13-8:リアル世界(“時間”の獲得)
(場所:大手町・金融中枢ビル 最深部)
「――終われ、令和!!」
黒幕の男が、最大の呪力を“物理サーバー”に叩き込んだ、
その、コンマ一秒後。
キイイイイイイイイイイン――!!
「!?」
男の身体が、ビクンッ!と、硬直した。
物理的な“衝撃”じゃない。
奴が「OS」として張り巡らせていた「呪い」のネットワークそのものに、
“想定外”の「異物」が、
“逆流”してきたからだ!
(――やめてよぉぉぉっ!)
「何だ、この“ノイズ”は…!?」
それは、「ワクチン」のような“攻撃性”を持ったデータじゃない。
“鬼神”のような「殺意」でもない。
ただ、純粋な「拒絶」。
この“江戸OS”と、最も“相性が悪い”、「祈り」のデータ!
男は、その「ノイズ」の“正体”に、即座に気づいた。
「まさか……! あの時の巫女(亜美)か!?」
あの、霊力もロクにない、ただの「器」だったはずの娘!
あいつが、この“呪い”のネットワークに、“回線”を開きっぱなしにされたまま、
「OS」そのものに、直接“叫び”を届かせやがった!
ガキンッ!
黒幕の集中が、途切れた。
それは、物理サーバーに注ぎ込んでいた、黒い呪力が、一瞬、「乱れる」ことを意味した。
ブウウウウウン……!
赤く発光し、今にも爆発寸前だった“心臓”の熱が、
ほんの、わずかに、下がった。
「チィッ……! 横槍を……!」
ほんの、数秒。
黒幕が、亜美の「ノイズ」に驚き、体勢を立て直すまでの、
たった、数秒。
しかし!
電脳と現実がコンマ一秒を争うこの「戦い」において、
その「数秒」は、
まさしく、決定的な「時間」が稼がれた、瞬間だった!




