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第4章 — 学びの年月

初めまして、ヴァンガードです!新しく逆異世界ファンタジーの連載を始めました。毎日18時に更新予定ですので、よろしくお願いします!

レオが帝国アカデミーの特別プログラムに入ってから、3年の月日が流れていた。


アッシュベール村からやって来たばかりの、怯えた6歳の少年の面影は、今の彼という人物の中に少しずつ溶け込み、消え去ろうとしていた。


7歳になったレオは、自分を取り巻く広大な世界にもすっかり慣れ親しんでいた。


帝都はもはや、途方もなく広大で圧倒されるような場所には見えなかった。


アカデミーへ続く道も知っている。


夜遅くまで開いている図書室も知っている。


勉強に集中できる静かな庭園も知っている。


質問を歓迎する教授と、まずは話を聞くことを好む教授の違いも知っている。


何よりも、この街に「よそ者」として居るような感覚は、もう消えていた。


帝都は彼にとって馴染み深い場所になっていた。


そしてアカデミーは、それ以上に大切な場所になっていた。


そこは彼の学校であり、


彼の家でもあった。


その日の夕食にありつけるかどうかを心配することなく、学びに打ち込める場所。


本が贅沢品ではない場所。


質問することが咎められるのではなく、推奨される場所。


レオは、そのあらゆる機会を活かそうと考えていた。


「レオ」


返事はない。


「レオ」


やはり反応はない。


「レオ!」


ようやくレオは顔を上げた。


トーマスが腰に手を当て、目の前に立っていた。


「何?」


トーマスは信じられないものを見るような目で彼を見つめた。


「もう1分近くも話しかけてたんだぞ」


「ごめん」


「何してたんだ?」


「読書」


「それは見てわかるけど」


トーマスはレオの手にある本を指差した。


「何を読んでるんだ?」


『第三次拡張期における帝国の輸送網整備について』


トーマスの表情から力が抜けた。


「……なんで?」


レオは心底不思議そうに言った。


「興味があったから」


「朝の7時だぞ」


「うん」


「授業だってまだ始まってない」


「わかってる」


トーマスはため息をついた。


「朝起きて、『今日は何もしないぞ』って思うことなんてないのか?」


レオはその問いを真剣に考えた。


「ないね」


トーマスは彼を見つめた。


「だろうな」


レオは小さく微笑んだ。二人は学院の東側にある回廊に立っていた。そこには巨大な窓があり、早朝の陽光が磨き上げられた石の床を照らしていた。


生徒たちが続々と登校してくる時間だった。


使用人を伴って貴族の屋敷からやってくる者もいれば、


王都内の自宅から通う者もいる。


遠方の地方から来て、学院の寮で生活している者もいた。


彼らの間には、明らかな違いがあった。


家紋があしらわれた高価な制服を着ている生徒もいれば、


同じ制服でも簡素なものを身につけている生徒もいた。


レオの制服は、その中間といったところだった。


それは学院から支給されたものだ。


着心地が良く、丈夫で、体に完璧にフィットしていた。


彼自身、それがどれほど高価に見えるかなど、あまり気にしていなかった。


だが、トーマスは別のことに気づいていた。


「もう三日もその本を読んでいるな」


レオは頷いた。


「帝国がなぜ主要な街道のほとんどを中央の州の周辺に整備したのか、知りたかったんだ」


トーマスはまばたきをした。


「わかったのか?」


「ああ」


「なぜだ?」


「貿易のためさ」


「それだけか?」


「大体はね」


トーマスはため息をついた。


「お前は、どんなことでも面白そうに語るよな」


レオは本を閉じた。


「何だって面白いものさ」


トーマスは笑った。


「まさに、そういうところだよ」


二人は教室へと歩き出した。


歩いていると、レオは学院の中央掲示板の周りに数人の生徒が集まっているのに気づいた。


トーマスはすぐに興味を示した。


「何があるんだ?」


二人は近づいていった。


そこには大きな告知が貼り出されていた。


『上級魔法理論試験――第二学期』


トーマスはうめき声を上げた。


「うわっ、最悪だ」


レオはその告知に目を向けた。


「いつだ?」


「三週間後だ」


トーマスは青ざめたような表情を浮かべた。


「時間が足りないよ」


レオは首をかしげた。


「三週間あれば、かなり長い時間だぞ」


「お前にとっては、な」


レオは微笑んだ。


「勉強を手伝おうか?」


トーマスはためらった。


「……そうだな」


「じゃあ、手伝うよ」


トーマスはにやりと笑った。


「助かるよ」


背後から少女の声が聞こえた。


「二人とも、もう勉強の話?」


レオは振り返った。


リディアが数冊の本を抱えて近づいてきた。


トーマスはレオの方を指さした。 「俺を責めないでくれよ。試験を娯楽だと思ってるのはあいつなんだから」


リディアは笑った。


「おはよう、レオ」


「おはよう」


彼女は掲示物に目をやった。


「心配なの?」


トーマスはため息をついた。


「すごくね」


レオは評価試験のスケジュールに目を向けた。


「難所になるのは、たぶん実技の方だろうな」


リディアは眉をひそめた。


「どうして?」


「理論の方は、出題内容が予測できるからさ」


トーマスは彼をじっと見つめた。


「予測できる?」


レオは頷いた。


