12-7:二人の反発
「“鬼神の殺し方”を、“ワクチンコード”に変換するんだ!」
霧島さんの、狂った作戦。
その、あまりにも無茶苦茶な提案に、真っ先に反発したのは、詩織だった。
「無茶苦茶です!」
詩織は、ボロボロの身体で、血を吐くように叫んだ。
「玄様の“力”……いえ、あの“殺意”は、純粋すぎるんです! 強すぎるんです!」
「……!」
「そんなものを、まともに会社のサーバー(メインフレーム)に接続したら……! “通訳”する前に、サーバーそのものが“呪われ”ます!」
(詩織の言う通りだ……!)
玄さんの「殺意」は、江戸の怨念を、力ずくで“晴らす”ためのもの。
現代の脆弱な“機械”が、それに耐えられるワケがねえ。
(――テヤンデェ!!)
俺の脳内で、当の玄さん(ほんにん)が、キレた。
(ふざけやがって、あの眼鏡……!)
(テメェ、ワシの“殺し(しごと)”を、白日の下に晒す気か!)
玄さん(おにがみ)の「暗殺術」は、人知れず「恨み(うらみ)」を晴らす、影の“仕事”。
それを、現代の機械で“解析”し、データにするだと?
江戸の鬼神にとって、これ以上の“侮辱”はねえ!
「……」
二人の、あまりにも当然な「反発」。
だが、霧島さんは、鼻で笑った。
「(詩織に)だから、お前が“通訳”するんだろうが」
「!」
「(玄に)そして、お前も、自分の“殺意”がサーバー(きかい)を呪う程度で、この国を見捨てるか?」
霧島さんは、冷酷な“事実”だけを、俺たちに叩きつけた。
「やれ」
「……」
「これは“仕事”だ。――もちろん、時給も出す」
「この……!」
詩織が、本気で上司を殴りそうな勢いで、唇を噛んだ。




