011_傭兵ギルド登録
読んでいただきありがとうございます。とても励みになります。(^^♪
交易コロニー「メタ王国」の内部は、想像以上に賑やかだった。クラフトは案内された無人ビークルに乗り込み、目的地である傭兵ギルドへと向かっていた。
車窓から見える景色は、まさに未来都市そのもの。人工の太陽光が円筒型のコロニー内を照らし、建物が空中にまで伸びる。緑も多く、地球の都市よりも自然との調和が感じられた。
約10分ほどで、目指す建物に到着した。高さ100階近くあるビルの前には、堂々とした看板が掲げられていた。
「メタ王国公認 傭兵ギルド支部」
自動ドアを抜けて中に入ると、そこはまるで駅のコンコースのような広さと人の多さだった。人間だけでなく、明らかに他種族とわかる生物やアンドロイドも混じっていた。
「これは……かなりの活気だな」
興味深く周囲を見回していたクラフトだったが、受付を見つけるとまっすぐ向かった。
「登録希望だ。初めてなんだが」
受付にいたのは、人型のアンドロイドだった。白く光る人工皮膚と無機質な目が、いかにも効率性を重視した設計を思わせた。
《登録希望、了解しました。そちらのカウンターへどうぞ》
指し示された方向に歩くと、今度は別の受付があった。そしてそこには、またしても目を引く女性がいた。
長い黒髪に知的な雰囲気を漂わせた彼女は、クラフトを見ると柔らかく微笑んだ。
「ようこそ。傭兵ギルドへのご登録ですね?」
「はい、そうです」
クラフトは少しだけ喉が渇いたような気がした。
「こちらの端末で必要事項を入力してください。ご案内いたします」
端末に指を滑らせ、名前、所属船名、現在地、ID情報などを登録していく。ナビが準備してくれた情報があったおかげで、登録作業は非常にスムーズに進んだ。
約10分後、登録完了のサインが端末に表示された。
「これで完了です。船の識別IDはこちらになります」
彼女は小型カードサイズのデバイスを渡してくれた。それがシルバーナの傭兵識別IDだった。
「登録料として1万クレジットをお支払いいただきます」
腕輪型の端末を決済機にかざすと、支払いは一瞬で完了した。
「何か試験とかないのか?」
「ありません。その代わり、これから1時間の講習を受けていただきます」
「へえ、思ったより簡単だな」
「傭兵ギルドのモットーです。“来るものは拒まず、去る者は追わず、裏切者には死の制裁を”。ようこそ、傭兵の世界へ」
その言葉に、クラフトは苦笑した。歓迎されているような、脅されているような。
彼女に案内され、講習室に移動した。
そこでは、大型スクリーンに次々と映像が映し出され、傭兵という仕事の概要が説明されていった。
戦闘の様子、依頼の受注手続き、報酬体系、戦果報告の方法。ポータルを通じて依頼を選び、受けた仕事には責任を持つこと。
傭兵は最初は全員ブロンズからはじまり、シルバー、ゴールド、プラチナとステップアップする仕組みだった。わかりやすい。
戦利品は一部自己所有が認められる。売却もギルドが仲介してくれるのは手間が無くていい。戦果を証明するには、フライトレコードや戦闘ログの提出が必要だった。
費用は基本的に自己負担だが、依頼内容によっては経費支給もあるとのこと。依頼時の契約内容をよく確認するようにとの注意もあった。
そして、罰則規定。
依頼を反故にした場合、命を狙われることもある。重大な裏切りをすると、最低1億クレジットの賞金首として追われる立場になる。怖すぎだ、絶対逃げきれない。それほどに、信頼が重視される世界ということか。
一通りの説明が終わると、クラフトの端末に講習修了のデータが送信された。これで、正式に傭兵として活動可能になったということだ。
「さて、次は……ダイリチウムの売却だな」
クラフトは小さく呟き、ナビに売却の見積もりを取るように指示する。
<承知しました。キャプテンはこの後どうされますか?>
せっかくコロニーに来たのだ。
「ちょっと、町を見て回ってみるか」
<先ほど入手したマップを投影します。ご利用ください。>
講習室を出たクラフトは、傭兵ギルドのビルのロビーを抜け、再び外に出た。見上げれば空には人工の雲が流れ、その下には大小様々なショップや、飲食店、雑貨屋が立ち並んでいた。クラフトの目には建物の中に何の店が入っているか表示された。衣料品、病院、学校、etc
行き交う人々の表情は、明るく、自由だった。
クラフトはまずは総合スーパーと表示される建物へ向かうことにした。
クラフトの足取りも自然と軽くなっていた。
次は買い物ですね。何を買おうかな。




