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生贄の魔女  作者: Yuyu
3/3

妾が始まって世界も始まる

迷惑系って少なくなったよね

「妾は魔王だった」


混乱しているかもしれないが俺は混乱していない


思い出したからだ


俺の前世は千年を生きる最強最悪の魔王という称号をもった魔女であったのだ


思考がクリアだ


あの謎の声が言っていた偉人達という中の一人が俺であった


インストールされた今なら全てが思い出される


前世の俺は全ての生き物の頂点であり、不老の魔女であったのだ


全てを創造して、全てを破壊して、全ての現象を操る最強の存在だった


「妾は妾…妾、妾、妾、妾。うん?一人称が変わってるな?」


思考では俺と言っているのに、一人称が前世の妾になっている


「ふむ、まぁ一人称が変わったくらい何ともないが。なんだこの感覚は?前世の記憶はあるが、妾は由佐元太だ」


そう、前世の記憶を取り戻しても、ユサラ・ゲンターのときの趣味嗜好が記録としてしか意味をなさない


確かにユサラ・ゲンターの記憶と同じくらいの冷静さ、嗜好など今の俺には本来持ち合わせないものをもっている


「ふむ」


手を前にかざし一言呟く


「光よ」


その瞬間には部屋全てを明るくするくらいの光が手から生み出される


これで全てを把握した


俺の中にある魔力を生み出す回路が活発に動き出し、体の中を渦巻いていく


俺を構成する全ての要素がたった一つの魔術で解明された


最強最悪の称号は伊達ではないのだ


「さて、戸籍などこの現象で意味をなさない。少なくとも妾はどうとでもなるだろう」


それよりもだ、謎の声によると俺の他にも世界中には転生した者が99人いるということだろう


だが、こいつらは驚異ではない


強くても俺の半分の力もない者たちばかりだろうからだ


それよりも俺の前世の死因は何だったのだろうか


「ふむ、ああ、そういえば謎の声の人物は滅んだ世界と言っていたな。ということは妾は何か世界が滅んだほどの災害か何かで死んだということか?」


俺の前世は千年を生きる最強最悪の魔女であって、誰かに殺されるというのはありえない


だが、さすがの俺の前世も不死ではなかったのだ


世界が滅んだほどの災害ではひとたまりでもないだろう


たとえ、異空間に逃げられる方法があったとしても逃げられる時間がないとすれば、今の俺はないだろう


「まぁいいか。魔術も使える、固有の技術も使える、体の動きから体術も大丈夫だろう」


ならば、あとの懸念はダンジョンとこれから接触してくるであろう国の者たちくらいだろう


テレビからスマホの配信サイトに目線を変えて、今回の謎の声のことやダンジョンのことをひっきしなしに様々な配信者が日本、世界問わず配信している


そしてどの配信者も再生回数がとんでもない回数視聴されている


もちろん人気な配信者と比べると差はあるが、それでも世界中の人間が強制的に起こされたということから、多くの人がテレビよりスマホの配信サイトを見ているのだろう


その中では、比較的にダンジョンの近くに住んでいたのか、スマホの配信サイトを回しながらダンジョンに入っている者も多く見受けられる


一人で行くもの、複数人で行くもの、現地でたまたま居合わせて、一緒に行くもの


多くの人物たちが国の要請を無視してダンジョンへと突撃している


だが、俺はバカばかりだなぁと考えていた


ダンジョンは興味本位で行くものじゃない。よく小説や漫画にあるような一般人が生き抜けるほど甘いものじゃない


そうこうしているうちにちょうど俺が見ている配信者に動きがあった


その配信者はいわゆる迷惑系配信者として、日本で有名な人物だった


『皆さん!見てください!階段を降りてみると洞窟がありました!』


『外から見ていたら上に繋がっていると思いましたが、どうやら下に行くタイプのようですね笑』


そう言いながら迷惑系配信者は嬉々としてスタッフなのか数人とダンジョンに潜っていく


その顔は笑顔、いやニヤケ顔で満たされている


それもそうだろう


[おいおい上じゃなくて下に行くのかよ笑]

[ようすけ顔ニヤケすぎてキモい笑]

[早くモンスター見つけろよ!海外の配信者の中にはモンスターと接敵しているぞ]

[っていうか武器なんかもってないのか?]


27万人以上に観られているのだ


それだとこのようすけという迷惑系配信者が有頂天になるのもわかる


それでも、中には大丈夫なのとか、国がダンジョン行くの禁止してるよという内容が多々見受けられる


それでも止まらずにダンジョンを進む一行に変化が起きた


モンスターが現れたのだ


『うわっ!?み、見てください、モンスターが出ました!』


そうして映る画面の先には子供くらいの体躯に醜悪な見た目の、いわゆるゴブリンが一匹現れたのだ


『ぎゃっぎゃっ、ぐぎゃ!』


ゴブリンも配信者一行を見つけたのか、その顔をさらに歪ませて配信者に走り寄ってきた


『うお!来た!ぶ、武器!武器よこせ!』


その言葉とともにスタッフから金属バットを受け取り、ゴブリンに叩けつけようとする配信者


『うらぁ!死ねぇ!』


そう言いながら金属バットがゴブリンに叩けつけようとしたがそれは叶わなかった


『げげげ、ぐぎゃ!』


当たると思われた金属バットが簡単にゴブリンに躱されて、逆に手に持っていたボロボロのナイフを腹部に刺される配信者


『へ?…ぎゃあ!?い、痛い痛い痛い!なんだよこれぇ!?』


『げっげ!』


さらに追い打ちをかけようとするゴブリンになすすべもなくボロボロのナイフで何回も刺される配信者。スタッフ一行は目の前の惨状に思考が停止しているのか、誰一人動けないでいる


『げげげ!』


『た、助けて、ス、スタッフ…ゆうき助け、』


その言葉が言い終える前にボロボロのナイフが心臓付近に刺さり、迷惑系配信者ようすけの目から光が消えていった


[え?ようすけ大丈夫なのか?]

[待ってやばいじゃん!]

[え?これいつものヤラセだよね?]

[おーい早くいつものドッキリ大成功のパネルだせよ]

[スタッフ演技やば笑]

[ちょっとこれ多分マジだよ!海外の人気配信者もようすけと同じようにモンスターに殺されているやつもいたよ!]

[え?これマジなの?]

[ガチでヤバいやつだよ!]

[スタッフ早くようすけ助けて!]

[スタッフ動けって!]


そうコメントで流されている間もスタッフは動けないでいる


そうしてトドメを刺し終わったゴブリンがスタッフに目をやってニヤリと笑った


『う、うわぁ!?』


一人のスタッフが我を取り戻し、叫んだ。それをかわきりに他のスタッフも正気を取り戻し、誰しもが阿鼻叫喚となっている


そうこうしているうちにゴブリンは走り寄ってきたことでスタッフたちはようすけのことは忘れたのか、一斉に出口に逃げ出すのだった

スタッフぅ〜

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