混乱
蒼紫は意識をふらふらと漂わせていた。
今日の朝から予感はあったんだ。
あんな夢今まで一度も見たことなかったし。
同じ名前ってだけ。まったく関係のない赤の他人。
でももう死んでいるとされている自分にとって、墓石を暴かれた気持ちだった。
死んでるってことは分かってるのに、もしかしたら違う人が埋まってないか・・・って調べる。でもそんなはずはなくて。
そして僕は僕の中で2度死んだ。
僕の中で僕を殺しちゃあいけない。
だって僕は蒼紫なんだから。
死、なんて人生で1度で十分なのにさ、僕は社会的に死んで、自分の中で死んで・・・・。
でも、隆聖。僕はなれるならお前になりたいよ。あの時幼い蒼紫が死んで利口な隆聖が残った。そんな事実を作りたい。
僕がもう少し諦めが良くて頭がよかったなら君になっていたと思うんだ。
でも僕は、蒼紫なんだ。
ひょっ・・・と公園の柵を乗り越えて道路に飛び出すちいさな背中。
それに迫る赤いワゴン車。
忘れられない。忘れない記憶。
あの優しい隆聖はいない。僕が殺した。
出来損ないの僕ばっかりが残って、僕はのうのうと「隆聖」をやってる。
僕は隆聖という自己の存在まで殺すって言うのか・・・?
絶対にさせない。
みんなに、「隆聖」という子がいたんだってきづいてほしい。
彼の命を返すことは出来ないけど、彼の存在を返したい。
・・・・・・・・・・・・そんな事いったって、自分のためなんだ。
自分が楽になりたいから。
隆聖という重荷から逃れて蒼紫という自分の身の丈にあった殻に戻りたいから。
そんな冷静な自己分析を軟らかい冷たい壁で阻んで、僕はどろどろとした眠りに引き込まれていった。