「実技では、おそらく不安定な魔力循環が課題になるはずだ」


リディアは驚いた様子を見せた。


「どうしてわかったの?」


「教官たちが試験課題にするとして、それが一番理にかなっているからだよ」


トーマスはゆっくりとリディアの方を向いた。


「ほらな?」


「何が?」


「あいつ、もう試験の内容を見抜いてるんだ」


レオは首を振った。


「いや、まだだよ」


トーマスはため息をついた。


「それはそれで、なんだか嫌な感じだな」


最初の授業は魔力理論だった。


アルドレン教授が数冊の分厚い本を抱えて教室に入ってきた。


生徒たちはすぐに静まり返った。


アルドレン教授は机の上に本を置いた。


「今日は、高度な魔力循環について講義を行う」

何人かの学生がうめき声を漏らした。


一方、レオは背筋を伸ばして座っていた。


それに気づいたアルドレン教授が微笑む。


「興味があるようだね、レオ」


「はい、教授」


「よろしい」


彼は巨大な黒板の方を向いた。


その表面に、複雑な図が浮かび上がった。


互いにつながったいくつかの魔力経路が、円形のパターンを形成している。


「これは帝国魔導工学で用いられる、標準的な魔力循環モデルだ」


レオはその図をじっくりと観察した。


アルドレン教授は基本原理の説明を続けた。


魔力は最初の経路に入り、


二番目の経路を通り、


三番目の経路へと誘導され、


やがて中央のコアへと戻る。


他の学生たちは熱心にその図を書き写していた。


レオはそれを見つめていた。


単に図を眺めているだけではない。


なぜそのような設計になっているのかを理解しようとしていたのだ。


数分後、彼は手を挙げた。


アルドレン教授がそれに気づく。


「何かね?」


「教授」


「言ってみたまえ」


レオは三番目の経路を指さした。


「なぜ魔力はこの結節点ノードを通らなければならないのですか?」


アルドレン教授は微笑んだ。


「その結節点が循環を安定させるからだよ」


レオは頷いた。


「しかし、それによって出力が低下することにもなりませんか?」


教室が静まり返った。


アルドレン教授は言葉を区切った。


「厳密に言えば、そうなるな」


「どれくらいですか?」


「通常の条件下では、およそ8パーセントだ」


レオは再び図に目を向けた。


「それなら、ここへ移動させれば効率が上がるのではないでしょうか?」


彼は別の箇所を指さした。


アルドレン教授はその場所を凝視した。


何人かの学生が身を乗り出した。


「説明してみたまえ」


「もし安定化のための結節点を四番目の循環ポイントの後に移動させれば、魔力はすでにその移動の大部分を終えていることになります」


アルドレン教授は腕を組んだ。


「では、余剰エネルギーはどうなる?」


レオは少し考えた。


「別の場所へ誘導できるはずです」


「どこへだ?」


レオは外側の輪を指さした。


「ここへ」


アルドレン教授は図を見た。


それからレオを見た。


そして再び図に目を戻した。


やがて、彼は微笑んだ。


「面白い」


彼はチョークを手に取った。


「君の考えを試してみよう」


彼は魔導図に修正を加えた。


黒板全体に淡い光が広がった。


学生たちはそれを見守った。魔力が、改変された構造の中を流れていった。


数秒間、何も起こらなかった。


やがて、図式全体が明るく輝き出した。


アルドレン教授の眉が上がった。


出力の数値が上昇した。


何人かの学生が息を呑んだ。


トーマスがリディアの方へ身を乗り出した。


「今のって、教授の数式を変えたのか?」


リディアが小声で答えた。


「そうみたいね」


アルドレン教授がレオに目を向けた。


「その通りだ」


レオはまばたきをした。


「本当ですか?」


「ああ」


教授は微笑んだ。


「君の改変によって、効率が約6パーセント向上している」


レオは嬉しそうな表情を浮かべた。


「それはよかった」


アルドレン教授は笑った。


「実に素晴らしい」


彼は教室内を見渡した。


「書き留めておきなさい。我々は今、一般的に使われている循環モデルを改良したのだ」


何人もの学生が、すぐに新しい数式を書き写し始めた。


トーマスがレオを見た。


「なあ、時々思うんだけど、お前って本当にただの学生なのか?」


レオは不思議そうな顔をした。


「それ以外に何だっていうんだい?」


「さあな」


トーマスは首を振った。


「何か、恐ろしいもの……とか」


レオは小さく笑った。


レオの成長とともに、学院のカリキュラムはますます過酷なものになっていった。


魔法は、彼の教育のほんの一部に過ぎなかった。


午前中は数学、魔法理論、歴史、そして語学の授業があった。


午後は政治学、地理学、錬金術、法学、そして魔法の実技演習に充てられた。


精霊学だけに費やされる日もあった。


軍事史に重点を置く日もあった。


レオはすぐに、どの科目もそれぞれ異なる理由で面白いと感じるようになった。


数学は構造を教えてくれた。


歴史は結果を教えてくれた。


政治学は人間の行動を教えてくれた。


地理学は環境がいかに文明を形作るかを教えてくれた。


錬金術は忍耐を教えてくれた。


法学は社会がいかに秩序を築こうとするかを教えてくれた。


魔法は、自然が書物で語られるよりもはるかに複雑であることを教えてくれた。


そして、精霊生態学……。


精霊生態学は、何よりも彼を夢中にさせた。


なぜなら、精霊は単なる研究対象ではなかったからだ。


