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誰もいない宇宙船で目覚めたら最強だった件について  作者: Sora
三章 ドアーズ星系 企業連合編

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030 作為的誘導

読みやすいかと思い行間をあけてみました。

十日が過ぎた。

契約期間の半分が過ぎようとしている。

特に大きな動きもなく、平穏であることはありがたいことだ。


しかし、それと同時に不完全燃焼のような違和感があった。


『キャプテン、上空の監視が解除されました』


ナビからの通信を受けて、屋敷の庭を見回っていたクラフトは、義眼で上空を見上げた。

かつては高高度を飛ぶ飛行物体が見えたはずだ。だが、今は何もない。


「そうか……謀られた」


クラフトはクレアに通信をつなぎ、手短に指示を出す。


「クレア、至急ミオ氏と一緒に屋敷のモニタールームに来てくれ。状況の再評価を行う」


彼らが揃い、モニターを前に協議が始まる。

モニターにはナビのアイコンが表示されている。

シルバーナは現在、絶賛改修中だ。


「まずは、惑星着陸時の海賊襲撃の件からだ」


クラフトが切り出す。


「ミオ氏が受けた襲撃だが、この星系での海賊襲撃データと照合して、最頻値と比較してくれ」


クレアが端末を操作しながら報告する。


「はい。過去のデータによると、護衛付きの中型や小型船が襲われるケースは非常に稀です。発生件数の三%以下です。リスクが高く利益も少ないため、海賊たちからは敬遠される傾向にあります」


「救難信号が送信され、それに間に合うケースもほぼありません。撃墜された後に到着するケースがほとんどです」


クラフトは頷きながら続けた。


「つまり、あの襲撃は明らかに違和感だらけの事件だったと言える」


「次に、上空の高高度からの監視についてだ」


ナビが静かに口を開く。


「気づかれずに監視を行うことは可能です。しかし、実際は注意すれば発見される高度で飛行しています」


クラフトは眉をひそめた。


「それはつまり、見せつけているということだ。『監視してますよ』と」


ミオ氏が疑念を口にした。


「そう考えると、まったく違和感が増すばかりだ」


クラフトは続けた。


「ナビ、一連の事件によりミオ氏がとった行動を出してくれ」


『以下の通りです』


・予定されていた出張の中止

・家族の外出中止

・商談の延期

・社内の監査実施

・セキュリティ部門の強化


クラフトは息を吐きながら言葉を選ぶ。


「俺は間違っていた。これから何かが起こると思っていたが、違う。もう起こっている。そして終わった可能性が高い」


「屋敷周辺の不審人物、上空の監視物体、そして海賊襲撃……ここまでがワンセットだ」


「奴らは状況をエスカレートさせ、ミオ氏の行動をコントロールした」


「ミオさん、社内の監査実施とセキュリティ部門の強化は、具体的に何をやっている?」


「監査は、過去三年分のクレジットの急激な増減を重点的にチェックしてる。不自然な取引がないか、細かく洗い出してる段階だ」


「セキュリティ強化は、これまで航行護衛に力を入れていたが、今回の件で星間標準の社内セキュリティ基準に合わせて、内部の不正監視体制を強化している。業務中の全行動を追跡し、潜在的な危険を早期に見つけようとしている」


「その作業は誰が行っている?」


「新規の業務になるから、外部から人を採用して対応している」


「つまり、今回の事件がきっかけで採用された人物が、社内のさまざまなデータにアクセスしているということか。今すぐ会社のネットワークへのアクセスを許可してくれ。俺たちで内部を監視する必要がある」


今回は完全に出遅れた。

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