第68話弟
誤字脱字、矛盾点などがございましたら教えて頂けると幸いです
「久しぶりですね」
「久しぶりだな。弟君」
蓮真の目の前にいる男は、木城桜の弟、木城芽瑠だ
「銃を返しに来た」
「返さなくていいよ。その代わり、姉さんの話をしてくれないか?」
「断る。俺にあいつを語る資格はない」
後ろに振り返り、さっさと帰ろうとすると
「じゃあ。私が話すことを聞いてくれないか?」
「・・・いいぞ」
「良かったよ。聞いてくれて」
何故蓮真と会話したいのかは分からない
蓮真を殺す為の時間稼ぎなのか、姉が死んだことで溜め込んだ、思いを話したいのか
蓮真には分からなかった
「姉さんはよく君について話していたよ」
「そうか」
「君の斬り方、再生力、そして君の性格と容姿の話を永遠とされたよ」
「確か、あの家に住み始めてから一回だけどっかに行ってたな」
「そうそう。一回だけここに来て、10時間ぐらい君の話をした後に帰って行ったよ」
3,4時間程度だと思っていた蓮真は、飲んでいたお茶を吐き出しそうになる
「・・・10時間?」
「10時間、しかも話すこと全部違うかったよ」
「愛が深いな。俺、そんなに話せないぞ」
「君は感情で人を好きになるタイプかい?」
「感情以外で好きになることあるのか?」
「加点方式で好きになる人もいるからね」
「ふーーん」
「彼のこの部分が好きだな1点プラス。彼のこの部分嫌いだな1点マイナスみたいな感じで」
「・・・確かにそれ系の人なら好きな部分の言語化も色々と出来そうだな」
「姉さんはこのタイプなんだけど、多分君に対するマイナスは一切ないよ」
つまり木城は、蓮真の嫌いな部分が無いと言うことだ
「姉さんは一定点数以上じゃないと、本性はおろか、喋ることすらままならないからね」
「・・・俺と初めて会った時は素だったんだろうか?」
「素ではあったんじゃない?軽く君を斬ったんでしょ」
「そうなのか?」
そんな話をしていると
「ごはん食べます?」
「お、貰おうかな?」
「・・・あれ?」
見覚えのある男が、料理を持ってくる
「仕事出来ないけど、料理美味い人じゃん」
「最近は出来るようになってます!」
「ハハハ」
机の上にポトフが置かれる。非常に美味しそうな匂いだ
「美味」
「しっかりとご飯は食べれるんだね」
「別に鬱とかにはなってないぞ。ただ死にたいだけで」
「・・・そうかい」
弟君は少し悲しそうな顔をする
「じゃあ。そろそろ移動する」
「そうか。じゃあね」
「ああ」
「蓮真。まだ死ぬなよ。私が死ぬよりも前に」
その言葉には何も返答せず。手を振るいながら前へと歩き出した