彼らは常に、レオのすぐそばにいた。


ある日の午後、レオは学院の西の庭にある小さな池のほとりに座っていた。


小さな水の精霊が、水面すれすれの空中に浮かんでいた。


レオはそれをじっと見つめた。


「疲れているのかい?」


精霊は首を横に振った。 「その池、気に入った?」


それは頷いた。


レオは微笑んだ。


「どうして?」


精霊はその場でくるりと回った。


「よく分からないな」


精霊は水の中に飛び込んだ。


レオは笑った。


「説明するのはあまり得意じゃないんだね」


近くの花の下から、小さな土の精霊が現れた。


それはレオの靴の上に登ってきた。


レオは視線を落とした。


「やあ」


精霊は手を振った。


「僕に会いに来たの?」


それは頷いた。


レオはそっとそれを持ち上げた。


「それなら、ここにいていいよ」


精霊は嬉しそうに、彼の掌に落ち着いた。


他にもいくつかの精霊が現れ始めた。


風の精霊が木々の間を漂っていた。


小さな炎が空中に浮かんでいた。


レオはそれらが集まってくるのを眺めた。


なぜ精霊たちが自分に対してこれほど打ち解けているのか、彼にはまだ完全には理解できていなかった。


学院の学者たちは、長年にわたってその現象を研究していたのだ。

彼らは実験を重ねていた。


精霊たちを観察し、


その振る舞いを記録していた。


だが、結論は変わらなかった。


精霊たちは、自らの意志でやって来たのだ。


レオは決して彼らを強要しなかった。


命令することもなかった。


魔術の道具として扱うこともしなかった。


そして、それこそが彼らがレオを信頼した理由だったのかもしれない。


やがて、アルドレン教授が庭のレオのもとへやって来た。


「ずいぶんと集まったものだね」


レオは周囲を見渡した。


「呼んだわけじゃないんです」


「わかっているよ」


教授は彼の隣に腰を下ろした。


「だからこそ、これは驚くべきことなんだ」


小さな火の精霊が、レオの肩の近くに浮かんでいた。


アルドレン教授はそれをじっと見つめた。


「多くの精霊魔術師は、たった一つの精霊とつながりを築くために何年も費やすものだ」


レオは火の精霊に目を向けた。


「難しいことだとは感じませんけど」


アルドレン教授は微笑んだ。


「君にとっては、ね」


レオは少し眉をひそめた。


「なぜ、他の人たちには難しいんですか?」


「精霊は道具ではないからだよ」


レオは教授を見た。


教授は言葉を続けた。


「現代の魔術理論の多くは、契約を魔術師と精霊との間の取り決めとして扱っている。魔術師が魔力を提供し、精霊が魔術的な助力を与える、というようにね」


レオは頷いた。


「でも?」


「君と彼らの関係は、その構造には当てはまらないようだ」


レオは精霊たちに目をやった。


「彼らは何もする必要がないんです」


「その通りだ」


「じゃあ、なぜ人は契約を結ぶんですか?」


「多くの人は、自然にそうした関係を築くことができないからだよ」


レオは少し考えた。


「だから、お願いするんですね」


「ああ」


「そして、精霊がそれを受けるかどうかを決める」


「正解だ」


レオは頷いた。


「なるほど」


アルドレン教授は微笑んだ。


「何世紀にもわたって学者たちが議論してきた問題を、まるで解決してしまったかのような言い方だね」


レオは首を振った。


「何も解決してはいませんよ」


「そうかもしれない」


教授は精霊たちの方へ視線を向けた。


「だが、君は我々に何かを教えてくれているのかもしれない」


レオは微笑んだ。


「僕はむしろ、彼らから学びたいですね」


アルドレン教授はくすりと笑った。


「君ならそう言うだろうと思っていたよ」年月が経つにつれ、レオと精霊たちとの絆は深まっていった。


火の精霊は、彼のそばでくつろぐようになった。


水の精霊は、学園の噴水の周りで彼について回った。


風の精霊は、時折、廊下を歩く彼に付き添った。


土の精霊は、彼が庭園を訪れるたびに姿を現した。


彼らは常にそこにいるわけではなかった。


彼らはあらゆる要求に従うわけでもなかった。


そして、レオもそれを期待してはいなかった。


彼らは気が向けばやって来て、


気が向けば去っていった。


レオはそれを当然のこととして受け入れていた。


彼にとって、友情とは所有することではなく、


信頼することだったからだ。


その考え方はやがて、学園の誰もまだ予測し得なかった形で、彼の魔法への理解に影響を与えることになる。


レオの高まる評判を、すべての生徒が好意的に見ていたわけではない。


彼に憧れる者もいれば、


尊敬する者もいた。


単に友達になりたいと願う者もいた。


一方で、嫉妬心を抱く者もいた。


ある日の午後、歴史の授業を終えた生徒たちが教室から出ていく中、レオは背後からいくつかの声を聞いた。


「あいつはいつも成績トップだな」


「当然だろ」


「精霊が味方してるんだからな」


別の生徒が鼻で笑った。


「不公平だよな」


レオは足を止めた。


振り返りはしなかった。


トーマスがそれに気づいた。


「レオ?」


レオは彼を見た。


「何?」


トーマスは他の生徒たちの方に視線をやった。


「気にすんなよ」


レオは頷いた。


「怒ってなんかないよ」


トーマスは微笑んだ。


「よかった」


レオは再び廊下の方に目を向けた。


怒ってはいなかった。


ただ、考えていたのだ。


それは不公平なことなのだろうか?


