第14章:“鬼神ワクチン”と二つの“決着” 14-1:リアル(大手町・金融ビル)
(場所:大手町・金融中枢ビル 最深部)
「――“逮捕”する!!」
地下室で、霧島さんがメイン・エンターキーを叩き潰した、その刹那。
ズバババババババッ!!!
「……ッ!?」
物理サーバーに手をかざし、今まさに“心臓”を握り潰そうとしていた黒幕が、咄嗟に後ろへ飛び退いた。
直後。
彼の手があった空間を、
サーバーラックの配線から逆流してきた、凄まじい「蒼き閃光」が、薙ぎ払った。
「チィッ……!」
黒幕は、焼け焦げた自分のコートの袖を見て、顔をしかめた。
物理的な“熱”を持った、光の刃。
だが、それはただの電気じゃない。
LANケーブル。光ファイバー。電源コード。
あらゆる「線」を通して、外部から強制的に流し込まれた、
膨大な「蒼いデータ」の奔流だ。
『ギギギ……ガガガ……!』
赤く発光し、暴走していた物理サーバーが、
今度は、蒼い光に包まれ、冷却されるように“鎮静化”を始めている。
「(舌打ち)……なんだ、これは」
黒幕は、その蒼い光の“形”を見て、戦慄した。
サーバーを守るように展開された、無数の光。
それは、セキュリティソフトの壁なんかじゃない。
鋭く、荒々しく、そして、何よりも“実践的”な。
「日本刀」の形をした、攻撃的防御壁!
「これは……あの“鬼神(玄)”の、“殺し”の“型”だと!?」
そうだ。
詩織が“翻訳”し、霧島が“実装”した「鬼神ワクチン」。
それは、玄の「斬撃」そのものを、プログラムコードとして再現した、
史上最凶の「対抗呪術」!
ジュウウウウッ!
黒幕が放つ「黒い呪力」が、サーバーを侵食しようとするたびに、
「蒼い刃」が、それを自動的に感知し、
物理的な火花を散らして、“斬り捨て”ていく。
「バカな……! アナログな“剣術”を、デジタルに変換したというのか!?」
「間に合わせやがったか、あの公儀の犬(霧島)め!」
黒幕の顔から、余裕が消えた。
物理サーバーを舞台に、
黒い呪力と、蒼い刃が、
激しいスパークを散らしながら、拮抗し、せめぎ合う!
「(嘲笑)だが、所詮は“自動”のプログラムだ!」
黒幕は、両手に黒い雷を溜め、吠える。
「本物がいないこの場所で、いつまで“紛い物”が持つかな!」




