8-6:監視者(ウォッチャー)の提案(ていあん) 俺(おれ)の精神世界(せいしんせかい)に、重(おも)い沈黙(ちんもく)が落(お)ちる。
さっきまで、霧島の末裔という事実に激しく反発していた玄の黒いオーラが、今は気まずそうに揺らめいている。
(……玄さん……)
あの回想を見せられた俺には、痛いほど分かる。
玄は、霧島の先祖の依頼を、プライドと縄張り意識から一度は蹴った。
結果として、庶民に被害が及んでから(・・)動き出し、挙句、ボスは倒したが組織の根絶は果たせず、自分は死んだ。
この男――霧島は、その全ての「負い目」を突ける相手なのだ。
「……察しがついたようだな、鬼神」
白い光――霧島の霊体が、静かに言った。
俺たち(・・)の動揺を、完全に見透かしている。
「俺の家系は、公儀の“影”として、あの手の呪術組織を監視し、処理してきた。先祖代々(だいだい)の霊力と記憶で、事情は知っている」
霧島の言葉が、玄に突き刺さる。
「……あんたが、あの屋敷で満足げに死んでくれたおかげ(・・・・・)で、土御門の“組織”は生き延びた」
『……ッ!』
玄の黒いオーラが、悔しさに歪む。
だが、事実だからこそ、何も言い返せない。
(土御門……! あの回想のボスか!)
俺は、金縛りの中で必死に思考する。
「時代は変った」
霧島の冷たい声が、俺たちの精神に響き渡る。
「奴らの“呪い”――いや、“思想”は、死んではいなかった」
「そして現代に蘇り、ネットワーク(電脳)を介して、あの時と同じように、再びこの国を転覆させようとしている」
(ネットワークに、呪いが!?)
「俺の会社(サイバー・ガーディアン)は、そのためにある」
霧島の白い光が、俺たち二人を同時に射抜いた。
「物理的な呪術と、電脳的な呪詛。
――その両方を“処理”するためにだ」




