表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰もいない宇宙船で目覚めたら最強だった件について  作者: Sora
二章 ターリーズ星系メタ王国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/84

010 コロニー到着、そして・・・

 クラフトは寝ていた。とても気分よく、穏やかな眠りだった。だがその静寂は、突如として破られた。

あたらしい朝が来た 希望の朝だ よろこびに胸を開け 青空仰げ

 最大音量の音楽が船内に響き渡る。

「……っ! ナビ、音楽を止めてくれ!」

《了解。音楽停止します》

 クラフトは顔をしかめながら寝台から起き上がった。

「いったい何なんだ、今のは……」

《地球文明における古典的な起床音楽の一つです。外宇宙航行中の船で、起床時間に流すことが通例となっていました》

「誰がそんな設定した……いや、もういい。今は何時だ?」

《現地時間に換算すれば、午前5時32分。しかし、正確には朝ではありません。現在、コロニーとの通信圏内に入りました》

「なるほどな。到着のタイミングで起こされたってわけか……」

 ぶつぶつと文句を言いながら、クラフトはブリッジへと向かった。メインスクリーンには、巨大な円筒形構造物――メタ王国交易コロニーが映し出されていた。

「ナビ、着艦申請を頼む」

《通信接続完了。コロニー側より返答があります》

『こちらメタ王国交易コロニー。ドック使用希望者は、機体名と識別コードを送信してください』

「こちら、船名はシルバーナ。識別コードは現在未登録の新造船だ。鉱石の販売を目的として立ち寄った。着艦を許可願いたい」

『了解。ドックA10を指定する。自動誘導に切り替え、誘導信号に従え』

《了解。操縦を自動モードに切り替えます》

 シルバーナは滑らかに動き、指定されたドックへと向かっていく。

「いやはや、実にスムーズだな。まるで海賊船のデータ通りの対応……これは助かる」

 クラフトは満足げにモニターを眺めた。

 やがてシルバーナがドックに収まると、船体横にタラップが自動で展開された。

《ドック気圧安定確認。外部環境は適正です。出られます》

「よし……いよいよだな」

 クラフトは深呼吸し、ハッチを開いてタラップを降りた。ドック内にはスタッフらしき人物が数名待機していた。

「ようこそ、交易コロニーへ。入港手続きはあちらのカウンターで行ってください」

案内用のアンドロイドがカウンターを指し示す

 案内された方向へ歩いていくと、手続きカウンターに一人の女性が座っていた。

(……きれいだ、移民船の船のストレージからこの辺りの種族の容姿は確認していたが

 人類でいう、美男美女が平均的容姿の種族だった。実際にあうと思わず見とれてしまう)

生まれて初めて、AI以外の存在――しかも女性を目の当たりにして、彼の鼓動は高鳴った。

「いらっしゃいませ。入港手続きを行いますので、必要事項をこちらに入力してください」

「あ、はい……」

はずかしい、ちょっと声がうわずった

 クラフトは慣れない手つきで端末に入力する。滞在は2週間、宿泊施設は利用せず、補給品については後ほど確認する形にした。

「手続きは以上です。代金は今、お支払いになりますか?」

「うん」

 腕輪型端末を決済機にかざすと、ピッという音とともに処理が完了した。

「ありがとうございます。こちらがコロニー内のマップになります。目的地があればお知らせください」

「傭兵ギルドの場所を知りたい」

「かしこまりました。こちらになります。ゲートを出てすぐ、左手の無人ビークル乗り場から行けます」

「助かる」

 クラフトはマップを受け取ると、入港ゲートへと向かった。

 そしてゲートを抜けたその瞬間、目の前に広がる光景に言葉を失った。

 巨大な円筒形の内壁に、都市が張り付くように構築されている。人工の空、太陽を模した照明、緑に包まれた公園と、整然と並ぶ高層ビル。

 それは、まるで地球の理想郷を凝縮したかのような美しさだった。

「すげぇ……」

 クラフトはしばらく立ち尽くしていた。

《キャプテン、無人ビークル乗り場は左手にあります》

「ああ、分かってる……行こうか」

 こうしてクラフトは、宇宙で初めて出会う本当の人々と世界へ、最初の一歩を踏み出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いま気づきましたが 昔の自分と同じ勘違いが歌詞にありました 青空じゃなくて大空なんですよね 十年くらい前のCMで「あれ?」と思い 検索したら長年歌詞を勘違いしてました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