表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼と葵  作者: よしくん
16/31

第十六話

検査から一夜明け俺はベッドから起き上がり窓の外を眺めて昨日の夕方の事を思い出していた。


昨日、夕方に先生がやってきて検査結果の報告と他の医師による検査の報告にきた。身体の方はもう問題ないと、すぐにでも退院出来ると言われた。そして今日の午後に退院する事が決まった。


他の医師による検査も間違いなく女性であることが確認された。子宮も存在し、子供を生むことも可能との判断が出た。この結果を裁判所に提出すれば戸籍の変更も問題ないだろうと言われた。


これで戸籍も身体もすべて女になる。だけどいざ晴れてあなたは女性ですよ。と言われると不安ばかりがこみ上げてくる。病院の中では問題なくみんな接してくれたけど、退院した後は大丈夫なのだろうか。突然男だった人間が女になって現れたら・・・クラスのみんなは?翔太は?今まで通りにしてくれるのだろうか・・・俺は・・・どう接して行けばいいんだろう?男として?女として?どうしていいかわからない。


どうしていいかわからないまま、考える事をやめて窓の外をただ眺めていた。時間だけが過ぎて行く。

しばらくたち、何もしないでいるより退院の用意をした方が気が紛れると思い、使っていた物をカバンに詰め込んでいた。しかし、昨日のうちに母親が洗濯物やら使いそうに無い物を持って帰ってしまったのでたいした物は残っていない。そのせいであっという間に終わってしまった。


また時間だけが過ぎて行く。


結局見舞いにきたのは両親だけだったなぁ。そういえばここのところ何かを忘れているような気がしていたけど、なかなか思い出せない。自分の体の事で一杯一杯でよけいなことを考える暇なかったからなんだったかな。


そういえば、部活どうしよう・・・水着を・・・新しい水着を買わなきゃいけない。でも夏の大会が終われば引退だし、このまま引退すればいいか・・・


「寂しいなぁ、最後の大会でたかったなぁ」


そんな独り言を言っている時だった忘れていた事を思い出した。


「あっ!!最後の大会で翔太と勝負をするんじゃないか!!」


どうしよう・・・こんな体じゃ大会に出られない。他のスポーツなら男装してごまかせるかもしれないけど、水泳はそうは行かない。水着姿になったらバレバレだよな・・・諦めるしかないか、最後まで負けっ放しで終わるのか悔しいけど、女の体で出るわけにも行かないし入院している間は当然練習なんかしてないしこんなんじゃ勝てる訳ないよな・・・


悲しさと悔しさで落ち込んでしまっていた。何もする気がおきなくてベッドに横なり天井をなに見るわけでもなく見つめていた。


どれくらい時間がたっただろうか、意識がだんだんと遠のき意識を手放そうとした時、突然声が響いてきた。


『ばかじゃないの?なに落ち込んでいるのよ。勝負したきゃ大会じゃなくてもできるでしょ。学校にプールがあるんだからそこで挑めばいいじゃない。あなたが落ち込むと私まで影響出るんだからやめてよね!』


突然の声に驚いてベッドから飛び起きた。


「だ、だれ?どこにかくれているんだ?」


しかし俺の呼びかけには何の反応もなかった。いったい誰が話しかけているんだ?たまに聞こえるこの声は・・・


兎に角何処かに誰かがいるわけだから恐る恐る病室の中をベッドの下やカーテンの裏側や窓を開けて外を見てみて探してみたが誰もいなかった・・・

これって幻聴なんだろうか、それとも霊とかの声が聞こえるようになったのだろうか、一度先生に相談してみようかな・・・


でも声の主が気になるが確かに謎の声の言う通りだな。翔太との勝負は大会でなくてもできるよな。今から練習して挑めばいいんだ。


そう思うと謎の声の主は気になるがなんだか元気が出てきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