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生贄の魔女  作者: Yuyu
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世界が始まり俺は終わった

男って一度は女になりたいって思うよね

『あーあー、テステス。おーい聞こえてるかな?…よし聞こえているね』


『この声は地球に住んでいる人間全員の脳内に聞こえるようになっているよ』


『え?世界中の人間に聞こえているのになんで言葉が分かるのかって?そんなのそいつが最も使っている言語が勝手に変換されるようになってるからだよ』


『あーもー!うるさいなぁ!これ以上文句言う奴は今すぐ消滅させるよ!』


『…はぁ、静かになるまでに5秒かかりました。次うるさくした奴はこれからの世界で祝福あげないからね』


『って言ったそばから5万3千909人が騒ぎましたー。という訳でこいつらは祝福されません』


『さて話が逸れちゃったけど、本題に入るね。端的に言うと1年後に地球は消滅します!』


『はいはい、騒がない騒がない。で、消滅させるのはかわいそーだなぁと思ったので、すでに滅んだ世界からダンジョンを持ってきて地球に固定させることで、滅びを回避させてあげるよ』


『ここまではいいね?まぁ質問は受け付けないんだけど。それでそれだけじゃ可愛そうだから、その滅んだ世界にいた最も有名な過去の偉人達を地球にいる転生先の人間達に能力や記憶をインストールさせてあげるから、そいつら使ってダンジョンを有効に使ってよ』


『転生先の人間達はそれぞれの国の領土や人口に基づいて振り分けたからね。あ、インストールする人数は100人だよ。忠告だけど、こいつらほとんど化け物級に強いから丁寧に扱ったほうが身のためだよー』


『という訳で、今から始めるよー!はいスタート!』


その謎の人物の声のあとに世界は震えた


ーーーーーー


俺はいつも通りにサービス残業を終えて、日付が変わる頃に都心のワンルーム7万5千円の自宅に帰っていた


「はぁ、今日も立派な社畜生活お疲れ様でしたっと」


そう言いながら俺は自宅に入る


部屋に入った途端にネクタイと上着を外し、バッグを単身者用の小さいソファに投げつつ、冷蔵庫に向かう


冷蔵庫から銀色の酒の缶を取り出し、プルタブを開けつつソファに座り込んだ


「ゴクゴクゴクゴク…っぷはぁぁぁぁぁぁ!!!美味えなぁ!おい!」


俺の毎日の締めは仕事終わりに銀色の酒を一本飲み干すところから始まる


ただ、俺も今年で30歳、いわゆるアラサーになってしまった


「大学を卒業したと思ったら、アットホーム笑なブラック企業に入社して、いつの間にかアラサーになってしまった…」


就活のときは、面接の勉強とか会社に入ってから何をすればいいのかなどそればかり考えていた


そして合格していざ入社したと思ったら、ただのクソブラックだったという悲しい現実だった


すぐ辞めるという考えは浮かんではいたが、実行はしなかった


日本人とは同調圧力というお金がかからず、最も人間を洗脳しやすいものに敏感だ


その同調圧力はもちろん俺にも降りかかった


同期の奴らはお前辞めないよなと牽制しあい、上司は試用期間を超えたら一気に厳しくなったし、家族や友人からはちゃんと働いていて偉いねという逆に逃げられないような言葉を投げつけられてくる