おそらく、そうかもしれない。


確かに精霊たちは、他の生徒にはない利点を彼にもたらしていた。


だが、彼はそうした利点を求めたわけではなかった。


それに、精霊たちに自分を好くのをやめるよう命じることなど、できるはずもない。


それでも、一部の生徒が苛立ちを覚える理由はレオにも理解できた。


彼は人について学び、嫉妬というものが往々にして自信のなさから生じることを知っていたからだ。


自分が遅れをとっていると感じている者は、先を行く相手に反感を抱くことがある。


だからといって、彼らの振る舞いが正しいわけではない。


だが、理解はできることだった。


レオは歩き出した。


彼らを憎んではいなかった。


ただ、彼らの嫉妬心によって、自分が彼らにどう接するかを決めさせたりはしない、と決めていただけだった。


その日の夕方、レオは学園の図書室に座っていた。


彼の周りには、何冊もの本が積み上げられていた。トーマスはテーブルの向かい側に座っていた。


リディアは彼の隣にいた。


セドリックも加わっていた。


トーマスは疲れ切った様子だった。


「もう2時間も勉強してるんだ」


レオは頷いた。


「いいことだ」


「でも、何も理解できてない」


レオは彼の方へ本を押しやった。


「ここから始めよう」


トーマスはそのページに目をやった。


「どうして?」


「基礎が説明されているからだよ」


トーマスはじっと見つめた。


「もう読んだの?」


「ああ」


「何回?」


レオは少し間を置いた。


「何度か」


トーマスはため息をついた。


「やっぱりね」


リディアが微笑んだ。


「彼の説明通りにやってみて」


セドリックも頷いた。


「下手に教授から教わるより、彼の方がずっと分かりやすいよ」


レオは居心地が悪そうにした。


「そんなことないよ」


「いや、本当さ」とセドリックは答えた。


レオは微笑んだ。


「ありがとう」


4人は勉強を続けた。


レオにとって、こうした時間はかけがえのないものになりつつあった。


誰かの助けが必要だったからではない。


他の人たちと一緒に学ぶことを楽しんでいたからだ。


生まれて初めて、知識とは一人で追い求めるものではなくなっていた。


彼には友人がいた。


議論を交わす相手。


疑問を投げかけてくれる相手。

彼の奇妙な癖を笑ってくれる人々。


学びは必ずしも堅苦しいものである必要はないと教えてくれる人々。


レオには、そうした友情がいつまで続くのかは分からなかった。


だが、今のところは……


彼は幸せだった。


学院から遠く離れた皇宮の一室で、ある報告書が読み上げられていた。


その文書は数ページに及ぶものだった。


件名:レオ — 天性の精霊王ナチュラル・スピリット・ソブリン


年齢:七歳


学業の進捗:極めて優秀


精霊との親和性:安定


素行:協力的


社会性:健全


潜在能力:並外れている


報告書を読んでいた役人が、ゆっくりとそれを手元に下ろした。


「あの少年は、期待を上回り続けているな」


別の役人が頷く。


「その成長ぶりは目覚ましいものがある」


部屋の向こう側から、三人目の声が響いた。


「精霊たちとの関係は?」


「あくまで自発的なものだ」


静寂が訪れた。


やがて、その役人は皇宮の最奥にある部屋の方へと視線を向けた。


「陛下に報告すべきだろう」


報告書は封印されたフォルダに収められた。


それはやがて、皇帝アウレリウスの元へと届くことになる。


だが、皇帝はすでにレオが何者であるかを知っていた。


自らその少年に会っていたからだ。


今はただ、見守っているだけだった。


時を待っているのだ。


そして学院のどこかで、レオは自分に向けられているそんな注目など露知らず、過ごしていた。


彼は図書室に座っていた。


本を読み。


学び。


友人たちと静かに笑い合っていた。


そしてゆっくりと、帝国が予期しなかった何者かへと変わりつつあった。


単なる強力な魔術師でもなく。


単なる天性の精霊王でもなく。


帝国が彼に与えようとした教育の枠を遥かに超えて、世界への理解を深めていく若者へと。


だが今のところ、レオはまだ七歳に過ぎない。


彼にはまだ、数多くの年月が残されている。


学びの日々。


友情。


発見。


そして選択の時。


彼はまた、ページをめくった。


テーブルの向かいで、トーマスがうめき声を上げた。


「レオ」


「うん?」


「もうすぐ終わるって言ってくれよ」


レオは山積みにされた膨大な本に目をやった。


それから、トーマスを見た。


「……もうすぐだよ」


トーマスは目を細めた。


「その『もうすぐ』って、あとどれくらい?」


レオは微笑んだ。


「あと三時間」


トーマスはテーブルに突っ伏した。


リディアが笑った。


セドリックは首を振った。そしてレオは、静かに本へと目を戻した。


図書館の窓の外、月明かりに照らされた空の下に、四つの小さな精霊たちが浮かんでいた。


彼らはまた、レオの後を追ってきたのだ。


レオが呼び出したわけでも、命じたわけでもない。


ただ単に、彼らのそばにいたかったからだ。


レオは、それがどれほど並外れたことなのかにも気づかぬまま、微笑みを浮かべて読書を続けた。


歳月が流れるにつれ、帝国アカデミー特別プログラムにおけるレオの生活は、ますます多忙なものとなっていった。


七歳にして、彼の日々は、多くの子供たちがずっと後になるまで触れることのないような授業で埋め尽くされていた。


魔法はその入り口に過ぎなかった。


彼は歴史、数学、地理、政治、経済、言語、法学、錬金術、軍事史、そして精霊生態学を学んだ。どの科目も、アッシュヴェイルの外に広がる世界の新たな一面を彼に教えてくれた。


