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第23章:雷門炎上編 ~鬼神、バズる~ 第23-1:魅せる殺陣


《現在視聴者数:12,408人》


配信開始からわずか数分。


深夜だというのに、視聴者数は爆発的に伸びていた。


当然だ。今、ネットで一番ホットな「炎上中の店主」が、現場からライブ配信を始めたのだから。


コメント欄は、滝のような勢いで流れている。


『出たw 犯罪者』


『反省して丸坊主にでもするの?』


『後ろのアレなに? CG?』


『合成乙。炎上商法きっしょ』


画面を埋め尽くす罵詈雑言。


それらが、目の前の「炎上の化け物」のエネルギーとなり、黒い巨体をさらに膨張させる。


『グオオオオオッ!!』


化け物が、ヘドロのような腕を振り上げた。


質量を持った悪意が、俺の頭上から叩きつけられる。


「愁さん! 来ます!」


「ああ、分かってる!」


俺はスマホに向かってニヤリと笑った。


「よく見とけよ、外野ガヤども! ……これが“本物”だ!」


(――行くぞォッ!!)


俺(玄)が、身体の主導権を握る。


ドスンッ!


踏み込み一閃。


俺(玄)は、振り下ろされた巨腕を避けるのではなく、紙一重で“滑り込んだ”。


『!?』


化け物の腕が、俺の鼻先数センチを通過し、地面を砕く。


その隙だらけの懐に、俺(玄)は蒼い霊力を纏った木刀を走らせた。


「“逆袈裟さかげさ”ァッ!!」


ズバァァァッ!!


木刀が、黒いヘドロを切り裂く。


だが、ただ斬るだけじゃない。


俺(玄)は、斬った勢いのままクルリと回転し、着物の裾を翻すように、派手な残心ポーズを決めた。


「詩織! 照明ライティングだ!」


「はいっ! ……急急如律令、せん!」


画面外に待機していた詩織が、絶妙なタイミングで御札を放つ。


パァァァァンッ!


青白い結界の光が弾け、俺(玄)の背後で花火のようなエフェクトとなって輝いた。


『グギャアアアアッ!』


化け物が悲鳴を上げ、後退する。


その光景は、スマホの画面を通すと、まるで映画のワンシーンか、最新鋭のAR(拡張現実)ゲームのように映ったはずだ。


コメント欄の流れが、一瞬、止まった。


『え?』


『今のなに?』


『動きヤバくない? ワイヤーアクション?』


『エフェクトすげえ! リアルタイム合成か?』


困惑する視聴者たちに向け、俺(玄)はカメラのレンズを指差し、歌舞伎役者のように見得みえを切った。


「宵越しの“鬱屈”は持たねえのが、江戸っ子だ!」


俺(玄)は、口角を吊り上げ、不敵に言い放つ。


「そんな陰気なツラしてちゃ、福も逃げるぜ! ……笑いたきゃ笑いな! だが、俺たちの“意地”を見届けてからにしやがれ!」


その瞬間。


コメント欄の空気が、ガラリと変わった。


『かっけええええええ!』


『なんだこの人、役者?』


『セリフ回しがガチだw』


『CGじゃないの? 浅草ですげえ撮影やってるぞ!』


『この化け物、俺たちの悪口か? それを斬ってるのか?』


罵倒が、驚きへ。


驚きが、称賛へ。


「叩いてやろう」というドロドロした感情が、「すげえモノを見た」というポジティブな興奮エンタメへと変換されていく。


それは、現代における最強の魔術――「言霊ことだまの反転」だった。


『ガ……ア……?』


化け物の動きが鈍った。


身体を構成していた黒い泥(悪意)が、ボロボロと剥がれ落ちていく。


「効いてるぞ、愁さん!」


詩織が叫ぶ。


「称賛のコメント(言霊)が、敵の“呪い”を浄化しています!」


「へっ、ざまぁみろ!」


俺(愁)は確信した。


空気は変わった。


今、この雷門の主役センターは、ウツロじゃない。


俺たちだ!

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