5-4:二重の招待状
俺も、ようやく……何者かになれる……!」
帰り道、俺は、もらった名刺を握りしめ、震えていた。
『フン。浮かれおって、小僧』
(うるせぇ! これは、俺が「俺の力」で掴んだ内定なんだ!)
翌日、霧島から正式な連絡が来た。
『急で悪いが、明後日、内定式を行う。君も来たまえ。それが社会人としての第一歩だ』
「やった……!」
俺は、その足で大学に向かい、亜美に「X社」の調査結果を報告した。
「これ、X社が顧客データを売ってた証拠だ。匿名で通報したから、もう大丈夫だと思う」
(霧島さんの会社が、うまくやってくれるはずだ)
「浅河くん……すごい……!」
亜美は、尊敬と、そして明らかな好意の眼差しを俺に向けた。
「ありがとう……! 浅河くんのおかげで、私、目が覚めた!」
(うおっ、なんか、すごい感謝されてる……!)
俺が、その好意に照れていると。
「……」
いつの間にか、背後に、詩織が立っていた。
(うわっ! なんでここに!?)
詩織は、俺と亜美をジロリと一瞥すると、俺にだけ聞こえる声で呟いた。
「……あまり、深入りしない方がいい、と忠告したはずですが」
「え?」
「あの女性も、あなたも。……“表”の人間が、“裏”の事情に触れると、ロクなことになりません」
詩織は、なぜか少し、不機嫌そうにそう言い残し、去っていった。
(……なんだよ、今の)




