表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/168

19-2:粉砕


「ひっ、ひぃぃぃッ!?」


運転席のガラス越し。


風水建築士の男が、引きつった顔で悲鳴を上げた。


無理もない。


重機のアームを駆け上がり、目の前に迫った俺(玄)の姿は、まさに地獄から這い上がってきた鬼そのものだっただろうからな。


「ガラス一枚で、安全圏にいるつもりかよ!」


俺(玄)は、蒼い炎を纏った右拳を、躊躇なく振り抜いた。


ガシャアアアアアンッ!!


強化ガラスが、飴細工のように粉々に砕け散る。


飛び散る破片の中で、俺(玄)は男の作業着の胸倉をむんずと掴み、強引にコクピットから引きずり出した。


「がっ、げほっ……!?」


男は宙吊りにされ、手足をバタつかせた。


さっきまでの余裕たっぷりの薄ら笑いは消え、あるのは純粋な恐怖だけだ。


「ま、待て! 話し合おう! 金か!? 金ならいくらでも――」


「うるせえ!!」


俺(玄)は、男の顔面に至近距離から怒号を浴びせた。


「テヤンデェ! 浅草ここの地べたはなぁ……テメェらの風水ごっこのオモチャじゃねえんだよ!」


俺たちの店を壊したこと。


詩織を泣かせたこと。


そして何より、この土地に眠る人々の営みを、重機で踏みにじったこと。


そのすべての落とし前を、今ここでつけさせる!


土地シマ荒らしは……さっさと出て行きなァ!!」


ドゴォッ!!


俺(玄)は、男を地面へと放り投げると同時に、空いた右拳を、剥き出しになった重機の制御盤コンソールへと叩き込んだ。


バチバチバチッ!! チュドオオオオン!!


制御盤が火花を吹き、電子回路が物理的かつ霊的な衝撃で焼き切れる。


風水を操るための改造パーツも、まとめてスクラップだ。


「あ……あぁ……俺の、最強の風水重機が……」


地面に転がった男は、黒煙を上げる愛機を見上げ、白目を剥いて泡を吹いた。


そして、そのまま糸が切れたようにガククリと気絶した。


プスン……。


重機のエンジンが停止し、辺りに静寂が戻る。


完全なる沈黙。


それは、俺たちが「最初の砦」を守り抜き、敵の先兵を撃退した勝利の証だった。


「……ふぅ」


俺(愁)に意識が戻る。


拳が少し痛むが、それ以上に胸のすくような爽快感があった。


「やったな、玄さん」


(おうよ。……いい運動になったわい)


俺たちは、黒煙を上げる重機の上で、勝利の拳を握りしめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