この他にも、俺と似たようなことをされた者は日本にはあふれているだろう


中には、同調圧力に屈せず見切りをつけられるものもいるだろうが、俺はそうはなれない


なまじ、俺はいわゆる器用貧乏みたいなもので、ある程度のことは一回やれば出来てしまうのだ


それがあだになってしまったが


仕事ができることは、社会に認められることではない。もっと社会のために酷使されるということだ


課された仕事を定時に終わらせても、他の仕事の終わっていない者のヘルプに回されてしまう


上司は他の奴が頑張ってるのに帰るとか言わねえよなと無言の圧力をかけてくる


別に他のヘルプが必要な奴が仕事が出来ないわけじゃない。次から次へと営業が仕事を持ってきてしまうのだ


営業は仕事を貰ってくるのが役目だが、実際にその貰ってきた仕事を完成させる現場にとっては地獄そのものだ


ちなみに俺の仕事はプログラマーだ


「っていうかプログラミングなんて在宅ワークでいいだろうが!会社に行って辛気臭い同僚や仕事しないクソ部長の顔なんて見たくないんだよ!」


俺はそんなに酒に強くない。缶1本で酔ってしまうくらいには弱い


だから酔った勢いで失敗することが過去にあったので、家以外では飲まないようにしている


「ったくよぉ、クソが辞めてやるぞ、カスが…クソカスが…クs…が…スウスウ」


このように酔っ払ったらすぐに寝てしまうのである


そうして、いつものように着替えもせず、ソファにて眠りにつくのである


ーーーーーー


『あーあー、テステス。おーい聞こえてるかな?…よし聞こえているね』


「!んぁ!?」


急に声が聞こえてきて、俺は飛び起きた


いや、起きたというよりも強制的に起こされたというのが正しいだろうか


「え?え?何だよこれ?うるせぇなぁ」


その謎の声に戸惑いながらもぶつぶつ文句を行っていると、その声から急に脅された


こいつは何言ってんだ?と思いながらも、流されやすい日本人の俺はおとなしく黙ることにした


内容としては世界が危ないよ、だからダンジョンっていうファンタジーなもので地球に楔を打ち、滅びを回避させてあげるね


あ、急に世界が変わったら大変だよね。おまけで100人くらい助っ人になる人たち用意しておくね。ということだった


祝福とか他にも話してあったが、考えるよりもすぐにそれはおきた


「な、なんだ!?地震か!?」


否、地震ではない。地面は揺れていないのだ


空間が震えていた


そうとしか言えなかったのだ。災害のように怖いことが起きているのに、被害はまったくない


そして1分くらい経っただろうか?それは急に現れたのだ


都心の中でも端のほう、人がほとんど住んでいないような山間にスカイツリーよりも高い塔が建っていた


「な、んだアレ?」


俺は言葉ではそう言ってはいたが、頭では分かっていた。アレが謎の声が言っていたダンジョンなのだろうと


俺が思考停止していると新たな現象がまた起こった


「…は?」


そう俺の目の前にパソコンのダウンロード画面のようなものが浮かんでいた


「は?は?…は?」


俺が壊れた人形のように同じ言葉を呟いていると、ダウンロードが終わったのか、たった一言文字が浮かんでいた


゛ユサラ・ゲンター゛と


「は?ユサ、は?」


またしても壊れた人形になっていると


空間が爆ぜた


爆ぜたというのは少し違うだろう。俺が爆発したように発光したのだ


「ー!ーーーーーーーーー!!!」


自分の声が聞こえないくらい発光していたが、それも数十秒もすれば収まった


そうして発行が終わった後に目を開けてみると特に何もおかしなところはない様子だった


「なんだ?…!?だ、誰だ!?」


俺が恐る恐る周りの様子を伺いながら呟いていると、知らない女の声が聞こえてきた


「誰だ!?」


そう言いながらキョロキョロしていると部屋の隅にある姿見が目に入った


「!?」


そこには美があった


朝方というのもあり光が差していることで神秘的な雰囲気が増していたが、それでもこんなに美しい人は見たことがないくらい心を奪われていた


その人物の髪色は黒色で、日の光を受けてキラキラと長髪がたなびいていて、顔のパーツは切れ長の目と高いのにちょうどいいと思える鼻、柳眉な眉、プルプルの唇、顔は小顔だが違和感がないくらいの大きさだ


スタイルはボンキュボンと言えるくらい魅力的で、背の高さは俺と同じくらいの170前半だろうか


何よりも格好がおかしい


黒をベースとしてワンピースを豪華にしたような体に張り付くタイプのものだ


その上から明らかに安物ではないようなマントを羽織っていて、さらにファーを纏っていた


俺は光に近づく虫のように姿見に手を触れると、すぐに違和感に気づいた


「あれ?あれ?へ?」


ブンブン


シュバ


シャキーン


俺が仮○ライダーの変身ポーズをすると、姿見に写った美女も仮○ライダーの変身ポーズをする


キャピ


パチン


キュルルーン


俺が超絶ぶりっ子のポーズをするとまたしても姿見の美女も同じことをする


そこで俺は確信した


せーの


「なんじゃこりゃーーーーーーーーーー!?」

社会は嘘だらけだゾ!

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