レオはそれらすべてを楽しんでいた。


称賛を求めていたわけではない。


どの科目も、一つの疑問に答えを出しつつ、同時に新たな疑問を投げかけてくるものだったからだ。


ある歴史の授業で、マルケルス教授が帝国の東部領土を示した大きな地図を広げた。


「この地域がレクシムスの一部となったのは、およそ二百年前のことだ」と彼は説明した。


一人の生徒が手を挙げた。


「征服されたのですか?」


「そうだ」


「そして、人々は帝国の統治を受け入れたのですか?」


「すぐにはな」


レオが手を挙げた。


「拒絶した人々はどうなったのですか?」


教室が静まり返った。


マルケルス教授が彼の方を見た。


「逃げた者もいれば、やがて降伏した者もいた。反乱も起きた」


「どれくらい?」


教授はちらりと彼を見た。


「いくつかだ」


レオは地図をじっと見つめた。


「それでも帝国は、その拡大を成功だったと考えているのですか?」


「軍事的、経済的な観点からは、そう言える」


レオはゆっくりと頷いた。


彼は反論しなかった。


ただ、ノートに何かを書き留めただけだった。


その日の夕方、彼はノートの記述の下に一文を書き加えた。


帝国は善きことも成し遂げた。同時に、苦しみも生み出した。そのどちらもが真実であり得る。


それは、彼の子供時代における最も重要な教訓の一つとなりつつあった。


世界は英雄と悪役の二つに分かれているわけではない。


人は複雑な存在だ。


国家もまた複雑なものだ。


善意からであっても、恐ろしい結果を招くことがある。


友人たちとの絆も深まっていった。


トーマスは相変わらず、グループの中で一番の騒がし屋だった。


リディアは、たいてい皆をまとめる役割を担っていた。


セドリックは、名門貴族の跡取りとして寄せられる期待に、しばしば苦悩していた。


一方、アリエヌは次第にレオの親友の一人となっていった。


ある日の午後、四人が図書室で一緒に勉強していると、セドリックが突然本を閉じた。


「父が、魔法理論の代わりに政治を学べと言っているんだ」トーマスは顔を上げた。


「なぜ?」


「俺が後継者だからさ」


レオは首を傾げた。


「君はそれを望んでいるのかい?」


セドリックは言葉を濁した。


「……別に、そうでもない」


「じゃあ、何がしたいんだ?」


セドリックは彼を見つめた。


「わからない」


レオは頷いた。


「それなら、見つけてみるべきかもしれないね」


セドリックはかすかに微笑んだ。


「君は妙に、いい助言をするね」


「そんなことないよ」


「いや、そうだよ」


レオは本に視線を戻した。


「君が何を望むか、他人に決められるべきじゃないと思うだけさ」


一瞬、セドリックは何も言わなかった。


やがて、静かに答えた。


「……ありがとう」


レオは微笑んだ。


誰もが彼を好意的に見ていたわけではない。


レオが注目を集めるのを快く思わない貴族の子供たちもいた。


彼は平民だった。


名門の家名もなければ、


受け継いだ領地もなく、


政治的なコネもない。


それなのに、常に最高水準の成績を収めていたからだ。


ある日の午後、授業の後に一人の貴族の生徒が彼に詰め寄った。


「教授たちに気に入られているからって、自分が一番偉いとでも思ってるのか?」


レオは穏やかに彼を見つめた。


「いいや」


「じゃあ、なんでいつもそんなに自信ありげなんだ?」


「そんなつもりはないよ」


少年は眉をひそめた。


「アルドレン教授の言葉を訂正したじゃないか」


「教授が答えを求めていたからね」


「前回の試験では全員に勝った」


「勉強したからさ」


少年は苛立ちを募らせた。


「この世の仕組みさえ分かってないくせに」


レオは一呼吸置いた。


「その通りだね」


その答えは、相手の意表を突くものだった。


レオは続けた。


「だからこそ、学んでいるんだ」


少年は彼をじっと見つめると、そのまま立ち去った。


その後、トーマスが近づいてきた。


「なぜ言い返さなかったんだ?」


レオは肩をすくめた。


「彼は怒っていたからね」


「だから?」


「言い返したところで、彼の怒りが収まるわけじゃないだろう」


トーマスはため息をついた。


「時々、君は考えすぎだと思うよ」


レオは微笑んだ。


「そうかもしれないね」


その間も、帝国の学者たちは観察を続けていた。


レオと精霊たちとの関係は、彼の教育課程において最も特異な点であり続けた。


火、水、土、風の精霊たちが、召喚されることもなく、繰り返し彼に近づいてくるのだった。彼らは庭園で彼について回った。


教室まで彼を訪ねてきた。


彼が勉強している最中に姿を現すこともあった。


時には、ただ彼の気を引きたくて、授業を中断させることさえあった。


ある管理された実験で、研究者たちはレオを特別に用意された部屋の中に入れた。


アルドレン教授は、数人の帝国学者と共に外に立っていた。


「始めろ」


魔導具が作動した。


数秒間は、何も起こらなかった。


やがて、小さな風の精霊が現れた。


続いて水の精霊。


そして土の精霊。


さらに火の精霊。


研究者たちは即座に記録を取り始めた。


ある学者が呟いた。


「彼に反応している……」


アルドレン教授は頷いた。


「いつものことだ」


学者は魅了されたような表情を浮かべた。


「召喚陣はない」


「ああ」


「契約もなしか?」


「ない」


「強制もしていない?」


「していない」


学者はガラス越しにじっと見つめた。


「それなら、なぜ彼らはやって来るんだ?」


レオはその問いを耳にした。


彼は精霊たちの方に目を向けた。


「わからない」

炎の精霊が、彼のほうへとふわりと漂ってきた。


レオは微笑んだ。


「もしかしたら、彼らは僕のことが好きなだけかもしれないね」


研究員たちは沈黙した。


アルドレン教授が静かに笑った。


