僕の転移物語
僕の名前は田中神導。親が神の導きによって世界最高の人間だという意味で名前を付けたのだが、このキラキラネームのせいで私はいじめられて引きこもりになった。
僕の唯一の楽しみはゲームだ。ゲームをしているとなんだか違う自分のような感じがしてよかったのだ。お金持ちでなかったので、ゲームを何回もリセットして遊んでいる。
「今日は久しぶりにこのゲームをするか〜」
私は6年前に発売した「エンシェングレジェンド」というゲームを手にとってやることにした。
このゲームは勇者の主人公が魔王を倒すという、よくあるPRG系のゲームだ。私はこのゲームを何十回もクリアし、リセットをしていたのでゲームクリアのルートを全て頭に入っていた。
「やるか〜」
私は電源をつけやり始めようとすると、電源が入らなかった。
「おかしいなぁ〜、壊れてないはずたんだけど」
私は電源をもう一度つけた。そうするといつものように電源がついたのでホッとした。
「よかった〜」
私はリセットボタンを押して一から始めようとした。
「おかしいなぁ〜。何十回もしてきたのにいつもと違う起動の仕方したなぁ〜」
このゲームは最初は男女選択、名前選択、の順で始まるのに今回は始まらないのだ。真っ暗な画面になっていて何が映っているのかわからなかった。
「もう一度この画面になったらこのゲームやめて違うのやろう〜。」
と思い電源をつけると私に電流が流れた。
「痛った!」
私は電流のせいで目の前が真っ暗になり、倒れた。
「おい起きろ!クズ!」
何かに怒鳴られ、恐る恐る目を開けた。
「何ここ?」
周りには尖った山々が連なっていた。そこはまるで地獄ような感じだった。
「さっさと起きて仕事しろ!」
「うっ」
何者かに蹴られすぐさま起き上がった。
「また寝てたら次は舌抜くからな」
「わかりました」
僕は何も理解していないままそう言った。
「そういえば僕の仕事ってなんでしたっけ?」
「何寝ぼけた事言ってるんだ。6年も仕事しているのに忘れてるのか!お前の仕事は魔王様のための酪農だろ!」
(ここに6年もいる?!魔王?!僕の仕事が酪農家?!どうなっているんだこの世界)
僕は舌を抜かれたくなかったので酪農をやった。牛舎の清掃、餌をやり、2回搾乳を行った。
「今日の仕事は終わりだ!帰っていいぞ!」
「わかりました。家ってどこでしたっけ?」
「また朝みたいに寝ぼけた事言ってるのか!お前の家はここから5km離れたアパートだろ!」
「そうでした。すみません」
僕はそう言って5km離れたアパートに向かった。
その途中、
「よ〜マーク、またフランシスおじさんに怒られたのか?」
(マーク?!僕のゲームアバター名をなんでこの人知ってるんだ!って言うかあのめっちゃ怒ってたやつフランシスって言うんだ〜)
「うん。そういえば君の名前なんだっけ?」
「冗談やめてよ〜マーク、俺の名前を忘れらなんてどうしちゃったの?まぁいいや。俺の名前はナサニエルだよ。」
「そうだったな。ごめんよ、ナサニエル。」
「気にするなって、マークが忘れん坊なのは今に始まったことじゃないからな。そういえば今日は魔王様の誕生日だからお祝いの品を持って行かなきゃだけど、マークは何を持っていくんだ?」
「忘れてた!どうしよう…。」
(魔王に誕生日とかあるの?!)
「やっぱり忘れてたか〜。マークの為に用意しといたから後で金返せよ〜」
「ありがとう、ナサニエル。ところで何を渡すんだい?」
「そりゃ〜生贄用の人間だよ!」
「人間?!」
「何驚いてるんだよ!今に始まったことじゃないだろ。魔王様は大量の生贄を使って俺たちにショーを見せてくれるんだから、当たり前だろ!それでもマークは魔族かい?」
(魔族?!そういえばコイツにもさっきのおっさんにもツノが生えてたな。ってことは俺にも?!)
僕は恐る恐る頭を触ってみた。
(本当だ!俺にもツノが生えてる!ってことは俺は異世界転移したってことになるな…。マークって名前になってるならここはゲームの世界のはずだなぁ〜。でもどのゲームなんだろう?)
「この星って何って言うんだっけ?」
「さっきから何記憶喪失したかのようなこと言ってるんだよ〜。この星はエンシェングレジェンドだよ〜」
(やっぱりここはゲームの世界だったんだ!エンシェングレジェンドは魔王を倒して王様になるとと何か願いを叶えられるはずだったなぁ〜。よし!)
「ナサニエル!僕は魔王を倒して新しい王になる!」