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う・・・ん。蒼紫はベッドで寝返りを打った。誰かが彼を保健室に連れてきてくれたらしい。薬品の匂いが彼の混乱した頭に乱反射した。
朝からいろんなことがあった、こんな刺激的な午前中はもう二度とやってこないだろうな、と彼は苦笑した。
同じ名前の人間が死んだ。
死んだ。
それだけのこと。
それ・・・だけ?
無意識に首もとの鍵のペンダントをいじりながら、彼は物思いにふけっていた。
そのとき、
しゃっと細く白いカーテンがあいて、保健室の先生が顔をのぞかせた。
蒼紫はさっと目を閉じて寝むっているふりをする。
まだ教室には戻りたくなかったし、イロイロ考えるべきことが残っているような気がしたからだ。
「よく・・・ねてるわ。」
先生はそうつぶやくとさっとカーテンを元に戻した。
「そろそろ来るころだから、教室に戻ってもらいたかったんだけど。・・・まあ、寝てるししょうがないか。」
先生は独り言を言った。
その言葉が終わるか終わらないかぐらいのころに、とんとん、と戸を叩く音がした。




