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蒼と葵  作者: よしくん
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第十話

一人になった俺は薬のせいでまだ身体がほとんど動かない身体を動かして自分の状態を確認したかった。しかしまだ腕がかろうじて動く程度でそれ以外力が入らず、身体を動かす事はできなかった。


それ以上に自分の身体の変化を確認するのが怖かった・・・

確認したらその事実を受け入れるしかなくなる。できる事なら確認しないでいたい・・・

そんな恐怖を感じながらしばらく天井を見つめていた。


それからどれ位の時間が過ぎただろうか?身体が動かないせいか、比較的に冷静に考えられた。


この状況は、身体を自分で確認してないが多分後戻りはできない。男から女になったが女から男に戻る事は無理だろう。女として生きていくしかない。頭ではわかっているが俺である自分捨てわたしとしてやっていけるのかな・・・、俺が男を好きになるとかあり得るか・・・今後の事を考えると不安がいっぱいだ・・・


だけど、さっき先生が言ったように前を見て行くしかないだよな・・・


あれこれ考えていると大分時間が経過していたようで、お腹が空いてきた。


カーテン外の明るさからすればお昼ぐらいか、こんな事態におちいってもお腹は空くんだな・・・そんな自分の身体に呆れながら、腕を動かしてみると比較スムーズに動く。寝返りをしてみると目が覚めた時はできなかったが簡単に出来た。どうやら薬の効き目がだいぶ抜けていたようだった。


動く身体を再度確認してゆっくりと上半身を起こし枕を背中に当ててベッドのフレームに寄りかかった。そこで首回りにまとわりつく違和感を感じた。手で確認するとそれは髪の毛だった。どういう事?もしかして父さんか母さんがカツラでもかぶせたのかな?そうだよな水泳をやっていると何かと髪の毛が邪魔だったから短くしていたから、身体が女になったからそれに合わせてかぶせてくれたのかも・・・


病院の中でそんな気を使わなくてもいいのにと頭に手をやりカツラを外そうと引っ張ると痛い・・・


「え・・・」


驚いて思わず声が出てしまった。再度引っ張ってもやはり痛い・・・

接着剤か何かでくっつけてある?そんな事する必要なんか無いだろう・・・


髪の毛の一本を引っ張り痛いのを我慢して抜いてみた。そうすると痛みと共に地肌から抜ける感覚が・・・

カツラじゃなくて地毛?この10日間で髪の毛が伸びた??


抜いた髪の毛はゆうに6~70センチの長さがある。


あり得ない早さで髪の毛が伸びた事に驚いた。それに髪の毛の色まで変わっている。俺の髪の毛は本来は黒だけど、この髪の毛は赤毛だった。長さも色も変わってしまっていた。そんな長さの髪の毛をどうしていいかわからず一回手でまとめて束ねようと思ったけど束ねるものがなかった。仕方ないので後ろに放り出した。


そしてそっと自分の胸を確認したそうすると病院でよく見る入院患者が着る寝間着を自分が着ていることに始めて気がついた。そして胸のところは今までなかった小さな膨らみが・・・


恐る恐るその胸に触れてみると小さいながら手には柔らかいクッションのような感触があり、胸は握りつぶされるような感触があった。


手の感触、胸の感触、間違いなく自分の胸には二つの膨らみが存在した。


思わず自分で触って恥ずかしくなってしまい手を離す、ふと離した腕を見て細い・・・元々細かったがさらに細くなった。細くなったというより骨と皮だけと言った方がいいかもしれないぐらいの細さだった。気になって肋骨のあたりも触れてみたがここも骨が浮かび洗濯板のようだった。どうやら10日間で急激に体重が落ちてしまったみたいだった。


こうなると自分の身体の状態を実際に確認してみないと・・・


決して女の身体をみたいとかそんなスケベ心ではない・・・はず。


まずは自分の状態を確認してこれからの事を考えないといけないのだから仕方ないのだ。自分に言い聞かせて寝間着の前閉じていると結び目に手をかけて解き、寝間着の前を開こうとした時だった。

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