5-2:潜入と“目撃者”
「……で、結局、調べちまう俺も、お人好しだよな」
数日後の深夜。俺は、自室のPCに向かい、キーボードを叩いていた。
高円寺亜美の、あの不安そうな顔。
そして、玄が『小僧、あのX社とやら、例のデベロッパーと同じ……淀んだ悪の匂いがするぜ』と囁いたからだ。
「詩織、悪いけど、サポート頼む」
俺は、インカムでアパートにいる詩織に連絡する。
『……仕方ありませんね。結界を張ります。万が一、逆探知されても、あなたの居場所は特定させません』
「サンキュ。助かる」
俺は、X社のサーバーの壁に向かって、意識を集中させる。
玄の力が、俺の直感を研ぎ澄ませる。
(……セキュリティが甘いな。いや、わざと甘く見せてるトラップか?)
玄の「古の暗殺者の勘」と、俺の「現代のハッキング技術」。
その二つが組み合わさると、鉄壁のはずの防御に、細い「スキマ」が見えた。
(見つけた……! この“スキマ”だ!)
俺は、音もなくX社のサーバー深層に潜入する。
そこにあったのは、予想通り、真っ黒なデータだった。
「……マジかよ。顧客データ、丸ごと不正売買してやがる」
亜美が、こんな会社に入っちまったら……。
俺は、証拠となるログを、慎重にコピーし始めた。
だが、その侵入行為は、X社のセキュリティシステムを、さらに外側から監視していた「第三者」に、バッチリ察知されていた。
俺は、まだ、そのことに気づいていなかった。




