第十五話
翌日、これから検査をするために昨日の夜から何も食べてなくてお腹がペコペコだけどもう少し我慢しないといけない。検査終わったらなに食べようかなと妄想していると看護師さんがやってきた。
「蒼くんそろそろ検査に行くから用意して。」
「いつでも大丈夫です。ちなみに聞きたいですけど・・・」
「なぁに?私でわかる事なら教えるよ」
そう言ってにこやかにこちらをみていた。
「検査って何をするんですか?」
「検査の内容かぁ」
「どんな検査をするのか不安で・・・」
「言い辛いけど、ちょっと恥ずかしいかもね・・・今回の検査は退院して大丈夫かの検査も含まれているけど、大半は女性かどうかの検査だからあまり見られたくないとこまで見られると思うから覚悟はしててね。」
あちこち見られるのか・・・なんかヤダな。我慢するしかないか・・・
「そんなに落ち込まないで、これが終われば退院出来るんだから、ちょっと我慢よ。そうすれば晴れて自由よ。」
そう言って落ち込み気味になっている俺を看護師さんは励ましてくれた。
「それじゃ行きましょうか。」
「はい。」
こうして俺は女医さん4人に体中を検査された。下半身を裸にされ変な台に乗せられて足首を固定され上半身と下半身の間にはカーテンがかけられ向こう側の様子がわからない。何やら話し合いながらあちこち触られてなんとも男の時には感じたことない不思議な感覚だった。
それ以外にも超音波検査や触診や内視鏡検査などを得て検査は無事に終わった。
検査の内容は、誰にも話さないでおこう・・・とてもじゃないけど言えないような事もされたし、身体の隅々までくまなく見られた。もう二度とされくない・・・
精神的にかなり疲れた・・・
やっとの思いで病室に戻りベッドに横になった。そこに看護師さんがやってきた。
「蒼くん、お疲れ様。」
「無茶苦茶疲れました。特に精神的に・・・あんな恥ずかしいことはもうこりごりです。」
「大変だっだね・・・でもこれで検査も終わったし、もう大丈夫よ。」
「これ以上検査したら、恥ずかしくて死んじゃいますよ・・・」
思わず、検査の時を思い出して鳥肌が立ってしまった。
「鳥肌立てちゃって、本当にやだったのね。でもこれから先女性として生きて生きて行く為には、こういう機会は、妊娠だったり、子宮がん検診だったり、乳がん検診とかでありえる事だから慣れるとこも必要よ」
これからもこういう機会があるのか・・・気が重い、そう思いながら愚痴っぽく答えていた。
「そうなんですか・・・女性って大変なんですね。」
「そうね。生理のことももあるし今は女性としての知識をちゃんと持つ事も大切よ。頑張ってね。」
そうか、これからは生理も・・・大丈夫なんだろうか、でも逃げることもできないし兎に角なれるしかない。そう思いながら答えた。
「はい・・・自信ないけど頑張ります。」
「大丈夫よ。誰だって初めての時は不安だったのよ。それを乗り越えて毎月付き合って行くものだから蒼くんも大丈夫よ。」
これからは少しでもいいからこの身体に慣れていくしかない。




