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異世界の噂話


この宇宙は不思議に満ちている。


今生きている世界とはまったく別の異世界がいくつも重なっているのだ。


それを知覚できる存在は、無限に広がる宇宙の中でもごく少数。


魔物の中でも底辺に位置する「スライム」になど、もちろん及びもつかない次元の話だ。


ここに最近ようやく自我に目覚めた一匹のスライムがいる。


このお話は、名前すら持たないスライムが夢を追って巻き起こる冒険奇譚。



序章 1、自我


下等な魔物は自我を持たない。


本能のおもむくままに生きて、そして死んでいく。


自分が誰かなど疑問を持つことなく。


スライムは下等な魔物の代表格だ。


特別なスキルがあるわけではなく、魔法が使えるわけでも、武器を扱えるわけでもない。


自分の住み家周辺に生えている植物や命尽きた遺骸を食べて生活している。


天敵は多く、いろいろな魔物の餌として襲われたり、ひよっこの冒険者の経験値稼ぎとして狙われるので、生息数は多いが寿命は短い。


このお話の主役のスライムがなぜ自我に目覚めたのか、それはある少女が戯れに魔法をかけたからだ。


異世界に魔物の国を建国した伝説のスライムがいると聞いて、本当にスライムがそのように成長するのか興味を持ったのが理由だったらしいが、対象となったスライムに自我が目覚めたときには少女は姿を消していた。


スライムは自分がスライムであることを認識していた。


それは少女が魔法をかけた際に世界についての情報も与えていたから。


だからこのスライムはそのままスライムとして生涯を終えるつもりはなかった。


自分もまた異世界で伝説の魔王として名をはせたスライムのようになりたいという夢を持ってしまったからだ。


しかし、何をすればいいのか、どうすればそんな力を得ることができるのか、スライムにはそれがわからない。


他のスライム同様、食べては寝るだけの日々を過ごすしかなかった。


そんなある日、冒険者のパーティーがこの地を訪れた。


スライムは路をまたいで別の森に向かっている最中に偶然このパーティーに出くわしてしまった。


8人から構成される珍しいパーティーで、一帯を支配する魔物すら楽に倒せるほどの実力を持っているのだが、スライムにはそんな実力差など感じ取ることはできない。


後に「天竜八部衆」と呼ばれ、主要な異世界で武功を挙げる猛者たちとの運命の出会いであった。






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