序章
ヒロインは二章くらいから出ます。
作品内時間で序章から1ヶ月後くらいです。
それは15歳の誕生日前日の事だった。
「誕生日プレゼント……?なにこれ?」
夜勤から帰宅した父がリビングに入ってくるや否やソレを渡してきたのがすべての始まりだった。
それは両手に乗る程度の箱に入っていた。
近頃、世間で話題になっている──
──VRゲームというやつだった。
正直言って怪しかった。
その話題が最初に出たのは半年程前だった。
どこかのベンチャー企業がVRゲーム事業に着手するというニュースだ。
世間の反応は淡白なものであった。
どうせ出来たとしてもゴーグルに映像が投影されてその動きが実際の自分の動きと連動する。そのようなありきたりな代物なのだろう、と。
しかし1ヶ月後、その評価はひっくり返る。
またしてもニュースに取り上げられたその企業が世間に公表したのは──
──チョーカーのような、いや、それが何かしらの機器であるとさえ言わなければアクセサリーにしか見えないVRデバイス。
それを試用した大手ニュースサイトの記者はこう言った。「現実としか思えない。目を開けると草原に寝転んでいた。草木や土、花、風……まるで現実の様だった。だが浮かび上がったオプションの操作画面が明らかに現実ではないと証明していた」と。
開発チームのメンバー曰く、これを首に装着しスイッチを入れるだけで神経に接続され、脳に擬似的な信号が送られるらしい。
その後僅か5ヶ月も経たない内に商品化され発売。
今に至る。
(神経接続……)
そんなことをして本当に弊害は無いのだろうか。
世間に公表されてから半年程度で商品化。
それこそあれよあれよと言う間に。
恐怖を抱くのは当たり前だ。
そう、恐怖は大きい。
だが──好奇心。
現実と区別の付かない仮想空間。
「…………少しだけ……」
ついに彼──白土 暮羽ははソレを首に装着した。
某作品によってモチベが動いた結果です。