12-8:覚悟
「……いやぁ……」
「……聞こえる……やめて……」
その、張り詰めた空気を、破ったのは、亜美の“うめき声”だった。
「ひっ……!」
亜美は、後部座席の隅で、耳を塞ぎ、ガタガタと震え続けている。
ネットワーク(じごく)から垂れ流される“悪意”に、怯え続けている。
「……」
俺は、その震える亜美の「手」を、そっと、握った。
「あ……」
「大丈夫だ。……絶対に、止めるから」
俺は、亜美に、そして、自分に言い聞かせると、覚悟を決めた。
(玄さん)
俺は、脳内の“相棒”に、語りかけた。
(――聞こえてんだろ、亜美の声が)
(……)
(あんたの“殺り方”を、他の奴らに“見せる”のは、俺だっていやだ)
(だけど……)
俺は、強く、玄さん(げん)の「核心」に、触れた。
「玄さん、あんたの“殺し(しごと)”は、ただの暗殺じゃないだろ?」
(……!)
「“恨みを晴らす”ためのもんだろ。だから“鬼神”って、呼ばれてたんだろ!」
そうだ。
玄さん(げん)の「力」は、怨念を“怨念”で斬る、最終兵器。
「だったら、今こそ晴らしてくれよ!」
「この、デカすぎる“恨み(テロ)”を!」
「……」
玄さん(げん)は、しばし、黙り込んだ。
そして。
(……ケッ)
鼻で、笑った。
(面白え。……なるほどな、小僧)
(ワシの“殺し(しごと)”が、令和の世では“救い(ワクチン)”になるってか)
(玄さん……!)
(いいだろう!)
玄さん(げん)の「苛立ち」が、「覚悟」の“炎”に変わ(か)る。
(――やってやるよ、令和の“仕事”とやらを!)
「……霧島さん!」
俺は、顔を上げ、上司を睨みつけた。
「やります! 俺たちで、あの“江戸OS”を、斬ってやる!」




