第2話 まだ見ぬ恐怖と視えた恐怖
短くてすいませんorz
執筆中にインフルエンザに掛かり死んでました。
次こそは早めに投稿…出来たらいいなぁ。
「ではこちらへどうぞ」
そう言われて赤い髪の女性に連れてこられた場所は側に暖かそうな暖炉や柔らかそうなソファーもある憩いの場という感じの場所だった。
まぁ憩いの場、というには少し大きすぎる部屋のような気もするけれど。
だって見た感じ軽く40畳はありそうだし。
ここだったら簡易的なパーティーだって開けそうですよ?
少し照明が少ないことを除けばだけど。閑話休題―――
「さて…何からご説明いたほうがよろしいのでしょう」
「まず君は誰?そしてここはドコ?」
そんな小さな呟きにもボクは過敏に反応してしまった。
目の前の女性もまさか聞かれていたとは思っていなかったらしく目を丸くしていた。
人の呟きに聞き耳立てる、なんて真似は過程はどうあれ正直無粋だと思う。
でも現状のままではどうしても気が気でない。
実際目の前の女性の名前も知らないようじゃまともに会話も出来ないし、そもそも相手はボクの(といってもエディットしたキャラのだけど)名前を知っていた。
なのに自分は相手の名前すら知らない、なんてあまりにも不平等だ。
圧倒的に相手の有利な状況で平等不平等もないけれど、最低でも名前ぐらい知ってないとどうにもならないしね。
応対に思うところあったのかその女性は一瞬、本当にわずかな瞬間だけ顔を強張らせたものの、軟らかい笑みを浮かべながら言葉を紡ぐ。
「わたくしの名前はサティーナ。これでも魔族の中では中堅クラスの実力はあるかと自負しております。そしてここは我が主、アイズ・サヴェンツィ様の居城にございます」
「主……? ボクが? 君の?」
「はい。それではまず今のアイズ様の状況についてご説明致しますのでこちらにどうぞ」
そう言ってサティーナはソファーの方へ誘導する。
話が長くなるからか、それともさっき言っていたようにボクの従者だからなのかはさておき、確かに立ちっぱなしで話をするというのも無粋なためボクはそのソファーに腰掛けた。
身体の重みで深く沈むソファーはたいそうお金がかけてあるような所謂一流ブランドの高級品としか言いようの無いぐらいの逸品で、庶民出身のボクからすればこんなソファーに座るだけでまた場違いな感覚に苛まれる。
サティーナはというと近くの暖炉に薪をくべると小さく何事かを呟き手から火を出していた。
その光景に自分はファンタジーな世界にいるということを再確認させられ、若干気落ちする。
そんなボクの心情のことなどまったく気にも留めていないのか、サティーナはボクの対面の位置に座りなおすと再びあの軟らかい笑みを浮かべた。
ようやく説明会が開始されるらしい。
「まず初めにアイズ様は魔族の中でも特に優れた種族、吸血鬼と呼ばれる魔族になります。アイズ様も本能的には理解されているかと思いますが……」
「……」
確かにボクはさっき日の光を知っている知識として、というより本能で避けようと考えた。
これは吸血鬼の本能が危険と判断した結果なんじゃないだろうか?
決して促されたからそれに従った、というだけじゃない。
確かにボクは自分を吸血鬼として自覚し始めている。
そこまで考えて身の毛がよだつ感覚に襲われた。
ボクは何を考えた?
自分が吸血鬼として自覚している?
それは自分が自分ではなくなるような奇妙な感覚で、それを自覚してからは身体が振るえ始めた。
誰しも自分が上書きされていたというものは恐怖を抱くことだろう。
しかしそんな時でもこれが恐怖と呼ばれる感情なのか、と冷静に判断するボクが居る。
「―――大丈夫。続けて」
「はい。その吸血鬼の中でも"真祖"の血筋を受け継ぐものを純血種。受け継いで居ないものを混血種もしくは雑種と呼びます」
「ちなみにボクはどっちだかわかる?」
「もちろん存じております。アイズ様は純血種の中でもさらに濃い純血種同士から生まれる非常に濃い血筋をお持ちと窺っております」
純血の姫と呼んだ方がよろしいかもしれません。という声が聞こえた気がしたがボクの頭の中は望んでいたものとの差に落胆していた。
「また、吸血鬼と一括りに述べましてもその中には多種多様な力を持つもの達がおります。者によっては死者の魂を自在に使う死霊使いと呼ばれる者も居れば、逆にその魂を取り込んでその能力を行使する祈祷師と呼ばれる者もおります。吸血鬼に関しましては力の強さが血の濃さにもなりますので、アイズ様に関しましてはその強さ稀に見ぬものがございました」
とは言え、自他共に認める産まれたばかりの吸血鬼見習いであるボクにそんな力なんてあるとは思えないけど。っていうか、なんで過去系?