「それが一番単純な説明かもしれないな」


実験は続いた。


学者たちは、様々な属性の環境の近くでレオを試してみた。


結果は一貫していた。


精霊たちは、単に彼の魔力に惹きつけられていたわけではなかった。


魔法による命令に反応していたわけでもない。


ただ、彼のそばにいると居心地が良さそうだったのだ。


やがて、ある研究員がレオに尋ねた。


「彼らのうちの誰かと、正式に契約を結んでみないか?」


レオは精霊たちに目を向けた。


「彼らはそれを望んでいるの?」


研究員は言葉を濁した。


「それは分からない」


「それなら、無理強いはしたくないな」


研究員は彼をじっと見つめた。


レオは心底不思議そうにしていた。


「友達なんだから、どうして無理強いなんてしなきゃいけないの?」


部屋は静まり返った。


アルドレン教授が微笑んだ。


「その答えこそが、我々が行ったどんな実験よりも重要かもしれないね」


レオが8歳になる頃には、学院内での彼の評判は確固たるものになっていた。


教授たちは彼を、並外れて聡明な生徒として認識していた。


生徒たちは彼を、物静かだけれど、なぜかいつも何か質問を抱えている少年として知っていた。


そして精霊たちは、彼をただ「レオ」として認識しているようだった。


彼はその最後の呼び方が気に入っていた。


評判が高まっても、彼は決して傲慢にはならなかった。


ある科目で他の生徒に追い越されれば、レオはその方法を知りたがった。


教授に理解を問われれば、彼は耳を傾けた。


間違いを犯せば、それを正した。


そして誰かが助けを必要としていれば、たいてい手を差し伸べた。


友人たちはそれに気づいていた。


「あなたは本当に、一番になることにはこだわらないのね」ある日の午後、リディアが尋ねた。


レオは本から顔を上げた。


「僕は、学ぶことにこだわっているんだ」


「私が聞いたのはそういうことじゃないわ」


レオは少し考えた。


「そうだね」


リディアは微笑んだ。


「どうして?」


「一番になったからといって、すべてを学んだわけじゃないからさ」


彼女は笑った。


「時々、あなたがまだ子供だっていうことを忘れちゃうわ」


レオも微笑んだ。


「僕も忘れてるよ」


人々との友情が深まるにつれ、精霊たちとの友情もまた育まれていった。彼が学院の噴水を訪れるたび、小さな水の精霊がよく後をついてきた。


本を読んでいるときには、風の精霊が彼の肩で休むのを好んだ。


庭園には、土の精霊が頻繁に姿を現した。


寒い夜には、火の精霊が彼のそばに座るのを特に好んでいるようだった。


レオは決して彼らに命令を下さなかった。


ただ、語りかけるだけだった。


身振りで応えてくれることもあれば、


そうでないこともあった。


それでも彼は気にしなかった。


ある日の夕暮れ、彼は数体の精霊に囲まれて木の下に座っていた。


「人間って、不思議だと思わない?」


風の精霊が彼の周りをくるくると回った。


レオは微笑んだ。


「僕もそう思うよ」


彼は遠くに見える帝都の明かりに目を向けた。


「人は優しくなれる」


火の精霊の炎がゆらめいた。


「でも、互いを傷つけ合うこともある」


水の精霊が静かに彼のそばに浮かんでいた。


「どうしてなのか、僕にはわからない」


精霊たちは答えられなかった。


レオは視線を落とした。


「いつか、わかるようになるかもしれないね」


皇宮には、レオに関する報告が絶えず届いていた。


皇帝アウレリウスは、それらに定期的に目を通していた。


ある報告書には、レオの学業の進捗が記されていた。


別の報告書には、精霊に関する最新の実験の詳細が書かれていた。


また別の報告書では、他の生徒たちとの交流について触れられていた。


アウレリウスは静かにそれらを読んだ。


「順調に成長しているようだな?」


彼の前に立つ帝国の学者が一礼した。


「はい、陛下」


「精霊たちとの関係は?」


「依然として、前例のないものです」


アウレリウスは背もたれに身を預けた。


「彼は、自分が他と違う理由を理解しているのか?」


「完全には、理解していないようです」


皇帝は少しの間、沈黙した。


「よろしい」


学者は驚いたような表情を浮かべた。


「陛下?」


「彼が何者になるべきか帝国が決める前に、まずは成長を見守ろう」


学者は一礼した。


「承知いたしました」


アウレリウスは再び報告書に目を戻した。


三年前、彼が出会ったあの少年は変わりつつあった。


だが、皇帝には彼を急かそうという気はなかった。


今のところ、レオはまだ一人の生徒に過ぎないのだから。


九歳になると、レオの学習内容はさらに高度なものとなった。


彼は、通常ならもっと年長の学院生が学ぶような科目を学び始めた。


軍事兵站へいたん


高度な政治理論。


経済運営。


外交史。


古代文明。


精霊の移動パターン。


魔導生態学。彼はよく図書館で何時間も過ごしていた。


それでも、友人のために時間を作ることは忘れなかった。


ある日の夕方、トーマスは彼が一人で本を読んでいるのを見つけた。


「行くぞ」


レオは顔を上げた。


「どこへ?」


「祭りだよ」


「勉強があるんだ」


「明日の話だ」


「わかってる」


「だから、勉強はやめろって」


レオは彼をじっと見つめた。


トーマスは腕を組んだ。


「息抜きが必要だろ」


リディアが彼の背後に現れた。


「その通りよ」


セドリックもうなずいた。


「一緒に行こう」


レオは三人を見回した。


そして、ため息をついた。


「わかったよ」


トーマスは勝ち誇ったように笑った。


「よし」


レオは本を閉じた。


「この章だけ読み終えるから」


トーマスはうめき声を上げた。


「レオ!」


レオは笑った。


「5分だけ」


その祭りは、レオにとって最高の思い出の一つとなった。


彼らは明かりに彩られた通りを歩いた。


