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誰もいない宇宙船で目覚めたら最強だった件について  作者: Sora
二章 ターリーズ星系メタ王国編

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017 海賊船団拠点奇襲ミッション

クレアが俺の船に加わってから、ちょうど一週間が経った。

「キャプテン、朝食の準備が整いました。今朝はキノコのリゾットと、野菜のスープです」

ふんわりと香る湯気とともに、丁寧な声がコックピットに響く。クレアが来てからというもの、食事の質は格段に上がった。以前のインスタント食品生活が嘘のようだ。食事中の会話も自然と増え、俺自身も以前よりリラックスして日常を送れている気がする。

それだけじゃない。対人格闘訓練も、パートナーがいるとずいぶん違う。動きのバリエーション、読み合い、フェイント──ひとりでは味わえなかった感覚だ。そして、夜も……まあ、その話は今は置いておこう。

「次は何の案件を受けましょうか、キャプテン?」

クレアが手元の端末を操作し、ギルドの掲示板を映し出す。日々、新しい依頼が登録されていく。海賊の掃討、交易路の護衛、惑星の環境調査。どれも悪くはないが、決め手に欠ける。

そんな中、警告音と共に通信が入った。

『緊急招集。傭兵ギルド所属艦艇は、ただちに本部支部のオンラインブリーフィングに参加されたし』

「ついに来ましたね、キャプテン。おそらく、メタ王国軍が海賊の拠点を特定したのでしょう」

「予想より早かったな。行くぞ、クレア」

「はい、キャプテン」

オンラインブリーフィングに接続すると、そこには緊急の招集だったのに、ギルド所属の109艦の代表が参加していた。画面越しに、それぞれの艦長が無言の緊張感をたたえて並んでいる。

そこへ、メタ王国軍の軍服を着た将校が登場し、作戦の全容を語り始めた。

『今回の作戦は、ギルドと王国軍の共同による、移動型小惑星コロニーの殲滅作戦である。』

『コロニーの正確な座標は、作戦開始直前に各艦へ個別通知される。奇襲性を保持するためだ。作戦開始は10時間後。傭兵の諸君には、拠点から逃走する敵艦の撃破を担当してもらう。』

『報酬は小型艦1隻につき350万、中型艦で500万クレジット。経費はすべて王国軍が持つ。先制攻撃は我が軍の主砲で実施し、上陸隊が拠点内部へ突入する。』

「これは……大規模な作戦ですね、キャプテン」

「本腰を入れてきたってことだな。気合い入れていこう」

「はい、キャプテン」

それにしても、呼ばれて10時間後に総攻撃とかなかなか急な依頼だな。


9時間50分後

作戦開始10分前。俺たちのシルバーナは、ワープ座標の通知を待ちながら待機していた。

「作戦座標、受信しました。座標ロック完了、ワープ準備に入ります」

「了解。セイフティー解除、戦闘モードへ移行」

船内照明が赤に切り替わり、各種武装システムがオンラインになる。俺の義眼インターフェースにも、戦闘用のUIが立ち上がる。

「ワープまで5、4、3、2、1──ジャンプ」

瞬間、視界が歪み、次の瞬間には宙域へとワープアウトしていた。そこには既に、メタ王国軍の艦隊が展開しつつあり、続々と傭兵たちもワープアウトしてくる。

「レーダー反応分析パターン赤。敵です、キャプテン」

「戦闘開始!」

宙域には大小様々な海賊艦が逃げ惑い、あるいは応戦してきていた。

「中型艦が離脱を試みています」

「捕まえる!」

俺は両足のフットペダルを踏みこみ、《シルバーナ》を急加速させる。クレアの通信支援と目標マーキングが完璧だ。敵艦の推進機をブラスターで破壊し、パルスレーザーで制御系を焼く。

「命中確認。敵艦、中破。パイロットの生命反応、消失」

俺たちは、まるで仕組まれた動きのように連携して敵艦を仕留めていく。

「キャプテン、次の目標をマークしました。方位270、距離1200」

「了解。進路合わせ、突撃する」

以前と違い、義眼に表示される敵の未来行動パターンがとてつもなく正確だ。数秒先の加速、方向転換、武装展開のタイミングすべて予測表示され、俺はその通りに操作するだけで、敵艦の死角へ回り込める。

「この精度……どうした?」

「キャプテン、船の演算処理の一部を私が引き受けたことで、ナビAIに余力が生まれ、予測精度が向上しました」

「ナビ、すごいな……お前」

《恐縮です、キャプテン》

その間にも、俺たちは次々と敵艦を撃破していく。数にして10、15、20とまるでコンベアで流れる標的を淡々と処理するようだった。

「キャプテン、次が最後の1機と見られます」

「追うぞ。出し惜しみなしだ!」

俺たちは一気に加速し、逃げる海賊艦に肉薄。敵がシールドを展開する前にパルスレーザーで機関部を破壊。推進を失った敵艦に、ブラスターを叩き込み、爆散させた。

「命中確認。敵艦、撃沈。索敵範囲内、敵艦すべて排除されました」

静けさが戻る艦内。俺は操縦席にもたれながら、大きく息を吐いた。

「……終わったか」

「はい、キャプテン。作戦区域、クリアです。王国軍は現在、拠点内部の制圧を継続中」

義眼の視界に広がる宇宙は、既に静寂を取り戻していた。

「クレア、ナビ、よくやったな」

「ありがとうございます、キャプテン。これも、キャプテンの判断が正確だったからです」

彼女の目が、わずかに穏やかな光を湛えていた。

「……これだけの規模の作戦、次は本丸かもな」

「ええ、キャプテン。ネットワークの解析が進めば、残る海賊組織の構造も明らかになるはずです」

「ナビ、今日の戦果はどの程度だ?」

《小型艦17中型艦4です。記録をギルドに提出します。残骸の回収は行いますか?》

「今回は見送ろう。あまりがめつく稼ぐと他の傭兵もいい顔をしないだろう」


本日の稼ぎ

17隻×350万クレジット=5950万クレジット

5隻×500万クレジット=2500万クレジット

          合計8450万クレジット


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