14-6:二つの“緊急事態”
(場所:地下室・特殊事案対応室)
『警告! 警告! サーバー筐体、耐熱限界を超過!』
『物理的な爆発まで、あと30秒!』
地下室のスピーカーが、無機質な警告音を吐き出す。
モニターに映る大手町の映像は、もはや地獄だ。
黒幕が放つドス黒い呪力と、過熱したサーバーの赤い光が混ざり合い、不吉な紫煙を噴き上げている。
「マズい……! マズいぞ!!」
あの冷静な霧島さんが、椅子を蹴り飛ばして立ち上がった。
「あいつ、サーバーごと呪力で物理的に“爆発”させる気だ!」
ただの機械の故障じゃない。
日本中から集めた膨大な「悪意」を、密閉された地下空間で一気に解放するんだ。
その破壊力は、ミサイルなんてもんじゃない。
「大手町が……いや、半径数キロが、呪いの爆風で吹き飛ぶぞ!!」
(場所:電脳世界・“江戸OS”最深部)
一方、電脳の世界でも、同じ「破滅」が迫っていた。
『アアアアアア……! 道連れだ……! 貴様らも! 江戸も! 令和も!』
俺(玄)が腕を突き刺している“核”が、ドクンドクンと、異常な脈動を打ち始める。
熱い。
火傷しそうな熱じゃない。魂が融かされるような、ドロドロとした「死」の熱だ。
(チッ! こいつ、マジで弾け飛ぶ気か!)
周りの風景――燃える江戸の町並みが、ノイズとなって崩壊し始める。
OSそのものが、持ちこたえられなくなっているんだ。
(……くっ!)
俺(愁)のハッカーとしての直感が、最悪の未来を演算した。
このままじゃ、俺たちの意識ごと、消滅する。
「玄さん!!」
俺(愁)は、俺(玄)の魂に向かって絶叫した。
「リアル(こっち)が爆発する! 時間がねえ!」
「次だ! 次の一撃で決めるぞ!!」
(おうよ! ワシも同じことを考えてたトコだ!)
黒幕の自爆か。
俺たちの“斬撃”か。
コンマ一秒のスピード勝負。
最後の賭けが、始まる――!




