ教えるぞ。」
自分は先生の突然の話に訳がわからず、呆気に取られていると看護師さんがえらい剣幕で先生に怒りはじめた。
「先生!!それは犯罪です。いい年して奥さんも子供もいるのになにいっているんですか!!」
「いや、ほら、じょ、冗談だよ。やだなぁ。そんなに怒らなくても・・・」
「冗談でも言って言い事と悪い事があります!!先生は立場考えて下さい!!」
先生は看護師さんに怒られて落ち込んでしまった。そんな先生をよそに看護師さんは俺に話しかけてきた。
「蒼くん。こういう変な人には絶対近づいちゃ駄目よ。こう言って近づく男は大体下心ありありで近寄ってくるんだからね。」
そう看護師さんにさらに言われて、もう先生は立ち直れないほど落ち込んでいるように見えるけど大丈夫なんだろうか・・・
「こういう時は甘やかすのは駄目。男は女がコントロールしてこそ幸せになれるのよ。掌で男を転がせるようにならないとね。」
そういうものなのかな。恋愛経験がないからわからないけど男ってやっぱり女性には勝てないのかもしれない。
「が、がんばります。」
「蒼くんは、男の子の気持ちもわかるんだから簡単よ。いい恋愛いっぱいしなきゃね。女は恋愛を重ねて強く美しくなるのよ。」
ちょっと看護師さんの勢いに押されてたじろいでいると
「ま、まあ、兎に角今は生活になれる事さ。余裕ができれば恋愛感情も生まれるだろう。これは私の考え方だけど、心は体に支配されていると思っている。女性の身体になったことできっと心も女性になっていくさ。慌てないで大丈夫だよ。」
いつの間にか立ち直っていた先生が、フォローをしてくれた。男を好きになれるかはわからないけど、男子とどう接していいかわからないけど、まずは普通に話したりできるようにがんばろう。
しばらくは無理かもしれないけど・・・