「……それは。わたくしが先代のアイズ様に仕えていたからでございます」
はい……?先代のボク?仙台じゃなくて先代?
っていうか今―――
「もしかしなくてもサティーナはボクの心が読めたり?」
「……読むことは可能ですが、アイズ様の心を読むなんてそんな恐れ多い真似など行えるわけがございません」
まぁ、アイズ様は顔に出てくるので読む必要もありませんが、という小さな呟きをボクはしっかりと聞いた。
どうにもこの身体は五感がずば抜けて優れているようだ。
そして今更ながら感情的になりやすい気がする。
元々ボクはそれなりに落ち着いた人間だったはずなのに…。
まぁこんな非日常的な状況下になれば人間狂ってもしょうがないけれどね。
「今のアイズ様は先代のアイズ様の因子を受け継ぎ転生した姿になります」
「因子を受け継ぐって一体どういうこと?」
「そうですね―――解り易く言えば先代のアイズ様の血肉を元に肉体が再構成された姿、と言えばよろしいでしょうか。容姿もそっくりでございます―――若干幼いですが」
「そ、それって…蘇生能力…?」
「…完全な蘇生ではなく、輪廻転生だと先代のアイズ様はおっしゃっておりました。そもそも濃い血筋を持つ吸血鬼の方々は生まれもって特殊な力を持つ方々が多く、先代のアイズ様もその輪廻転生を含め不思議な力をお持ちになっておりました」
「先代のボクっていうのはどんな能力を持っていたの?変身とか?」
不思議な力……吸血鬼としての力のことだというなら、ボクにはさっぱりわからないけれど。
例えば吸血鬼と言えば蝙蝠や狼に変身出来たり、吸血することで相手を従者にしたり、とかかな?
でもそれは吸血鬼としてわりかし有名な話だと思うし…
「いえ、先代のアイズ様が持っていらした能力はそんな一般的なものではございませんでした。確か未元物質と名乗っておりましたね」
「だ、未元物質?!」
ちょっと待て、先代のボク、一体何をやっているんだ?!
未元物質?!それってもしかしなくてもあの小説のあの能力だったりするのか?!
「あー…ちょっと聞きたいんだけどいいかな?」
「はい、なんなりと」
「あー…その未元物質ってさ、どんな能力か聞いてたりする?」
「詳しいことは教えていただけなかったのですが、能力を発動させると背中に白い羽が生えていましたね。何故かその時『私に常識は通用しねえ!』と叫んでおられましたが」
あー……うん。
多分あの小説のあの能力だ。きっとその台詞を言う時はキリッとした顔になるんだろうな。
とは言えそこで新たな疑問が出てくる。
何故先代のアイズ・サヴェンツィはそれを知っていたんだろう?
都合よくこの世界にその小説があった?
いや、その可能性は限りなく低いはずだ。
それよりも考えられるのはその先代がボクと同じ現代人だった、ということ。
それなら知っている人は知っている。
ボクもよく読んでいたしもし生まれ変わってあの世界の能力が使える、というなら是非使ってみたいと思える能力だ。
そこまで考えてボクはとある考えが頭を過ぎり目を見開いた。
一瞬にして体が震えだし、あまりの恐怖に身体を抱き締め震えるボクにサティーナも危機感を覚えたのかボクの額に手をあて何かを呟いていた。
次の瞬間、ボクの意識は深い闇の中へと沈んでいくのだった。
あぁ、ボクはなんて世界に来てしまったんだろう?これが夢なら覚めてほしい―――
番外編
妹「ねぇ、お母さん」ウワメヅカイ
母「何?解らないところでもあったの?」
妹「あのさ、勉強も大事だけど息抜きも大事だと思うの」PCトカPCトカPCトカ
母「そうね。確かにこんな閉め切った部屋だと気も滅入るわよね」ヨッコイショウイチ
妹「でしょ?だからさ、10分ぐらい休憩しよ」ktkr
母「部屋は空けておくから。10分後に戻ってくるのよ?」スタスタヘヤノソトヘ
妹「ktkr!いよっし!PCが私を待っている!!ってあれ?私のノートは…?」
母「(PCを持ち出しておけば問題ないでしょう)」
妹「」
母「NDK?NDK?」
妹「」。・゜・(ノД`)・゜・。ウエエェェン