トーマスは食べ物を買いすぎた。


リディアはそれを見て笑った。


セドリックはいくつかの縁日のゲームに挑戦したが、何度も失敗した。


やがて、アリアンヌも彼らの仲間に加わった。

Three years had passed since Leo had first entered the Imperial Academy Special Program.


The frightened six-year-old boy who had arrived from Ashvale Village had slowly begun to disappear beneath the person he was becoming.


Now seven years old, Leo had grown accustomed to the enormous world surrounding him.


The Imperial Capital no longer seemed impossibly vast.


He knew which streets led toward the Academy.


He knew which libraries remained open late into the evening.


He knew which gardens were quiet enough for studying.


He knew which professors expected questions and which preferred students to listen before speaking.


Most importantly, he had finally stopped feeling like a guest in the city.


The capital had become familiar.


And the Academy had become something even more important.


It had become his school.


His home.


A place where he could learn without worrying about whether there would be food waiting for him that evening.


A place where books were not luxuries.


A place where asking questions was encouraged rather than punished.


And Leo intended to make use of every opportunity.


"Leo."


No response.


"Leo."


Still nothing.


"Leo!"


Leo finally looked up.


Thomas stood directly in front of him with his hands on his hips.


"What?"


Thomas stared at him in disbelief.


"I've been talking to you for almost a minute."


"Sorry."


"What were you doing?"


"Reading."


"I can see that."


Thomas pointed toward the book in Leo's hands.


"What are you reading?"


"Imperial Transportation Development During the Third Expansion."


Thomas's expression became blank.


"...Why?"


Leo looked genuinely confused.


"Because I was curious."


"It's seven in the morning."


"Yes."


"School hasn't even started."


"I know."


Thomas sighed.


"Do you ever wake up and think, 'Today I'm going to do absolutely nothing'?"


Leo considered the question seriously.


"No."


Thomas stared at him.


"Of course you don't."


Leo smiled slightly.


They were standing in one of the Academy's eastern corridors, where enormous windows allowed the early morning sunlight to illuminate the polished stone floor.


Students were beginning to arrive.


Some came from noble estates accompanied by servants.


Others arrived from residences within the capital.


A few came from distant provinces and lived inside Academy housing.


The differences between them were obvious.


Some students wore expensive uniforms decorated with family insignias.


Others had simple versions of the same clothing.


