12-6:作戦概要
霧島さんは、まず、さっきのプログラマー(本社)に、インカムで怒鳴りつけた。
「おい、オカルトオタク(プログラマー)! 聞こえるか!」
『ひゃ、ひゃい! 霧島さん! ですから、“江戸OS”は解析なんか……!』
「解析なんかしなくていい。――仮想サーバー(サンドボックス)を、今すぐ立ち上げろ!」
『か、仮想サーバー!? サンドボックス(実験場)ですって!?』
「そうだ! そこに、詩織が送った“江戸OS”を、丸ごとブチ込め!」
『む、無茶苦茶だ! 隔離したって、暴走したら……!』
「いいからやれ!!」
霧島さんは、プログラマーの悲鳴を“怒声”で黙らせると、次に、俺と詩織に向き直った。
「作戦はこうだ。よく聞け、二度は言わん」
ゴクリと、俺と詩織が息を呑む。
モニターに映る「株価」の点滅が、まるでカウントダウンのように見えた。
「愁(玄)。お前は、その仮想サーバー(サンドボックス)に、“ダイブ”しろ」
「……は?」
「だ、ダイブ!? 物理的に、ですか!?」
俺と詩織が、素っ頓狂な声を上げる。
「精神感応だ、バカ者が!」
霧島さんが、俺の頭を殴らんばかりに吼える。
「お前(玄)は、その“江戸OS”の中で、好きに暴れろ。――お前(江戸)の“流儀”で、だ」
(江戸の流儀で……暴れる?)
(ほう……)
俺(玄)が、初めて、霧島さんの「提案」に、興味を示した。
「だが、それだけじゃ、プログラマー(あっち)には“意味”が分からん」
霧島さんは、最後に、ボロボロの巫女に、非情な命令を下す。
「そして、詩織」
「……はい」
「お前は、ダイブした玄の“動き”……その“江戸の所作”、“殺し方”の“意味”を、すべて“通訳”しろ」
「――え?」
詩織が、今度こそ、目を丸くした。
「殺し方を……通訳?」
「そうだ! お前の霊力で、玄の動き(アナログ)を、プログラマー(あっち)に“現代語”で伝えろ!」
霧島さんは、ニヤリと、今日一番、楽しそうに笑った。
この、クソみたいな状況で。
「“鬼神の殺し方”を、“ワクチンコード”に変換するんだ!」




