14-8:リアルの“終焉”
(場所:地下室・特殊事案対応室)
カッッッッッッ!!!!
モニター越しにも伝わる、凄まじい蒼い閃光。
それが収束した瞬間、地下室に鳴り響いていた「警告音」が、プツン、と途切れた。
シーン……。
耳が痛くなるほどの静寂。
誰もが息を呑み、モニターを凝視する中、最初に口を開いたのは、亜美だった。
「……あ……」
亜美は、自分の耳に恐る恐る手を当て、信じられないという顔で呟いた。
「……“声”が……消えた……?」
あの、頭を割りそうだった無数の怨嗟。
黒幕が垂れ流していた「呪いの悲鳴」が、嘘のように消え去っていた。
「……!」
詩織が、弾かれたようにコンソールを確認する。
そして、涙声で、歓喜の報告を叫んだ。
「“熱源”消失! 呪力反応、ゼロ! ――核が……沈黙しましたッ!!」
(場所:大手町・金融中枢ビル 最深部)
同時刻。
爆発寸前だった物理サーバーの前。
「ガ……ハッ……!?」
黒幕の男は、まるで糸が切れた操り人形のように、膝から崩れ落ちた。
電脳世界の“核”――自分の魂の一部を破壊された衝撃で、
現実の肉体からも、力が抜け落ちていく。
ドス黒く渦巻いていた「呪力の暴走」が、ピタリと止まった。
赤く発光していたサーバーも、急速に冷却され、ただの無機質な機械へと戻っていく。
「馬鹿な……!?」
男は、震える手で、焼け焦げたサーバーを見上げた。
「江戸の、数百年の“呪い”が……」
「たかが数十年……令和の“データ”ごときに……負けると、いうのか……!」
時代が、更新されたのだ。
過去の亡霊が、未来を生きる者たちの「技術」に、完全敗北した瞬間だった。
「……」
男がよろめき、床に這いつくばった、その時だ。
ガシャーンッ!!
厳重なセキュリティゲートが、物理的に破られた。
硝子の破片と共に、黒い装備に身を包んだ男たち――霧島の部下(元自衛隊員)たちが、雪崩れ込んでくる。
「動くな!!」
「確保ォ!!」
無数の赤いレーザーサイトが、無力化した黒幕の全身を捉える。
もはや、呪術戦ではない。
冷徹な、現実の「制圧」だ。
「あ……が……」
黒幕の背後に、容赦なく銃口が突きつけられる。
その光景を、モニター越しに見届けた霧島は、
ゆっくりとインカムのスイッチを押し、
短く、しかし確かな「勝利」を告げた。
「――“仕事”、完了だ」
「黒幕、確保」