Leo's own uniform was somewhere in between.


It had been provided by the Academy.


It was comfortable, durable, and perfectly fitted.


He didn't care much about how expensive it looked.


Thomas, however, had noticed something else.


"You've been reading that book for three days."


Leo nodded.


"I wanted to understand why the Empire built most of its major roads around the central provinces."


Thomas blinked.


"Did you find out?"


"Yes."


"Why?"


"Trade."


"That's it?"


"Mostly."


Thomas sighed.


"I don't understand how you can make everything sound so interesting."


Leo closed the book.


"Everything is interesting."


Thomas laughed.


"That's exactly what I mean."


They continued toward their classroom.


As they walked, Leo noticed several students gathered around the Academy's central notice board.


Thomas immediately became interested.


"What's happening?"


They approached.


A large announcement had been posted.


ADVANCED MAGICAL THEORY ASSESSMENT — SECOND TERM


Thomas groaned.


"Oh, no."


Leo looked at the notice.


"When is it?"


"Three weeks."


Thomas looked horrified.


"That's not enough time."


Leo tilted his head.


"Three weeks is quite a long time."


"For you."


Leo smiled.


"Would you like help studying?"


Thomas hesitated.


"...Maybe."


"Then I'll help."


Thomas grinned.


"Thanks."


A girl's voice came from behind them.


"You two are already studying?"


Leo turned.


Lydia approached carrying several books.


Thomas pointed toward Leo.


"Don't blame me. He's the one who thinks exams are entertainment."


Lydia laughed.


"Good morning, Leo."


"Good morning."


She glanced at the notice.


"Are you worried?"


Thomas sighed.


"Very."


Leo looked at the assessment schedule.


"The difficult part will probably be the practical section."


Lydia frowned.


"Why?"


"Because the theoretical material is predictable."


Thomas stared at him.


"Predictable?"


Leo nodded.


"The practical portion will probably involve unstable mana circulation."


Lydia looked surprised.


"How did you know?"


"It's the most logical thing for the instructors to test."


Thomas slowly turned toward Lydia.


"See?"


"What?"


"He's already figured out the exam."


Leo shook his head.


"I haven't."


Thomas sighed.


"That's somehow worse."


Their first lesson was magical theory.


Professor Aldren entered the classroom carrying several thick books.


The students immediately became quiet.


Professor Aldren placed the books on his desk.


"Today, we will discuss advanced mana circulation."

2,126

レオは、王都の空に打ち上がる魔法の花火を眺めていた。


数分間、彼は何も言わなかった。


トーマスがそれに気づく。


「どうしたんだ?」


「別に」


「じゃあ、なんで見つめてるんだ?」


レオは空を見上げた。


「きれいだね」


トーマスは微笑んだ。


「ああ」


レオは静かにアッシュベールのことを想った。


母のことを。


あの小さな木造の家のことを。


いつか魔法の光に満ちた空の下に自分が立っているなんて、幼い頃の自分には想像もつかなかっただろうということを。


彼の人生は一変していた。


そして初めて、彼はただ生き延びているだけではなくなっていた。


彼は「生きている」のだ。


レオが10歳の誕生日を迎える頃、学院の順位表のトップには、見慣れた名前が掲示されていた。


レオ — 1位


友人たちは驚かなかった。


トーマスは掲示板を見つめた。


「またか」


リディアが微笑む。


「またね」


セドリックが笑った。


「もう、学院側も彼を自動的に1位にしてしまえばいいんじゃないか?」


レオは首を振った。


「それは必要ないよ」


トーマスが彼を見た。


「勝つことに飽きたりしないのか?」


レオはその問いについて考えた。


「勝つことについては考えていないな」


「じゃあ、何について考えてるんだ?」


レオは学院の校舎の方に目を向けた。


「次はどうするかってこと」


友人たちは微笑んだ。


それこそがレオだった。


常に次の本。


次の疑問。


次の謎。


次の地平線。


そしてまもなく、帝国学院の特別プログラムは終わりを迎えようとしていた。


だが、レオの学びはまだ始まったばかりだった。


なぜなら10歳という年齢で、帝国は特別プログラムが提供しうるすべてを修得した少年の処遇を決めなければならなくなるからだ。


並外れた魔法の才能を持つ少年。


精霊に愛された少年。


その知性によって同世代の首席となった少年。


そして、周囲の誰にも知られていない最大の秘密を抱えた少年。


それは、完全な記憶力フォトグラフィック・メモリー


レオは誰にもそれを話したことはなかった。


話すつもりもなかった。


今はただ、本を閉じ、未来を見つめるだけだった。彼自身の人生の次なる段階が、教室という枠を遥かに超えた場所へと彼を導くことになるとは、夢にも思っていなかった。


試験などというものを、遥かに超えた場所へ。


そしてやがては……


彼を帝国で最も危険な「兵器」へと変貌させる、その道筋へと。

第1話をお読みいただき、ありがとうございました!もし「面白い」「続きが気になる」と思ってくださったら、ページ下部にある【ブックマーク登録】や、評価の【星★★★★★】をぽちっと押して応援していただけると、今後の執筆の凄まじい励みになります!ヴァンガードより、どうぞよろしくお願いいたします!

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