8-2:感(かん)じる“監視(かんし)” 翌日(よくじつ)。
俺は、重い足取りで「サイバー・ガーディアン」の地下オフィスに出社した。
「おはようございまーす……」
「ウス」
「……Hi」
剛田さんは相変わらず筋トレに励み、ケビンはモニターの光に顔を溶かしている。
いつも通りの「特殊事案対応室」だ。
……一人を除いては。
「おはよう、浅河くん。昨夜は、美味い菓子をありがとう」
霧島が、自分のデスクから、爽やかな笑顔で手を振った。
昨日の、あの冷たい牽制が嘘のような、完璧な「良い上司」の顔だ。
だが、俺にはもう、その笑顔が「仮面」にしか見えない。
(気のせいか……?)
詩織と玄に言われたせいか。
今日は、霧島とすれ違うたび、あの鋭い視線を感じる。
コーヒーを淹れに給湯室に向かう時。
コピー機で資料を印刷する時。
霧島の視線が、俺の背中に刺さる。
(いや、違う……!)
俺は、ハッと気づいた。
彼が見ているのは、俺自身じゃない。
俺の「内側」――俺の意識の奥底に潜む、鬼神・玄を、値踏みするように見ている。
(……気のせいか? いや、明らかに俺の“中”を見てやがる……!)
俺という「器」ごと、中の「鬼神」を監視している。
“処分”という言葉の重みを、俺は改めて実感し、背筋が寒くなった。
この職場、マジでヤベェ。




