無人島になにかひとつだけ持っていくなら、ちょっと論破してくれんか。
これはエッセイです。
小説だと思って読みに来てくださったんなら申し訳ない。
4分くらいで読めますんで、よかったらぜひ。
ごめん、4分は無理かも。
10分くらいでなんとか。
無人島になにかひとつだけ持っていくなら、ちょっと論破していただけませんか。
感想欄オープンにしてますので、どなたでもウェルダン。
私を論破していただけませんか。
もしお手すきでしたら、よろしくお願いします。
まず「無人島になにか持ちこめるなら」の意味なんですが、よくあるアレです。
学校とかでありがちな会話のネタです。
もしもシリーズとでも言いましょうか。
「もしも無人島に行くとして、なにかひとつだけ持っていけるなら何にする?」
この質問、アレなんです。
大っキライなんです、私。
いえね?
むかーしむかし、友達にこれを聞かれまして。
で、なんて答えていいのかわからず、本当に持っていくものを答えたんですよ。
そしたら、そういうことじゃないと言われたんです。
「もし無人島になにかひとつ持っていくなら、なににする?」
「スペアのメガネ」
私の答えはどうやら不正解だったようです。
そういうことじゃないそうです。
はいここで。
ちょっと真面目に「もし無人島問題」を分析してみましょう。
えー、まず無人島に行くというシチュエーションからツッコミどころ満載なんですが。
どういう状況やねんと言いたいんですが、これはスルーしましょう。
あくまでロールプレイングですからね。
注目したいのは設問じゃなくて、答えのほうですね。
ありそうな回答をちょっと羅列しましょうか。
① 回答者にとっての必須物を答えるパターン。
私のスペアの眼鏡がそうですね。
いやいや絶対いるんですよ。
メガネが壊れたらなにも出来ないですから。
ただこれを言い出したら、心臓疾患のひとは薬を持って行ってください。
助けが来るまで待ってることもできないですからね。
いや……しょうがないじゃん、必要なんだもん。
② 無人島生活をリアルに想定する。
マジで無人島で生活するなら、水持っていきます。
みんなも水、持って行ってください。
島に無かったら大変ですから。
あとはナイフとか?
マッチとか?
毛布とか?
ひとつでもあれば、サバイバルの助けになると思います。
③ インフラを気にする。
たとえばパソコン持っていくとして、コンセントが無いですよね。
無人島だし。
スマホだったら、太陽電池の充電器もありますけど。
ただそれ、ルール的にアリなん?
スマホか充電器か、どっちかしか持っていけないんじゃないですかね。
したがって電気、ガソリン等を必要とする道具は選択肢に入れられない……のか?
④いきなりSF。
「もし無人島になにかひとつ持っていくなら、なににする?」
「どこでもドア!」
無人島どころかこの世に無いだろ、それ。
それなら私は無人島に日本列島持っていきますよ。
物理法則を無視する答えは、さすがに趣旨ちがうんじゃないかと思います。
ズラズラ書いてすいません。
もうじき本題に入りますんで。
私、①から④の理由で「もしも無人島問題」が嫌いなんです。
ようするにアレでしょ?
もし無人島になにかひとつ持っていくならっていうのは、アレでしょ?
なにを差し置いても携帯したいモノはなにかってことでしょ?
「いま一番大切にしているもの、あるいは一番欲しがってるものは何か」と聞いてるわけでしょ?
だったらそう言えよ。
はじめからそう聞けばいいじゃないですか。
メンドくせえ無人島だな。
えー、昔の私はアホだったので、この質問をマジに受け取ってしまったわけですね。
ホントに無人島に持ってくモノを答えてしまった。
この「もし無人島」。
会話作りの一種であり、話題を広げるための質問なわけです。
となれば、正解はふたつしかありません。
① いま夢中になってるものを答える。
例えばゲームにハマってるひとなら、ゲームと答えりゃいいんです。
電源がどうとか、そんなこざかしいことどうでもいいんです。
どんなゲームにハマってて、いかにそれが面白いか。
無人島でも、このゲームがあれば退屈しないぜ!
この話題を膨らませることが「もし無人島」の趣旨なわけです。
島での衣食住のことなんか考えなくていいんです。
東大を目指してる人なら、予備校を持っていくと答えてもいいんです。
日本に帰ったらソッコーで共通テスト受けに行ってください。
② とにかくユニークな答えを返す。
「もし無人島になにかひとつ持っていくなら、なににする?」
「自由の女神かな。地球のどこにいようが、アメリカ軍総出で探しに来てくれるぜ! HAHAHA!」
べつにスベってもいいんです。
……どうせ今のも大してウケてないだろうし。
読み手の無反応が伝わってくるみたいだぜ。
ウィットという言葉があります。
とんちが効いてるって意味です。
ウィットにとんだジョークをありがとうございました。
コミュニケーションの基本ですね。
そういう意味では、真面目に無人島生活の必需を答えた私は最悪でした。
スペアの眼鏡てアンタ。
ネットで読んだ話なんですが。
加藤一二三という棋士さんが「もし無人島」を質問されたことがあったそうです。
加藤氏が持っていくと答えたのは「羽生善治九段」。
無人島でずっと将棋の勝負をされたいそうです。
いやいや!
将棋盤は持ってかないのかよ、HAHAHA!
さすがにプロの棋士だと感心します。
回答の面白さとスケールに。
これが「もしも無人島問題」の醍醐味、というか遊びかただと思うんです。
たしかに設問にはツッコミどころが多いです。
なんで無人島に行かなきゃならんのか。
どういう島なのか、気候はどうなのか、面積は。
脱出が目的なのか。
質問からはなにもわかりません。
ちがうんです。
この質問をしてきた人は、あなたのことが知りたいんです。
あなたがいま、なにを好きなのか知りたいんです。
あなたに興味を持ってくれているんです。
無人の空間でも、これさえあれば平気!
それくらい夢中になってるモノってある?
そういう質問なわけです。
一種の自己アピールの機会なんですコレ。
だから私、「もしも無人島問題」が嫌いなんです。
昔、質問者の好意をスルーしてしまった非礼な自分を思い出してしまう。
さらに言えば、夢中になってるものがなにも無いから、質問の意図が理解できなかった。
私はバカでつまらん人間でした。
反省の限りです。
恐れ入ります、最後になりましたが。
無人島になにかひとつだけ持っていくなら、ちょっと論破していただけませんか。
「もし無人島になにかひとつ持っていくなら、なににする?」
「オレがいるなら無人島じゃなくない?」