14-2:デジタル(電脳・江戸OS)
(場所:電脳世界・“江戸OS”最深部)
「ハァ……ハァ……!」
俺の意識が、恐怖と興奮で震えている。
目の前にあるのは、燃え盛る江戸城の天守閣。
その“玉座”に、それは鎮座していた。
『ギギギ……ギイイイイ……』
巨大な、黒い肉塊。
いや、それは無数の「怨念データ」と、機械的な「コード」が複雑に絡み合ってできた、おぞましい“心臓”。
あの黒幕の、汚れきった“自我”そのもの(電脳体)だ。
こいつが、無限に湧き出る魑魅魍魎を生み出し、
こいつが、日本中に「呪い」を垂れ流している“大元”!
(――ケッ!)
俺(玄)は、その醜悪な“核”を見上げ、鼻で笑った。
恐怖なんて微塵もねえ。
あるのは、純度100%の「不愉快」だけだ。
(テメェが“大元”だな)
俺(玄)は、蒼い霊刃を、切っ先が地面に触れるほど低く構えた。
(見てりゃ分かるぜ。この“OS”とやらの仕組み)
(怨みを集めて、増幅させて、相手にぶつけて殺す……)
玄さんの殺気が、燃える江戸の熱気すら凍てつかせる。
(ワシら“仕事人”の“殺し”を、見様見真似で“OS”なんぞにしやがって!)
そう。
黒幕がやったことは、かつて玄たちが命懸けで行っていた「怨み晴らし」のプロセスを、
機械的に、効率的に、パクっただけの“大量生産”だ。
『オオオオオ……!』
“核”が、俺(玄)の敵意に反応し、膨大な黒いノイズを噴き出す。
まるで、「近寄るな」「消えろ」と叫ぶように。
(喚くな、三下)
俺(玄)は、一歩、踏み出した。
たった一歩。
だが、その足音は、電脳空間全体を揺らすほど重く響いた。
(“システマチック”だか何だか知らねえがな)
(怨み一つ晴らすのに、テメェごとき“魂”の入ってねえガラクタじゃ、重さが足りねえんだよ!)
「「おおおおおおぉぉぉぉぉッ!!」」
俺と俺(玄)の声が、完全に重なる。
蒼い霊力が、俺の右腕に、すべて収束していく。
それは、刀じゃない。
俺自身が、一振りの“刃”となる!
(教育してやるよ、偽物!)
俺(玄)は、地面を爆発させる勢いで、天守閣の“核”へ向かって飛んだ!
(本物の“仕事”の“型”を!)
(その腐りきった“タマシイ(核)”に、刻んでやるよォッ!!)




