012 お買い物
毎日投稿ってなかなか難しい
クラフトの義眼に、メタ王国交易コロニー内の多種多様な店が細かく表示される。視線を動かすだけで、まるで拡張現実のように詳細な商品情報や店舗データが浮かび上がった。見慣れない店名も多く、まるで新しい世界に迷い込んだような気分だ。
まずは今でいうスーパーに足を運んだ。通路には鮮やかな野菜や果物、乾物、珍しい加工食品が山積みされている。シルバーナに積んであった物資とはまったく違い、地球のスーパーマーケットのような多彩さだ。調味料の棚をじっくり見て、クラフトは使ったことのないスパイスやソースをカゴに入れていく。さらに保存食や飲料水も補充し、気づけばカートはいっぱいになった。
「こんなに買い込んでどうするんだよ」と自分でツッコミを入れつつも、シルバーナにはなかった物を手に入れられる喜びが勝った。補給の都度、これだけ買えるとは思っていなかったのだ。
次に向かったのは衣料品店だ。今着ている服は少し古びていて、長年の使い込みでくたびれているのが分かる。店内には最新技術で作られた高機能な衣服が並び、軽量で丈夫、防水や自動温度調節機能付きのものもあった。クラフトは何着か手に取って試着してみる。
そのとき、店員の若い女性がにこやかに近づいてきた。
「こちらの新作は今一番人気ですよ。伸縮性も抜群で動きやすいです。傭兵の方には特におすすめですね」
女性の熱心な説明に、クラフトはつい興味をそそられた。色や機能の違いを聞きながら、数着を選び購入することにした。注文した衣服はすべて船に直送してもらう手続きを済ませた。
ふと自分の鼓動が早くなっているのに気づく。美しい店員に顔を向けてしまい、思わず赤面しそうになるのを無理に押し殺した。
その後、少し歩いてコロニー内のカフェへ。店内は清潔で落ち着いた雰囲気だ。メニューは文字だけが表示されているが、義眼に映し出される画像が食欲を刺激する。コーヒーとサンドイッチを注文し、ゆっくりとくつろいだ。
窓の外、通りを行き交う人々を眺めながら、クラフトは自然と笑みを浮かべた。様々な種族が行き来し、平和な日常の風景がそこにはあった。
「やっぱり、こういう時間は大事だな」
しばしの安らぎを感じた後、武器店へ向かう。義眼のガイドに載っていた店だ。陳列棚には最新鋭の銃器や近接武器、特殊装備が並び、その性能を示す数値や説明が義眼を通じて細かく伝わってくる。今日は見るだけと決めていたが、これらをじっくり観察するのも悪くない。
ふと気づくと日が傾き始めている。船へ帰る時間だ。
船に戻ると、ナビが声をかけてきた。
「キャプテン、ダイリチウムの査定結果が出ました。合計で20億クレジットの見積もりとなっています。本日回答すれば明日の受け渡しと入金が可能とのことです。ギルドのデータと照合しても、提示の金額は妥当であり、見積もりを出してきたダイナテック社は規模、評判、共に取引をするに値する相手と判断できます。」
クラフトの表情が一変した。口元に悪意すら感じさせる笑みが浮かぶ。
「……20億か。悪くないな」
彼は両手をこすり合わせ、小さく笑った。金のことを考えると、胸の奥から昂揚感が湧き上がってくるのが自分でもわかった。
「これで船の改修も、一気に進められる」
「そういえば」そうつぶやき、改めて手元のデータを確認し始めた。
ブリッジの席に座り、ギルドから入手したデータ一覧をチェックする。
あわよくば、コロニーにつく前に撃破した海賊5隻の討伐報酬ももらえるかと期待して確認したが
ギルド登録前は対象外だと明記されていた。まあそうだろう。何の契約もないのに
ギルドが討伐報酬を払う筋合いもない。
それにしても、クレジットがたまることはいいことだ(^^♪
「ナビ、今受けられそうな依頼を表示してくれ」
「承知しました。現在、海賊によるコロニー襲撃が頻発しており、討伐依頼が多く出ています。撃破数に応じて報酬が支払われますが、海賊の生死は問いません。海賊に多い小型艦撃墜は300万~500万クレジットが相場です。」
「いいね。シンプルで分かりやすい。連携もいらないし、シルバーナさえあれば十分稼げる」
「はい。ご希望ならすぐにでも受注可能です」
「よし、これを受けよう。手続きを進めてくれ。荷物を受け取って、ダイリチウムの売却が終わったら出発しよう。港の使用料は返金されるなら受け取ってくれ。無理ならかまわない。」
「了解です。現地までの航行時間は72時間を予定しています。」
「ファーストミッション、ついに始まるな」
クラフトは画面に映る海賊の影を睨みつけ、拳を軽く握った。これから始まる戦いと稼ぎの日々に胸が高鳴る。
「いざ、傭兵の世界へ」
彼は未来への決意を新たにした。
※クラフトがここまで得た使ったクレジット
収入
・海賊から徴収 300万クレジット
支出
・入港費用と滞在費先払い(14日分) 30万クレジット
・ギルド登録費 1万クレジット
・食料品 3万クレジット
・衣料品 8万クレジット
収支 +258万クレジット




