12-5:霧島の“無茶振り”
「いやぁぁぁぁぁッ! 聞きたくないッ!」
亜美の悲鳴が、装甲バンの狭い車内に突き刺さる。
(クソッ! どうすりゃいいんだよ!)
俺の脳内では、玄さんの怒り(いらだち)が渦巻いていた。
(テヤンデェ! もどかしい! ワシの刃じゃ“システム(しすてむ)”は斬れねえ!)
俺は、その玄さんの「苛立ち」を、自分自身の「苛立ち」として、思わず口に出していた。
「……チクショウ! 『システム(こんなもの)は斬れない』だって……!? どうすりゃいいんだよ、玄さん……!」
そう。
俺が、うめくように“独り言”を言った、その瞬間だった。
「……」
俺の隣で、腕を組んで目を閉じていたはずの霧島さんが、片目を、薄く開けた。
そして。
ニヤリと。
悪魔のように、その口角を吊り上げた。
「……いや、斬れるかもしれんぞ」
「……え?」
「その“OS”を、だ」
霧島さんは、俺じゃない。
俺の“中”にいる「何か(げん)」に向かって、確信を持って、言い放った。
「江戸の“OS”が分かるのは、江戸の“プログラム(おにがみ)”だけだ」
「……!」
(この人、俺と玄さんの会話、聞いてやがったのか!)
霧島さんは、ゆっくりと身体を起こすと、この場にいる、最悪のメンバーを見渡した。
「(詩織に)おい、巫女。ボロボロだろうが、お前の出番だ」
「……え? 私、ですか?」
「(玄に)――そして、鬼神。テメェもだ!」
前代未聞の、無茶振りが、始まった。




